2008年1月24日木曜日

税金シーズン


もうすぐ確定申告の季節。税金シーズンと言っても、ホワイトカラーの多くはその実感はない。多くのビジネスマンは年末調整で税務処理が完結している。

わが国の税制で特徴的な存在なのが年末調整。月々の源泉徴収と年末調整によって、多くの給与所得者が自分で税額を計算する必要がない。ホワイトカラーで確定申告が必要なのは一定金額以上の収入がある人や2カ所以上から給与を得ている人、特定の還付請求がある人などに限られる。

日本人のタックスペイヤー意識が低いといわれる原因が一連の確定申告不要制度にあるという指摘もある。

税に関係する世界では、これまでも幾度となく年末調整廃止論が浮上したが、実現にはいたっていない。ところが、電子申告の普及をきっかけに年末調整廃止論が改めて現実味を帯びてきそうな雲行きだ。パソコン、インターネットの急速な普及によって年末調整廃止のためのインフラ整備が整ったともいえるわけだ。

ところで、廃止に向けて、カギとなるのが消費税。政治の世界では四の五の言っているが近い将来の税率引き上げは既定路線。過去の例でもそうだったように、ムチである税率引き上げ、すなわち増税が行われる場合、見合いとして、アメである所得税減税が実施される公算が強い。

ただ、「年末調整で完結」という現状のスタイルでは、減税部分を多くの納税者が実感しにくく、政府サイドにとっては、減税PR問題は頭の痛い問題。

そこで年末調整の廃止案が浮上するわけだ。多くのサラリーマンが年末調整が行われる12月の給与は税金の戻りによって手取りが増加することはご存じの通り。とはいえ、会社が自動的に処理してくれるため、自ら計算・申告して還付額が直接取り戻せる方法に比べれば、「お金が戻ってきたぜ」という実感は薄い。

こうしたことを考慮し、多くの納税者に確定申告(還付申告)させることで、減税メリットをここぞとばかり強調、トクしたイメージを高めることで、ムチである消費税アップへのアレルギーを薄めようという思惑だ。

まあ本来、日本の税制は「申告納税制度」という建前があるにもかかわらず、千万単位の人が自主申告しないことのほうが不自然といえる。思惑はともかく、国民総申告時代が来る日は意外に遠くないような気がする。

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