2009年2月6日金曜日

眠れぬ夜

日々、ストレスと闘う経営者は睡眠導入剤とか安定剤のお世話になっている人が多い。「マイスリー」とか「デパス」あたりの錠剤は、わが家にも結構ストックがある。

なるべく使わないようにしているが、やはり、いざお世話になるとかなり効く。私程度のストレス性不眠ならコテっという感じで夢のなかに連れて行ってくれる(イヤな夢ばかり見るが・・・)。

薬に頼らず眠くなるためには、やはりアルコールの力は偉大だ。ただ、私の場合、ツマミが無いと呑めないのでちょっと問題がある。すなわち、寝る直前まで飲み食いしていると胸焼けという別な問題が起きてしまう。

薬に頼らず、アルコールに頼らず、スムーズに眠りに誘われるのは読書だろう。私の場合、昔から短編小説が好きで、これまで読んできた本もどちらかといえば短編が多い。

とはいえ、眠れぬ夜にお供してもらうには長編小説のほうが短編小説より都合がいい。短編だと一話を読み切った読後感が頭を活性化してしまう。

最近、面白かったのが、伊集院静著「羊の目」。1年ほど前の新刊時に買ったのだが、ようやく読み始めてアッと言う間に読んだ。昭和初期から現代まで続く大河小説。夜鷹が産み落とした子供が伝説の侠客となって生きていく姿を描いた作品だ。

スリリングなストーリー展開はもちろん、任侠ワールドならではの迫力ある設定や描写に圧倒された。久しぶりに物語の世界にのめり込んだ感覚に陥り、読みながら随所でタメ息が漏れた。

じっくり向き合って読む時間があれば、かなり楽しめると思う。束の間、物語の中の世界に逃避できる点で、寝付けない夜に手に取るにはオススメだ。

先日、旧友と会った際に、ひょんなことで浅田次郎作品の話になった。最近刊行された短編集「夕映え天使」をアレコレ評していたのだが、浅田ワールドが好きなつもりでいた私に旧友がダメ出しした。

「天切り松」シリーズを私が読んでいなかったことがその原因。単行本4巻に渡る長編大河だ。さすがに評判の良い作品だとは知っていたが、今まで縁がなかなった。

長編小説に惚れ直したタイミングだっただけに、叱られついでに翌日いそいそと本屋で購入。巻末の奥付を見たら、さすがに人気作品だけあって、21刷という重版表示。なんだか今まで損していた気分だ。

これが実に面白い。大正、昭和の大泥棒が江戸弁で語る数え切れないほどのエピソードの数々。市井の人々だけでなく、明治の元勲や歴史上の傑物も実名で登場し、筆者の卓越したストーリーテラーぶりが最大限に発揮されている。

アッという間にはまった。今まで縁がなかったことを悔やむより、ここから先、話の長~い展開が一から楽しめるのかと思うとワクワクする。既に読んだ人にとっては、今頃になって騒いでいる私が滑稽だろう。。

スピルバーグの映画「ET」だって、公開後20年ぐらい経ってから初めて見た私だ(おまけに感動して号泣・・・)。仕方あるまい

先日も夜更けの酒場でふと、読みかけの第1巻の内容が頭をよぎった。いい調子で葉巻をふかし、相変わらずのオールドパーを楽しんでいたのだが、脳みそが下した指令は「とっと帰ろう」。さっさと帰宅して夜更けの読書に没頭した。

寝付けない時のために習慣づけようとしている夜更けの読書。でも、没頭しすぎて結局眠れない。なんだかんだ言って最近やたらと寝不足になった。

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