東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2008年5月22日木曜日
相続税調査は秘め事なのか
悪いことをしてしまったら、なるべく内緒にしたくなるのは共通の心理。恥の文化が日本人の特徴だけに内緒にしたいことは誰にでもある。
ところが、内緒にしたい気持ちが広がって、悪いことではないのに悪いことをしたかのように秘密にしたがることがある。
前振りが長くなってしまったが、税務調査の体験なんかもそうした種類にあてはまる。
企業への税務調査ならともかく、個人宅への税務調査となると、何かと世間の目を気にして体験者がその事実を大っぴらにしない。
「あのお宅、そんなに儲かっていたのかしら」とか「なんか脱税していたらしいわよ」といった噂のマトになりかねないためだ。
税務調査といっても、大口悪質脱税に強制権限とともに行われる査察(マルサ)は別にして、その多くが、脱税をターゲットにしているわけではない。
任意で申告内容をチェックされるというのが実態なので、調査を受けること自体は何もおかしなことではなく、恥ずかしいことでもない。
とはいえ、個人宅が税務調査のターゲットになる相続税の場合、脱税の意図がまったくなくても、当事者が既に亡くなっている特殊事情もあって、税務調査があれば、80~90%から何らかの申告もれが見つかっている。
多くが、遺族が知らなかった故人資産が見つかったとか、税務当局との解釈の相違が原因。とはいえ、意図的に遺産の一部を隠すような「悪」のケースも悪意のない「ついウッカリ」のケースも“申告もれ”という意味では同じになってしまう。
脱税の意図が無くても、「申告もれ」という事実は、やはり遺族達にとっては不名誉なこと。つい「相続税の税務調査は来たけど、とくに問題もなく終わったよ」と言いたくなる。
こんな事情もあって、相続税については税務調査の実態があまり世の中に知られていない。
相続税調査の場合、遺族にとって人生で一度きりの経験だということも“神秘”になってしまう原因だ。
そうはいっても、相続税がかかるレベルの人にとっては、税務調査は物凄く身近な話だ。相続税の場合、単純計算して3件に1件は税務調査が行われる。
3件に1件とは、調査件数の申告件数に対する割合だが、例年同じような水準。法人税や所得税と比べるとケタ違いに高い確率だ。
相続税申告のなかには、調査対象になるほどではない単純な内容のものもあるわけだし、実際には遺産金額が高額なものから優先して調査対象に選ばれることを思えば、「それなりの金額のそれなりの内容」なら、ほぼ間違いなく税務調査ターゲットになるということ。
にもかかわらず、上記したような理由で、相続税調査の実態はベールに包まれている。
なんかヘンな話。
「ほぼ間違いなくやってくる税務調査」、「ほぼ間違いなく申告もれが発覚する」という単純な理屈があるのに、税務調査対応の大切さが世間で認知されていない。
税務調査のイロハや特徴、的確な対応法を学ぶことは、無用な申告もれを無くすことにつながる。
もっといえば、申告する前の段階で税務調査対応まで念頭におくことで、微妙な申告上の誤りを未然に防ぐことだって可能だ。
相続に関連して税金対策を検討する人なら、例外なく税務調査対象になるわけだから、あてはまるすべての人々に「相続税調査のすべて」を強くお勧めします。
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