2009年5月28日木曜日

ホタル

もうすぐホタルの季節だ。私は30歳を過ぎた頃から無性にホタルが好きになって、わざわざ関東近郊にホタル旅をすることもある。

あんなに幻想的な世界は他に無いのではないか。この時期は、ネオン街よりホタルの灯りに心が惹かれる。

会社からさほど遠くない距離に椿山荘がある。知る人ぞ知るホタルの名所だ。敷地内にフォーシーズンズホテルもあって界隈でも落ち着いた上質なエリア。もともとは山県有朋邸があった場所だ。

広大な庭園に繁殖させたホタルが飛び交う様子は、まさに都会のオアシス。ホタル鑑賞の時期は、わざわざ椿山荘でバイキングに参加したり、フォーシーズンズホテルでウマくもない夕食をとったりする。ホタル鑑賞のためなら仕方ない。

http://www.chinzanso.com/event/topics/topics090523.html

自然発生だろうが、人工繁殖だろうが私にとっては大きな問題ではない。食べるわけではないのでどちらでも構わない。

風情のあるせせらぎにポワンと浮かぶホタルの灯りにうっとりする。ホタルの生息場所は、緑がうっそうとしていて水辺があることが基本。こういう条件の場所は、なんともいえない「初夏の香り」が漂う。緑と水の混ざり合ったような香りだ

発光するホタルだけでなく、周辺環境の香りがセットとなって風情を作る。画像や映像では感じられないナマの魅力が現場にはある。

以前、出かけた山梨市の万力公園周辺でもそうだったし、群馬県渋川近くの箱島エリアでも同様だった。光と匂いが神秘的な世界を作っている。

桜の季節の花見と違って、ホタル鑑賞の場合、バカ騒ぎして宴会をするイメージはない。どちらかといえば静かな時間だ。

息を潜めてホタルに近づく。持参したウチワに迷いホタルが留まったりしたら、ソーっとその姿を愛でる。まさに侘び寂びの世界だ。

でも手元のホタルをよく見ると、さすがに虫だ。ちょっと気持ち悪い・・・。

ところで、あえて生息地に見に行くより、偶然出会うホタルのほうが嬉しさは増すが、いまどきそんな機会はなかなか無い。

私が見た偶然のホタルは、バリ島と石垣島など。なぜか南の方ばかり。

石垣島では、近くに集落のない場所に宿を取り、潜水三昧していた時のこと。夜も更けて歩いて30分ぐらいかかる飲み屋さんまで出かけて、酩酊した帰り道に遭遇。想定外のホタル登場にしばし路上に座り込んで鑑賞した思い出がある。

バリ島では、山側のウブド近郊で遭遇。隠れ家リゾートに一人で泊まっていた時だ(誰から隠れてたんだかよく分からないが・・・)。

街に出た後、宿の車に迎えにきてもらった帰り道。真っ暗闇の夜の道を眺めていたら田んぼにホタルを発見。しばし、車を止めて鑑賞した。

当日の天気を含んだ気象条件、周辺環境の水質といったハードルをクリアする必要があるし、おまけに短い期間しか見るチャンスがない。こういう希少性にはとても惹かれる。

ちなみに、今日この話を書いていて、全然違う話を思い出した。バリ島でホタルを見ていた時の恐怖の体験だ。記憶からあえて消去していた薄ら寒い記憶だ。

そろそろ暑い季節なので怪談もありだろう。近いうちに思い出しちゃった変な体験を書くことにする。でも思い浮かべたら妙に怖くなってきたので、書かないかもしれない。

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