2008年1月29日火曜日

水中写真

水中写真の楽しみのひとつが「極端な写真」を撮ること。ここで活躍するのが超ワイド画角のフィッシュアイレンズと接写用のマクロレンズ。両方とも陸上で普通の写真を撮るのはなかなか厄介なほど極端な性質を持つ。

最初の写真は、エジプト・紅海で断崖下に広がる美しい入江の表情。地球は丸いっていう感じだ。水中作品ではないが、陸で使うとこんな感じで遊べる。

これを専用ハウジングと呼ばれるケースに入れて、水中専用ストロボを使って撮ったのが2番目の写真。カリブ海の南米にほど近いボネールという島で撮影した。カメラからピンク色のカイメンまでの距離はわずか30センチ程度。魚眼効果を発揮して周辺も幅広く写り込む。左上に移っているダイバーはすごく遠くに感じるが、せいぜい2~3メートルしか離れていない。大げさに海の広がりを写せるが、気をつけないと自分の足が写り込んでしまう。

3番目の写真も魚眼の効果で、被写体を普通に真横から撮っても真上に位置する水面に映る太陽の光も一緒に写せる。結構大げさな作品が撮れるわけだ。写真の腕というよりレンズのおかげだ。

ダイビングを始めた頃、ダイビング専門誌に掲載されている素晴らしい水中風景に魅了されて、いつかはそうした綺麗なところで潜りたいと願っていた。でもいくら潜っても雑誌で見る世界にはなかなか出会えず、いつしか、雑誌の写真は、デフォルメ効果を発揮する特殊系レンズで撮影されていたことに気がついた。

さて次の写真、接写レンズを使ったものだ。ギンガハゼという黄色い小魚。全長は10センチ程度。割と近寄れる個体だっったので、顔のヨコ15センチぐらいまで時間をかけてにじり寄ってみた。

口の周りに砂がついていたり、頬周辺の微妙なグラデーションや目の色などは、肉眼で見ていてもなかなか気付かない。カメラのファインダー越しに見ると望遠効果で、肉眼で見るよりくっきり見えるが、作品になってからじっくり大延ばししてみると、魚の本来の美しさが切り取れて嬉しい。

次のエビもせいぜい5センチぐらいの生き物。砂地と保護色みたいでなかなか探すのが厄介だが、近づいて撮影してみたら、お腹に大量のタマゴを抱えていた。魚卵系好きの私としては、塩漬けにして食べてみたい衝動にかられたが、接写レンズならでははっきり映し出された生命の神秘にちょっと感動。

ピンクと紫が混ざった生き物はミノウミウシ。6~7センチぐらいの大きさ。肉眼でも綺麗に見えたが、接写してみると色のトーンが実に素晴らしく結構びっくり。

超ワイド、超接写それぞれ、自分で見る世界とはちょっと変わった表情を切り取ることが出来るので、ついついそれぞれのレンズを付けたカメラハウジングを2台は海に持ち込むことになる。普通の大きさの普通の魚を撮るには、こうしたレンズは不向きなのが困りものだが、図鑑みたいな写真よりちょっと変な写真が撮りたい私としては、潜水旅行の大事なお供だ。

今日はまじめに水中写真の世界を紹介したが、明日は水中写真に絡んだ“事件”を書いてみたい。

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