なぜか今頃休みを取ってフィリピン・セブの外れにあるモアールボアール(moalboal)に行ってきた。セブシティで一泊後、2時間半ほどクルマで移動したセブ南部のダイビング村だ。10年ぶりの訪問。
FAME’S VILLAなる新型高級ホテルを手配していたが、ここが大外れ。わずか5室のこぢんまりした宿で、プールもあっていい感じという情報に惹かれたが、客がいない。私だけ。だからスタッフがいない。何を頼もうにも誰もいない。
おまけに一泊したあと朝起きてみると、門に鍵がかかっていて、外に出られない始末。仕方なく塀を乗り越えて脱出し、朝食を食べに行くハメに。最悪。早々に、すべての旅行手配を段取ってくれたダイビングショップの隣にある「EVE,S LODGE」に宿を取り直す。最近建てかえた新館に宿泊。
部屋は殺風景。でも新しいので許せる範囲。エアコンもあるしケーブルテレビもある。潜水三昧旅行だからこのぐらいで我慢。
10年前にイタリア人のおじさんが経営していてビックリするほど美味しかった「イタリアンコーナー」というレストランが隣にあったので早速行ってみた。ところが、おじさんは既に亡く、居抜きで経営を代替わりした新しい店は、適当な内容のメニューばかりで残念。
今回は、とにかく食べ物がダメ。オクラが山ほど入ったチャーハンやデザート以上に甘いだけの海老料理など、思い出すだけでもイラつく料理がいくつもあった。だからフィリピンのリゾートは、他の東南アジア系リゾート地に比べて人気がないのだろう。とにかく潜ることにする。
ダイビングは「オーシャンサファリ」という店で頼んだ。地域最古かつ唯一の現地人経営のショップ。オーナーのネルソンさんは、エリアの副市長だかも務める名士にまで出世した人で実に感じのよいオジサン。
今回私がアレンジを頼んだプライベートチャーターも気軽に安価で提供してくれた。1日3回のダイビングを私専用にチャーターした船で、水中ガイドも船頭さんも私用に専属となる。マイペースで実に楽ちん。写真撮影に最高の環境は整った。こんなボートを一人で占有できて全部込みで1日1万円程度。格安だ。
何はともあれ、久しぶりの真面目な潜水旅行はスタート。天気もよく海のコンディションもよい。船の上からも水中が透き通っている感じがお分かりだろう。
今回撮影したかったのは、浅瀬にこんもり茂った元気なサンゴ。フィッシュアイレンズを使って沢山シャッターを切った。世界的レベルで見ても極上のサンゴが広がっている。ダイビングポイントも船でわずか10分程度。こんなにお手軽に極上サンゴを堪能できるところは貴重だ。
モアールボアールの場合、沖合に浮かぶペスカドール島という小さい無人島周辺がベストポイント。大半のダイバーがそこを目指す。もちろん、ペスカドールもダイナミックなポイントだが、今回私は、そちらにはお構いなしに、セブ本島沿いの沿岸に南北に点在するサンゴがウリのポイントばかり選んで潜ってみた。
浅瀬のサンゴはピキピキに元気でボーと眺めているだけで癒される。極楽だ。上の2点の写真はいずれも水深5メートル程度。太陽の光が燦々と差し込み、緊張感のまるでない水深ということもあって大げさではなく思わず寝そうになった。
いままで潜水撮影旅行に行く際には、特定の魚の写真をなんとしても撮りたいとか、目的をかなりオタク的に絞っていたため、水中でも一喜一憂が多かった気がする。思い返せば、せわしく疲れるパターンが多かったが、今回は漠然と水中に漂うことが第一目的。おかげで弛緩しまくった。
必死に探す被写体ではなく、アチコチにゴロゴロ転がっているクマノミにもついカメラを向けた。
今回、はじめて水中にデジカメを持ち込んだ。ニコンの一眼レフを専用防水ハウジングに入れて撮影するスタイルを15年以上続けていたが、時代の流れでデジカメに挑戦してみた。
デジカメといっても、コンパクトカメラ。いわゆるコンデジだ。潜水機材メーカー「
sea&sea」が発売している「DX-1G」がそれ。リコーのコンデジをOEM生産して、水中写真モードなる画像調整機能を搭載したカメラを専用のコンパクトな防水ハウジングに入れて使用する形だ。
さすがに内蔵ストロボでは水中撮影は難しいので、同社製の水中ストロボを外付けして使ってみた。外付けストロボとカメラ本体を結ぶシンクロコードは、光ファイバーのコードで水中でも取り外しできるスグレモノ。
水中ストロボといえば、カメラ本体とのコード接点が浸水、水没トラブルの多くを占めていたのが水中撮影のかつての常識だ。それを思うとイマドキの機能は隔世の感がある。光ファイバー接続でも自動調光は割と確実で感心した。
今回は、ワイドアングル撮影用にニコンのフィルム一眼レフを多用し、その他、接写などにはコンデジを使ってみた。
上に載せたクマノミの写真はすべてコンデジによるもの。ニコン純正のマクロレンズほどのシャープさはないものの、趣味で楽しく撮影する分には結構な力量だ。正直、コンパクトカメラでこのぐらいの作品が撮れてしまうことにビックリ。自分の昔の苦労を思うと浦島太郎気分だ。
明日はコンデジ作品をもう少し紹介したい。
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