先日、会社に旧友が訪ねてきてきれた。中学、高校の同窓だ。大手証券会社勤務の彼は、本社中枢ラインで官僚化していくのを嫌い、営業の最前線に異動希望を出し、周囲からあきれられたそうだ。
異動希望を出さずにいれば、中東のオイルマネー調達の仕事に行く予定だったそうだが、今後の彼の仕事は、ベタベタな飛び込み営業が中心だとのこと。
住宅地図片手に1日100件以上回るらしい。本人はそれが楽しみで仕方ないと真顔で言う。駆け出し時代、彼は万単位の数の飛び込み営業をした。それをきっかけに今だに家族ぐるみで付き合うような関係の濃いお客さんが何人か出来たそうで、そんな現場に戻ることを希望したというわけだ。
一流大学を出て、超有名企業に入って、結構重要なセクションで歩んで来た人間は、多くがキャリアや知識ばかりに頼りがちになり、現場感覚が希薄になっていく。
中年の域に入っても約束されたラインに安住せずに攻めに出る姿勢って、なかなか勇気がいることかも知れない。
そういう人材がいること自体が、大手企業のパワーの源なのかと思うと、やはり羨ましい。ぬるくない。中小企業人としていろいろと考えさせられた。
ちなみに、彼に聞いてみた。飛び込み営業を頑張ってやってみて、15分以上話を聞いてくれる人の確率はどのぐらいなのか。
せいぜい300人にひとりぐらいだそうだ。おまけに、話を聞いてくれる人の多くが、単純に暇な人で、積極的に資産運用などへの関心を持っている人は限られるとか。
しっかり稼いでいて、運用にも明確なマインドを持つような人は、まず飛び込み営業の相手をしてくれないとのこと。それはそうだ。現役バリバリなら多忙だろうから、そんな営業マンの相手などしていられない。
それでも、飛び込み営業が楽しいんだそうだ。
「怒られたらラッキー。脈アリの証拠」と彼は真顔で言う。綺麗事を言っているようにも見えない。
無鉄砲なのか、偉いのだろうか。
多分、真性のMなんだと思う。
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