2008年6月13日金曜日

銀座 鳥匠


先日、早い時間から銀座をぶらついていた。何を食べようかと思案しながらウロウロするのは結構楽しい。

最近、仕事メシ、家メシ以外のプライベートでは寿司と焼鳥しか食べていないなあと考えていたら、結局、またしても頭の中は寿司と焼鳥に支配されてしまった。

この日は魚よりケモノっぽい味を堪能したかったので焼鳥に決定。頭の中は焼鳥一色になる。

銀座に焼鳥屋さんは数あれど、どうせなら入ったことのない店を探検しようと思って「鳥匠」を選んだ。

銀座8丁目、新橋寄りの道沿いのビルの2階。以前からこの界隈を歩いている際に控えめな看板が気になっていた。メニューや店内の写真がビル入口に貼り出されているわけでもなく、どことなく落ち着いた佇まい。

平たくいえば「大衆向けの飲み屋なんかじゃないからな」というオーラが醸し出されている。こういうノリの店が好きな私としては、ついつい覗いてみたくなる。

凛とした引き戸を開けると薄暗い店内にまだお客さんはまばら。特別高級感が漂っているわけではないが、さすがに焼鳥屋にありがちな安っぽさもない。程よい感じ。別に隠れるつもりはないが、隠れ家っぽい感じ。

メニューにはコースが2,3種類と値段表示のない「おまかせ」しか書いていない。迷わず「おまかせ」を頼む。ついでに「野菜は少なめで」と子どものようなリクエストをしておく。「野菜はいらない」と言い切れないところが私の情けないところだ。

生ビールの次にビンの黒ビールで喉を潤す。
付きだしの鶏団子のあんかけが妙に美味しい。期待できそう。

頃合いを見計らって焼きたてが一本ずつ供される。合鴨から。おろしポン酢が乗せられて上質な鴨の脂とマッチする。

かしわ、レバー(血肝)と続く。たれも甘すぎずスッキリした感じで肉の味を邪魔せずに美味しい。どれも焼き加減にかなり神経を使っているのがよく分かる。ふっくらと表現したくなるような焼き加減だ。

ししとうが来たので平然とした顔を作って飲み込んだ。その後は塩焼きが続く。手羽先が実にジューシー。焼き加減はもちろんだが、肝心の素材がとても健康な鶏なのだろう。みんな旨い。

ぼん尻、砂肝もそれぞれバッチリ。コンニャクだったかを肉で巻いた串も一風変わった食感で楽しい。焼酎がやたらと進んでいく。

酔ってくると食べたものを忘れてしまうが、これ以外につくねも美味しかったし、モモが特別印象的だった。比内地鶏の締まったモモ肉を荒く砕いた黒コショウたっぷりで食べさせてくれる。ガツンとおいしい。

ササミにワサビのサビ焼きもササミ自体の味わいが深くて、そこら辺の店とは一線を画す。もう一本か2本食べたような気がするが思い出せない。そのほか後半で出された鶏スープも丁寧に真面目に作られた感じでほっこりした。

食後には桜風味の特性アイスクリーム。季節感は「?」だが、おかわりしたくなるほど美味しかった。

全体にまったりした印象の店だったが、一人で鶏を焼く大将は愛想の良いほうではない。まあおとなしく呑んでいたかった私としては、それぐらいでちょうど良い。

なぜかBGMはずーと石原裕次郎だった。なんとも微妙だが、いざその世界に1時間以上も腰を落ち着けていると、なんとなく馴染んでくる。せわしいジャズが流れているよりいいかもしれない。

お勘定は安くはない。むしろ焼鳥としてはかなり高い部類だろう。とはいえ、銀座界隈の高水準焼鳥であれば、ありがちな値段かもしれない。単純明快に美味しかったので、きっとまた行くと思う。

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