幸せな時間、ウットリする時間は数々あるのだが、このブログに大っぴらに書けることは限られる。だから今日も大っぴらに書ける内容に終始します。
ほっこり癒される時間が過ごせるのは、お寿司屋さんのカウンターだ。もちろん、初めて訪ねる高級寿司店なら緊張するが、何度も通っている店ならホゲホゲした時間が過ごせる。
寿司好きを自認する以上、基本的に苦手な寿司ネタは無い。ベチャッとしたトロとか、生臭い青魚は困るが、一定レベル以上の店ならそんな心配はない。
安さをウリにする店とか、回転寿司に行くことになれば、まっとうな寿司屋と違ったネタを食べる。貝や青魚はなんとなく避けて、邪道系の創作寿司を食べて喜んでいる。
貝と青魚はそれなりの店に限る。青魚は生き腐れなんて言葉があるぐらい鮮度が落ちるのが早いし、貝には、そもそも貝毒という厄介な敵が存在する。
ホタテやアサリなどの二枚貝にある貝毒は、水が温む季節に危険性があるようだが、出荷段階で随分チェックされているようなので心配しすぎても仕方がない。
牡蠣もヘタをすると肝炎になるほど厄介なウイルスがいることもあるようだが、こちらも出荷時にかなり厳しく管理されるようなので、まともな店で食べる分にはさほど心配する必要はない。
いつもガラガラだったりする店や安さだけをウリにする店では、ナマモノはなんとなく避けている。やっぱりコワい。激安焼肉屋で激安レバ刺しにあたって亡くなった人がいるが、やはり、ナマモノとかアクが強い食べ物の場合、安さにつられるのはリスキーだろう。
私の場合、自分の体調が弱っている時には、信用できる店でも貝類を生で食べないように心掛けているが、普通の状態ならせっせと摂取だ。ウマそうな逸品に出会えば、身体の奥底からそれを求めてしまう。
これからの季節は、ナマのトリ貝も出てくるし、初夏に向かって貝類のウマ味は捨てがたい。アオヤギの握りなんて甘味とウマ味と塩味が混在して、これぞ寿司!って感じがする。
先日、毎週のように訪ねる高田馬場・鮨源でびっくりするほどデカいホタテを食べた。
今日は何を食べようか、いつもと違うモノが食べたいなどと贅沢なつぶやきを発したら、いにしえの武田久美子もびっくりなサイズのホタテ貝が出てきた。水着代わりに使ってもちっともセクシーにならないデカさだ。
上物を仕入れるこの店でも、数年ぶりに入った逸品だとか。漁師目線では10年モノとの触れ込み。もちろん天然モノだ。
10年間、北の海で誰にも捕まらずにフラフラしていた運の良いホタテだ。アホみたいにデカい。海の栄養分から放射性物質?まですべて飲み込んで育ってきたのだろう。
デカすぎて大味だったらイヤだなあと思ったが、捌きたてを刺身にしてもらったら、実に甘味たっぷりでニンマリできた。
普段、ホタテをあまり注文することはないのだが、自然な風味と肉質の締まった感じは、怪しい居酒屋で食べるような怪しいホタテとは別モノ。肉でも魚でもない独特な味わいに大満足。
刺身にしてもらった部分以外は、「バター炒め」に変身だ。この店では、ホッキ貝、牡蠣、はたまた馬刺し用の馬肉までバター炒めにしてもらった経験がある。我ながら実に迷惑な客だと思う。
一応、混雑していない時に頼む程度の気配り?はあるが、いずれにせよ、有難くない習慣だろう。
さてさて、ホタテバターだ。まるで中華料理屋かのような鍋をふる音、醤油とバターを炒める香ばしい匂い、ここは寿司屋か?と言いたくなるようなスペクタルタイムを経て「スーパーホタテバタースペシャル」が完成した。
貝柱の部分、ヒモの部分、そして、キモに卵巣、すべてが渾然一体となり、つけ合わせのシメジも加勢してエロティックな脂の輝きと香りをまとっている。
見た目と香りだけで白飯が食べられそうな風情だった。キモは決してクドすぎず、苦すぎず、焼酎のアテとして抜群の存在感。ヒモがまた最高だった。適度な噛みごたえに濃縮された風味、これまた酒のツマミにバッチリだ。
たったひとつのホタテの命が私を幸福にしてくれた。ヤツは寒い海の中で来る日も来る日も10年も這いつくばって、この日に備えてくれていた。余すところ無く胃袋に歓迎してやるのが礼儀だ。
尊い命を有難くちょうだいした。そんな殊勝な気持ちになった。
なんか随分と熱く語ってしまった。
そういえば、先日、母親から連絡が来た。このブログを熟読したらしく、「日々、身体に悪そうなモノばかり食べやがってアホじゃないかボケ!」という趣旨の内容だった。
用件はそれだけだった。暇なんだろう。
そんなに毎日毎日、ウナギだトンカツだ焼肉だと飽食三昧しているわけではないが、こういうブログなんかでまとめて書くと、連日の不摂生に見えるらしい。
そうは言っても、連日、精進料理ばかり食べているなどと書こうものなら、きっと「身体を壊したのかアホ」とか言ってくるのだろう。
まあ、暴飲暴食自体が健康の証しだと思ってもらおう。
0 件のコメント:
コメントを投稿