2008年4月21日月曜日

絵に描いたようなダメな店

適当に入った鮨屋で貴重な体験をした。ダメな店の典型をまじまじと見ることが出来た。

入りたかった店に2件ふられて飛び込みで入った池袋の鮨屋。怪しげな繁華街のビル1階、しっかりした店構え。外からチラッと見えた店内の様子もいたって普通に見えた。

入ってみると、板前さんに元気がない。開店前なのかと思ったほど。「元気がまるでない鮨屋」。これだけで大ハズレ。この時点で、出てきてしまえば良かった。反省。

そしてカウンターの端に腰をおろす。なんか臭う。地方都市で何十年も改装をせずに細々と続いている場末のスナックの臭いだ。

後ろを振り返ると水槽があった。なかにはアジやカワハギが泳いでいる。ネタの鮮度を強調したいのだろうが、水槽の水がやたらと汚い。間違いなく逆効果だ。

ホワイトボードにお勧めが書いてあった。結構、通好みの品揃え。のれそれや殻付きウニ、活のボタン海老やツブ貝。

元気のない板前さんにアレコレ尋ねる気にもならず、書かれているラインナップからいくつか注文する。まずくはない。生臭くもない。でも元気がない板前さんに出してもらうと食べる方も元気がなくなる。

しばらくすると外出していたらしき親方然としたおじさんが戻ってきた。当然、客への挨拶や愛想はない。元気はありそうだが、活気はない。

この親方、つけ場に立って、なにやら仕込みをはじめた。私が座っている場所の前あたりが定位置らしく、さっきの元気のない板前さんよりはましだろうと期待する。

すると大きな音量で着メロがなった。親方の携帯だ。当然のように電話に出て、フツーに会話をはじめた。こりゃダメだ。

同席者の手前、いまさら退店するのも微妙な感じで、この日はこの店と心中することにする。

バイトらしき若者が出勤してきた。ボーっと店に入ってきた若者に対し、親方が客がいるにも構わず「あいさつしろ」と叱っている。
もう少しで「お前こそ」と言いそうになる。

続いて親方は、ぴちぴちと活きのいいボタン海老を仕入れてきた入れ物からネタケースに移しはじめる。でも、それが乱暴。ネタケースの中で、跳ねまわり、しめ鯖やイカなどのネタが置かれているエリアにまで侵入。でも散乱したまま放っておかれていた。乱雑。

握りも少し食べた。まずくはないが、うまくもない。味覚と気分は密接に関係する。私の場合、この店では、どんなものもうまくは感じないだろう。

お値段は想像の通り。立地、値段、ネタを考えると、ここで書き連ねた部分がすべて修正されたら、間違いなく人気店になるだろう。

絵に描いたようなダメな店を興味深く観察できたので、それなりに意味のある時間だった。ダメな店って客の目線から言えば、結構単純なことの積み重ねで、ダメになっているのだと思う。でも、その単純なことが当事者には直せなかったり、気付かない。

と、偉そうに書いてはみたが、そう考えると自分の日頃の態度、生活習慣などが、他人からはダメ認定されているのかもと気になりはじめた。気をつけよう。

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