諸外国からの支援申し入れが134カ国と39の国際機関にのぼった(3月30日現在)そうだ。なんかピンとこない数字だが、これって結構凄いことだと思う。一昔前のオリンピック参加国と同様の数字だ。世界の大半の国と言っても大げさではない。
正確な記録は知らないが、20万人以上が亡くなったスマトラ大地震の時でも被災地支援は5~60カ国だったような記憶がある。
1千年に一度という規模も歴史的だが、国際社会の支援という意味でも今回の震災支援の輪は歴史的だ。不謹慎な言い方かもしれないが、日本も捨てたもんじゃないなという印象だ。
とかく、日本人には自国を卑下する習性がある。世界から嫌われているとか、孤立しているとか、ネガティブに自分達の国を捉えがちだ。今回の国際的支援を見ると、こうした自虐感は一種の呪縛だったんだろうと思う。
世界から大事に思われている事実、まだまだ捨てたものじゃないという事実、自虐的解釈ではないこうした感覚も復興へのエネルギーにつながると思いたい。
前向きな気持ちや確固たる自負心抜きに新たな一歩は生まれない。いじけていても屁の突っ張りにもならない。
今回の大惨事をめぐっても世界のメディアは、日本人の忍耐力や道徳心をこぞって賞賛した。この根っこの部分があったからこそ支援の輪が世界中に広がったとも言える。
「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」(PHP新書)という本を読んだ。大災害の後だけに各地でベストセラーになっている一冊だ。
筆者は旧皇族の竹田恒泰氏。出自ゆえに、それなりに日本への思い入れが強すぎるきらいもあるが、全体的に客観的なデータが駆使され素直に面白い。単なる情緒的な日本礼賛モノとは一線を画した内容だ。知られざる日本の魅力、日本人の個性が数多く紹介されている。素直に気持ちの良い本だと思う。
被災地だけでなく、国全体のマインドが低下し、重苦しい空気が消えないいまだからこそ、読み応えのある一冊だと思う。右翼、左翼に関わりなく、客観的な海外メディアの報道や世論調査の結果などのデータを示されると、思わずうなずいてしまう。
最近、余震にビビッて睡眠導入剤を飲めない代わりに、随分と深夜の読書が増えた。面白い本だと、逆に目が覚めてしまうのが困る。
いくつか印象的だったものを上げてみる。
●「悪名の棺-笹川良一伝」
我々の世代にとって笹川良一は、テレビコマーシャルで「一日一善」と叫んでいたオジサンだ。オトナになるにつれ、得体の知れないフィクサーとしてのおどろおどろしい話ばかり耳にした。この本は、そうした伝説に対抗するような「善」の部分にスポットをあてた一冊。昭和裏面史という意味で読み応えアリ。
●「陽だまりの時間」
「だからあなたも生き抜いて」がベストセラーになった大平光代さんの本。イジメ、自殺未遂、転落、極道の女房を経て、一念発起して司法試験に一発合格した波瀾万丈の人。実は私は「転落した人の再起もの」にはあまり興味がない。とはいいながら、大平さんはその後、ダウン症のお子さんを産んで前向きに子育てに励んでいると聞いて読んでみたくなった。ダウン症つながりだ。
●「潜入ルポ ヤクザの修羅場」
ヤクザ専門誌?編集者だった筆者が見てきた極道さん達の興味深いエピソードがテンコ盛り。ウケ狙いの任侠モノとは違うかなり突っ込んだルポ。面白くて一気に読んだ。版元が文春新書だけにお笑い系ではないのだが、笑える部分がとても多い。
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