東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2008年3月3日月曜日
網走流氷紀行
厳冬の網走に行ってきた。日々反省することが多いので、自ら刑務所の門をくぐりに行ってきた。というはずもなく、目的は流氷見学。
昔から一度この目で見たかったのが流氷。温暖化の影響で見られる機会が減っているそうなので、今年こそはと思って計画。本来は、先々週の週末を利用する予定だったが、流氷がご不在だったので、急きょ延期して先週末に変更。結果は大当たり。
インターネットのおかげで、流氷の接岸、離岸状況はリアルタイムで把握可能。便利な時代になったものだ。先週末は、その数日前に日本列島に吹き荒れた北よりの風の影響で離れていた流氷群が一気にオホーツク沿岸に接岸。環境が整ったので、一路網走を目指した。
女満別空港上空で、除雪作業を1時間も待たされたあげくに到着。最終便だったので夜9時頃にホテルに入り、1件、街なかのお寿司屋を攻めて翌日に備える。
食べたものの話は明日まとめて書こうと思う。
さて翌朝、曇り空だが、明るさは充分。流氷粉砕船「おーろら」に乗り込む前に、朝からタクシーで周辺のビューポイントを訪ねる。
網走から知床に向かうJRの線路沿いにオホーツク海が広がる。海だか畑だか分からないほど白い平原が視界に入る。氷で覆われているものの、降り積もった雪のせいで流氷を実感するほどの立体感はない。北浜駅周辺、鱒浦海岸付近を眺めて、粉砕船ターミナルに向かう。
おーろら号の停泊場所に既に氷は押し寄せており、ウミネコがその上をひょこひょこ走り回っている。いよいよ出港。船はしずしずと走り出す。
沖に向かうにつれ、氷の厚みが増し、船が流氷を砕く音が、ゴワッ、ガリッという感じで響く。船体も揺れたりして迫力満点。双眼鏡で目を凝らすとオオワシやオジロワシといった全長2メートルにもおよぶ、まさしく「猛禽」たちも氷の上で羽を休めている。
防寒対策で荷物が増えちゃったので、当初予定していた300ミリ望遠付きの一眼レフを持参しなかったことを強く後悔する。格好いいオオワシが、あんなにゴロゴロいるとは驚き。小学生の時、図鑑で見て憧れてから初対面だったので、結構感動する。
海に漂う、というか海を覆う氷の大きさは千差万別。光の加減で青っぽく輝く氷がとくに美しい。
「ガリガリ君みたいだ!」近くにいた生意気そうな子どもがそう叫んだので、盛り上がっていた私の気持ちはちょっとしぼむ。それ以来、流氷がどうにも飲食関係物に見えてしまう。しまいには、ブランデーの流氷オンザロックとかを想像し始める。
まあいずれにせよ大自然の神秘。見たことのない人には強くオススメです。1時間ほどのクルージングはアッという間に感じた。暖房のきいた船内からも充分流氷を鑑賞できるが、やはり大半の時間をデッキで過ごした。やはり音や寒さ、風なども大事な要素だ。
下船後、昼食をとってから流氷資料館へ。流氷を見られなかった人が、その不運を嘆くためにあるような場所だが、流氷を充分に堪能した人も楽しめる。
本物の流氷を展示してある零下15度位に設定してある展示室では、濡れタオルを渡され、15回くらいグルグル振り回せと指示される。
真面目にやってみてびっくり。アッという間にタオルはバリバリに凍り、床の上に立てられるほどになった。子ども時分の理科の実験みたいでチョット楽しい。
その後、再びタクシーをチャーターして、一路「能取岬」に向かう。市内から30分弱で着くが、田舎のタクシー30分は、メーターも勢いよく上がり続ける。自分で「オレは富豪記者だ」と言い聞かせ、メーターから目を背ける。
さて、この岬、最高でした。ちょうど太陽が顔を出し、青い空と一面に広がる白く凍った海とのコントラストが実にワンダフル。
岬の突端まで雪をかき分け歩いていくと、高台から360度見渡せる流氷群。実に神秘的で幻想的な雰囲気。船から間近に見る迫力の流氷とはひと味違った美しさに酔いしれる。でもこの岬、とにかく寒くて冷え切ってしまった。
岬を後にしてタクシーの運転手さんに頼み事をする。
「実際に流氷に乗ってみたい」。
日頃、夜のクラブ活動でさんざん手玉に取られている私だけに、オネエサン達を見習って色っぽく運転手さんに迫ってみた。
その結果、連れて行ってもらったのが二つ岩海岸という場所。雪で覆われ、どこまでが砂浜でどこからが海なのかよく分からない。でもゴロゴロ打ち寄せられている固まりは紛れもなく流氷そのもの。
乗っかりました。ロシア・アムール川からはるばる流れ流れて旅をしてきた流氷に乗ってみて大自然の力強さに感動。こういう大自然の驚異を前にすると、日頃悩んでいることが本当に小さく感じられてとても良い。でも現実生活に戻ると、また小さいことで悩み始めるから救いようがない。
その後、宿への帰り道で、凍てつく北海道の冬を象徴するような神秘的な太陽の眺めにしばし見とれる。
翌日も流氷粉砕船「おーろら」に乗船して、一日で雰囲気が変わる流氷をしっかり目に焼き付けて、来年は望遠レンズ付き一眼レフを持ってこようと決意する。
そのあと、おまけで網走監獄博物館へ。多少の悪さはしても、実刑を喰らうほどの悪さをしちゃいかんと心に誓う。
また、北海道の幹線道路の多くが、いにしえの囚人の作業で作られたことを学ぶ。でも、博物館、ところどころに生々しい人形が展示してあって、やたらと不気味。趣味悪し。
いつも通り、痛風覚悟で食べた珍味の話は明日書くつもり。
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