2007年10月29日月曜日

銀座のやせ我慢

たまに顔を出す銀座の寿司屋。40代半ばを過ぎた大将のたたずまいが良く、出てくる料理も安定感がある。

ある時、大将が「ウチもようやく店の前に出してあるメニューを引っ込められるようになりました」と嬉しそうに話していた。

どこの繁華街もそうだが、雑居ビルの地下とか階上にある店は、ビル入口付近にメニューを表示していることが多い。確かに客にとって、有り難いし、その店の価格帯も想像がつく。

こうした表示をしている店は、多くがチェーン店や大衆路線の店で、そうでない場合には比較的新しい店であることが多い。

銀座で、それも地下や階上の寿司屋であれば、一見の客を集めるのは大変だ。大衆路線ではなくても、それなりの雰囲気のお品書きを入口あたりに掲示する。この掲示が不要になったということは、しっかりと客を掴んで回り始めたという証拠。大将が喜ぶのもうなずける。

見栄とか粋には苦労がつきもの。この路面掲示の件も同じ。掲示を続ければもっと繁盛する可能性があるわけだから、嬉しさの一方で、やせ我慢にも似た気持ちも強いのだろう。

改めて銀座(新橋寄り)のネオン街を見回すと、店名だけひっそり灯らせる店ばかり。なかには、連日超満員という店もあるだろうが、実際には多くの店が新規の客を欲しがっている。銀座に漂う空気は独特なやせ我慢が醸し出していることに気付いた。

思えば客もやせ我慢ばかり。お勘定を見て、びっくりした顔を見せるのは格好悪いし、値切るわけにもいかないし、本音はアタフタしても涼しい顔をしている。

やせ我慢VSやせ我慢。そんな構図だから妙に楽しいのかもしれない。

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