2009年7月16日木曜日

政治の季節 風はどっちに

総選挙は8月30日に決まった。ほぼ任期満了といえる。当初は2年ぐらいでの解散も想像されていたなかで、4年間が過ぎた。ひとえに前回総選挙での自民党圧勝が大きな要因だ。

さてさて真夏の選挙戦、今のところどう逆立ちしようと民主党の勝ちだ。単独過半数もありえる。民主党の勝利というより自民党の自滅みたいなものだが、順当に行けば9月初旬には鳩山由紀夫首相が誕生する。

いま、まさに民主党はお祭り騒ぎ。はしゃぎすぎ、慢心をいさめる声が出るほど楽観的な空気が支配している。

世襲問題を批判する民主党からは政治家4代目となる小泉元首相の次男について「ルパンだって3世までだ」というハチャメチャな批判の声まで出ている。凄い例えだ。意味不明だ。

対する自民党は麻生バッシングが収まらない。内閣不信任案は全員一致で否決したくせに身内の与謝野財務相からも辞任を求められ、首相の四面楚歌モードは極限状態。

武部元幹事長などは麻生首相を「徳がない」とまで酷評。人として徳がないと言われるのは凄いことだと思う。「徳がないほど酷い人間を首相に担いだのは誰?」って言いたい有権者は多いだろう。私も素直にそう思う。

ちなみに私はどちらかといえば自民党支持に近い。これでも一応経営者のはしくれだ。労働組合が重要基盤となっている民主党に肩入れする気は起きない。かといって今の自民党を応援する気もない。

個人的に社会党とか共産党は論外。話題にするのもイヤ。平沼赳夫代議士の動向には注目していたが、カギを握るほどの第三極になるかどうかは微妙だ。だから支持政党が見あたらない。

仕事柄、各党の政治綱領を目にする機会は多いが、変な話、共感できるのは“幸福実現党”ぐらいかもしれない(本気じゃないです・・・)。

先日、民主党関係者とアレコレ情報交換した。結構生々しい話も聞けたのだが、昨今のあまりの“順風”にかえって戸惑っている様子が印象的だった。

東京都議選で圧勝した民主党、都議選直後に衆院選に持ち込みたかったのか、ちょっと間を置きたかったのかは、微妙な問題だったらしい。

勢いを保ったまま解散・総選挙に持っていきたい意見と、揺り戻しを恐れる意見とが相半ばした様子。

選挙民の心理は、保守勢力にお灸を据えすぎると、まるで自制するかのような揺り戻しにつながる。これまでも何度も見られた現象だ。

保守と革新という構図自体が崩壊している以上、そんな方程式は当てはまらないかも知れないが、“中庸意識”みたいな感覚が選挙情勢に影響を及ぼすのは確かだ。

調子にのりすぎた宮崎県知事がアッという間に逆風にさらされている状況は、有権者の“中庸意識”が発揮された典型的な例だ。

あの騒動はまさしく愚の骨頂だ。化けの皮という表現がまさしく「そのまんま」当てはまる感じだ。

勢いがありすぎても警戒される、出過ぎてしまった杭は必ず打たれる。この摂理が民主党にどう作用するかが気になるところだ。

さきの民主党関係者との話に戻るが、いま彼らが恐れているのが、“情”に流れる展開になることだという。

各種世論調査はもちろん、どこをどう見たって自民党に勝ち目はない。ただ、意外な盲点がひとつ。「同情」とか「弔い」とかその手の浪花節的展開になれば風向きは一気に変わる。

誰が、というわけではなく、自民党中枢の顔が売れている誰かに不測な事態でも生じたら一気に政権交代ムードは飛んでしまうというのが民主党サイドの懸念だ。

ある意味、そんなとんでもなく確率の低そうな話が懸念材料になっていること自体、民主党の圧倒的優位を証明している。

とはいえ、大平元首相が一般消費税導入をめぐる逆風の中、総選挙に突入してまもなく急逝、弔いムードで一気に自民党が大勝したような歴史的事実もある。

8月30日の投票日までどのような動きがあるかまだまだ不透明。圧倒的有利の民主党だって、爆弾はいくつも抱えているし、さっきの宮崎県知事の例もある。風が突然、逆風に変わることは珍しくない。

ここから1か月、各陣営入り乱れて、高度な情報戦、攪乱作戦が展開される。それこそ魑魅魍魎が大活躍する1か月になりそうだ。

どんな結末が待っているか興味深い。

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