江戸っ子の粋を体現する場所のひとつが蕎麦屋。注文の仕方、汁のつけかた、すすりかた等々ウンチクがいっぱいある。
「天ぬき」もそんな素材のひとつらしい。天ぷら蕎麦の天ぷら抜きではない。それじゃ「かけそば」だ。あくまで蕎麦を抜くのが天ぬき。汁に天ぷらだけ。
酒のつまみにポピュラーだったらしい。ウソかホントかその昔は、その店で馴染みにならないと天抜きを注文するのは無粋なことだったとか。
粋だ無粋だというジャンルではなさそうだが、関西でポピュラーな「肉吸」も麺を抜いちゃう意味で同様のメニューだ。
肉うどんのうどん抜き。卵入りだとかどうだとか関西人には色々とこだわりがあるらしい。東京人の私にはあまり縁がない。
カツ煮も同様な位置付け。カツ丼の上だけ。すなわちカツ丼のご飯抜きだ。私も草野球に熱中していた30代前半の頃は、試合後に立ち寄った蕎麦屋でいつもカツ煮で生ビールをグビグビしていた。
そう考えると幅広い料理に「抜き」という食べ方が潜んでいるのかも知れない。人それぞれ独自の「抜き哲学」があるのだろう。
噂によるとマクドナルドで「ピクルス抜き」、とか牛丼屋で「ネギ抜き」を頼むのは珍しいことではないらしい。実際に試した人がいるかどうかは知らない。
ダイエット中は私もハンバーガーの「パン抜き」を断行する。とはいえ、そんな注文は恥ずかしくてできないから、普通に受け取ったあとで、こっそりパンをどかして中身だけ食べる。
出前ピザの「生地抜き」も私の得意技だ。Lサイズを注文、それも当然トッピングを追加してダブルチーズだ。食べる時にはフォークが必需品。生地を残して上だけを剥がして味わう。
カロリーが相当抑えられる。それ以前にドーンと重くないので沢山食べられる。
贅沢なので少し富豪気分も味わえる。
さて今日はなぜ「抜き」の話を取り上げたかというと、ここ2~3か月まともに寿司を食べていないことに気付いたから。
お寿司屋さんに行くこと自体は以前より多いぐらいだ。でも、握りは1貫か2貫しか食べていない。まったく粋ではない。でも、こういう状況を寿司の「シャリ抜き」と呼ぶのかもしれない。
画像は高田馬場の鮨源でちまちまつまんでいたラインナップの一例。白子にウニイクラ、シャコツメのおろし和え。それぞれシャリに載っけたら違う美味しさがある。
食べたい。
考えてみれば、お寿司屋さんにいる以上、普通の刺身も注文の仕方を変えてみようかと思う。
「赤身とヒラメを少しづつ、シャリ抜きで!」
「ネギトロ巻き、シャリ抜きでね!」
結構いいかもしれない。
今度やってみよう。
それにしても下らないことを考えている自分にイラつく。空腹すぎるのだろうか。
はじめまして。
返信削除鮨源常連になるほどいいですか?40年地元です。
ネタには文句ないですが、寿司としてはそれほど感動する程ではないと感じました。値段相当の店だと。バブリー趣味の寿司屋の典型だと・・全総理が行ったとか・・外さないのはメリットですが・・、F1ビル店潰れましたし、馬場店も地元では誰も行ってませんよ。店員も傲慢に感じました。常連には揉み手で応対するタイプですよね。手頃でもっと旨い隠れた名店職人技店(グルメブックには滅多に載らない)秘密の寿司屋沢山ありますよ。
飲食店の印象なんて多分に主観的ですから!
返信削除自分にとって居心地が良いかどうかがすべて
だと思います。
とびきり旨い鮨をとびきり腕の立つ職人が握る店でも、店との相性が悪く居心地が悪かったら意味ないですし。。
いずれにしてもコメント有り難うございます!。
私は、66歳のおじいさんです。
返信削除鮨は大好きで、20歳の頃から鮨屋に入り浸り、今でも週に4~5日は、割烹鮨に行ってます、当然NO1の常連です。
蕎麦屋の「天抜き」をご存知の筆者様が、鮨屋の「しゃり抜き」をご存知ないのは、変だと思いました。
「天抜き」も「しゃり抜き」も同じ使い方ですよ、しゃりだけの握り、もしくは、しゃりにワサビだけを載せたものを「しゃり抜き」と言います。
米の配合、炊き方、酢の乗り方、などを味わうために、具を乗せずに食べるのです。
ちなみに、「天抜き」は、そばを入れない分出汁を少なく、かえしを多くして戴きます。
しゃり抜きの件、恐れ入りました。
返信削除改めて勉強させていただきました。
シャリのうまさはネタなしが確かに一番味わえますよね。ワサビだけ載せるパターンも今度挑戦してみます!