北海道に行ってしまった。
というのはウソで、ある店で旅行したような気分に浸ることができた。
以前にも書いた銀座の「鮨・九谷」にふらっと立ち寄ったときのこと。たまたまお客さんが少ない日だったため、アレコレ珍味をオネダリすることができた。
ツブ貝を山ワサビで味わい、運良く遭遇した鮭児を刺し身でもらい、うっとりとした時間がスタート。
脂ののったブリの刺し身も山ワサビをタップリつけて食べてみた。ひと味違った旨味が感じられてご機嫌。いい調子でグビグビお酒にひたっていた。
「珍味さんは何がいらっしゃる?」。おカマのような私の問いかけに応えて登場したものが、私をすっかり旅行気分にさせてくれた。
「イバラガニの内子」が本日の主役。今年7月24日付、3月5日付の当ブログでもさんざん激賞した、私が最も好きな酒肴だ。
北海道でも、最近はタラバの内子こそあるものの、イバラの内子は入りにくくなっているらしい。そんな貴重な逸品と銀座で出くわすとは感激だ。
貴重品らしく、ちょこっとしか盛ってくれなかったのが残念だが、ちょこっとだからこそ有り難い味が強まる。
そのあと、ニシンの切り込みも登場。麹漬け塩辛のようなこの珍味も、北海道では定番だが、東京では珍しい部類に入るだろう。
そして鮭トバの白味噌漬けも出てきた。この3品を目の前に並べているだけで、一瞬、北海道に飛んできたような錯覚を覚える。
酒はどんどん進む。
尿酸値とか塩分とか血圧とか言う言葉を頭から振り払って、続いて注文したのが毛ガニ。
「九谷」では、質の良い毛ガニを常備していて、つまみでも握りでも、ほぐしたカニ身の上に黄金色に輝くカニミソをしっかりトッピングしてくれる。
普段はカニミソだけがトッピングされるのだが、この日はあまりにもイバラガニの内子に大げさに感激していたせいで、板さんが、内子までサービストッピングしてくれた。
単純な私は、こういうサービスに滅法弱い。男だろうが構わずプロポーズしたくなる。
食べずに眺めているだけでも何杯も酒が進む感じだ。
握りに移ってからも、私の仮装北海道旅行は続く。旬の生イクラの醤油漬け、海水漬けの極上ウニ、松皮ガレイと道内産の美味しさを堪能した。
しめ鯖、コハダも握ってもらい、相当にご機嫌になって、ネオン街のパトロールに向かった。
書いていて思い出した。「九谷」の特徴でもある極上ボタンエビを食べ忘れた!
また行かねば・・。
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