2008年6月5日木曜日

沈没するニッポン人

5月後半のブログで若者のモチベーションについて書いた。簡単にいえば、活気がない、精力がないといった趣旨だ。

今回、フィリピンでノンビリしながら、オヤジの方もろくでもない状態が進んでいる実態を見た。若者批判ばかりではなく、オヤジ批判もしないとバランスが悪い。

沈没組。ひと言でいえばそう表現すると分かりやすい。その昔、タイ・バンコクあたりで、人生を捨てちゃったような日本人の行動が一部で話題になった。

現地に住み着いて、ドラッグやオンナでおかしくなり、日本人旅行者相手に詐欺的な目的で近づいてくるような連中だ。

この手の日本人、若者ばかりではなく、いい歳をしたオヤジも結構いる。たいてい、極端な物価格差につけ込んで派手にオンナ遊びしているうちに崩れていくパターン。

フィリピンでもこの手の世捨て人系日本人が少なくないことは知っている。ただ、今回、セブ島の外れのローカルエリアでも実にビミョーな日本人に遭遇したので、その手の連中の増殖ぶりは推して知るべきかも知れない。

「この辺の町娘なら、日本のミルクチョコレートを2枚も渡せば、やらせまっせ」。セブの外れに住み着いている初老の日本人が真顔で話す。このおっさん、関西で職人仕事をしていたそうだが、職場のそばのフィリピンパブ通いから人生が狂ったらしい。

結局、フィリピン・某都市で、フィリピン人の若い女性と所帯を持って暮らしはじめたものの、何らかのトラブルを起こして、その地にいられなくなり、逃げ回っているとか。

新たなフィリピン人妻は身重の身体で甲斐甲斐しくおっさんの世話を焼く。なんともビミョーな光景。

次に会ったのは40歳代後半のオヤジ。こちらはオンナ狂いで身を持ち崩したわけではないようだが、40代半ばになって、初めて家庭を持った相手がこのエリアのフィリピン人女性。20年以上勤めた会社を辞め、主に蓄えだけで暮らしている。

「毎月5万円もあれば、のんびり暮らしていけるよ。年金の受給開始まで15年以上あるけど、計算ではそれまでなんとか蓄えでやっていけるはず」。

のほほんと彼は語る。彼の発想がちょっとお子ちゃま的に思えるのは私だけではないだろう。この人、大学も出て名のある会社に勤めていた人。まっとうな世間でまっとうに生きていたように見えるのだが・・・。

次にあったのは、世界的なメーカーで技術屋だったという50歳代前半のオヤジ。日本では、独身で実家暮らしが長く、無趣味だったこともあって蓄えが結構な額になり、おまけに死んだ父親の生命保険金がかなり入ったため会社を辞めたらしい。

「テキトーに面白おかしく遊んでまーす」。口から出てくる言葉はエロ系のみ。でも、すさんだ生活をしていることは自覚しているようで「いまじゃあ日本に友達が全然いなくなっちゃったよ」と自嘲気味に話す。 

今回会ったオヤジ達に共通するのが人相。思いっきりゴムが延びたような感じ。そりゃそうだろう。人間、中年にもなれば生きざまが顔に刻まれるのだから、闘うべき年齢なのに闘っていない男の顔は独特になる。

それにしても3人とも「年金がもらえるまで・・」といった趣旨の話をしていたのが印象的。日本の年金制度になんの疑いも持っていない様子。

ある意味でうらやましい感覚だ。ひと言でいえば思考停止状態。じゃなきゃその手の暮らしは出来ないだろう。

仮にニッポンのオヤジ世代に「沈没組」的な潮流が広まっているとしたら恐いことだ。若者の活気の無さを憂いているどころの話ではない。

ところで、さんざん偉そうに書いてきたが、私だって今回の旅行最終日、セブシティの雑踏のなか、きっとゴムが延びたような顔をしていたような気がする。

どこで何していたかは割愛。

自分の人相にはつくづく気をつけようと思う。

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