草食男子がはびこるおかげで、肉食世代に回ってくる「食べ物」が豊富になって何よりだと思う。
いや、やはり若い人たちが肉食になって頑張ってくれないと、こっちの老後が心配だから、少しは分け前をプレゼントしようかと思案中だ。
わけの分からない話を書いてしまったが、先日、人から聞いた話だと、若者の草食ぶりはかなりひどいらしい。
その人の目撃情報によると、都内某所の若者で賑わうプールでのこと。見るからにナンパ待ちをしている女子グループのそばで、いくつもの男子グループが男子だけで楽しくはしゃいで帰って行ったそうだ。
健康的といえなくもないのだろうが、我々の世代からすると、純粋に不健康な行動だと思いたくなる。
2~30年前、ヒドいことになっていた伊豆七島あたりも今では草食系の男子たちが男同士で草でもはんでいるのだろうか。少し心配だ。
最初から大きく話がとっちらかってしまった。今日は、肉を食べる話を純粋に書こうと思っていた。そっちの話に戻す。
松阪牛、近江牛専門の焼肉屋さんに出かけた某日。結局、たくさん食べたのは、ハツとかホルモン系、あとはチャンジャとかユッケ。韓国焼酎を呑んで辛いクッパを食べておしまい。
どうにも「どうだい牛肉だぜ」みたいな肉が食べられなくなった。
若い頃はカルビだけで5,6人前は一人で平気で食べられたのに、自分のだらしなさが悲しい。ウマいなあとは思うのだが、ちょびっとで満足してしまう。加齢だ。
今では、牛よりも豚、豚よりも鶏が好きな肉類の順番になってしまった。
というわけで、先日、久しぶりに鶏肉をブリブリ食べてきた。新宿に昔からある水炊きの店「玄海」。ここのスープが絶品で、気付けば訪ねたくなるのだが、だいぶご無沙汰した。
鍋物といえば、すき焼きだろうが、しゃぶしゃぶだろうが、フグだろうが、クエだろうが、主役よりも野菜が幅をきかせているのが難点だ。
その点、「玄海」の水炊きは最高だ。鍋の中には鶏肉だけ。野菜はカケラ一つもない。登別とか霧島温泉のように白濁したコクのあるスープに包まれてブツ切りされた鶏肉がゴロゴロ。
この潔さがたまらない。どう考えたって鍋に野菜を入れれば薄まっちゃうし、ヘタすると鍋の旨味を野菜が吸いとってしまう。
スープを楽しむことがこの店の魅力の70%を占めるような気がする。漉したニンニクを加えて味わえば、まん丸く、かつ、がっつりした旨味が口の中に広がる。バツグンだ。
ブツ切りされた鶏肉は特製ポン酢で食べる。骨の周りの肉までチューチュー絞り取って食べ続ける。
牛肉にはすっかり弱くなってしまった私だが、鶏肉相手だと際限なくむさぼり続けることができる。不思議だ。
スープだけを追加注文することも可能だ。いつも当然のように追加する。熱いスープを肴に冷酒をグビグビ呑むのが最高だ。私の価値観の中で、液体方面?で酒の肴になるのは玄海のスープぐらいだ。
鶏のロース焼きも食べた。単純明快に焼き上げた奇をてらっていない一品だ。両手でバキバキと裂き、したたり落ちる肉汁にヨダレを垂らしながらカブりつく。素直にウマい。
ケンタッキーフライドチキンに10回行くのなら、この店に1回来るほうが、人として正しいように思う。ちょっと大袈裟か。
こちらの店は基本的に全席個室で、店の作りも昔ながらの料亭風で居心地も良い。さすがに一人メシには場違いだが、恋人、接待、家族、友人同士など、相手を選ばない懐の広さがある。
小さめの個室に陣取り、素敵な女性と二人、冷酒を差しつ差されつしながら、ズズズっとスープをすする状況がイチオシだと思う。
コラーゲンをたっぷり吸収した肌を、その後デザートとしていただけるかどうかは別として、お店のどっしり感は意外なデートの穴場と言えそうだ。
いまハヤリのインチキっぽい和テイストとは一線を画した純日本的造りは、束の間の小旅行気分になれる。変に格好良すぎるレストランなんかよりオススメだと思う。
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