2012年3月12日月曜日

ピラフ文化論

ピラフが物凄く好きだ。ピラフという言葉の響きも良い。「エディット・ピアフ」みたいで素敵だ。チャーハンという音よりもウキウキする。


思えばコメ好きな人生を歩んでウン十年。ハイカラ好みの祖父の元で育ち、食べ盛りの頃にはこってり系の肉や洋食類をせっせと食べてきたから、「洋モノっぽいコメ」であるピラフには萌える。

若い頃、飲食店を開くのなら「コメ専門店」だ!と真面目に考えていた。ピラフ、チャーハン、リゾット、パエリア、おにぎり、雑炊、ちらし寿司、ドリア、ライスコロッケ等々、なんでもかんでもコメにこだわる店があったら楽しい。

そんな店があったら頻繁に通いたい。生タマゴかけご飯、味噌汁ぶっかけご飯、ドライカレー、ビビンバ、おこげ、チキンライス、ナシゴレンにビーフンだって仲間に入れよう。

書いているだけでウットリする。

なんだっけ。そうだ、ピラフの話だ。

聞くところによると、ピラフの発祥の地はトルコあたりの中東方面だとか。チャーハンとの違いは、炊いていない米を炒めてからスープで炊く点だ。

炒めメシとは違うコメの芯の雰囲気が僅かに感じられるようなピラフが私は好きだ。あまりフガフガしたピラフは好みではない。

最初に書いたように「洋モノっぽいコメ」というイメージもあって、和風ピラフみたいなのは苦手だ。あくまでエビピラフとかチキンピラフ、シーフードピラフなどの「全部カタカナ」のピラフがよい。

ステーキピラフとか、主役がどっちなんだか曖昧なピラフもちょっと違う。あくまでピラフとして燦然と輝いている感じに惹かれる。

ついでに言えば、ピラフとは別に特製ソースが添えられて出てくるようなヤツが最高だ。たまらんちんである。

シャトーソースだとか、マデラソース、アメリケーヌソースだとか良くわからん名前の液体が別容器で勿体ぶって出てくると心が震える。

妖しく輝くピラフにピトッとかけたり、ベチャッと混ぜたりしながら複雑に拡がる味わいを楽しむ。うーん、書いているだけで食べたくなってきた。

こだわりたいのは値段だ。暴論かもしれないが、「ピラフこそ高価なものを選べ」と主張したい。

つけ合わせのライスなんかではない。あくまでその食事の中心だ。メインだ。高い値段が付いていれば、店だって作り手だって、「たかがピラフ」という扱いはしない。

1500円以上はして欲しい。3千円とかのピラフをメニューに見つけるとシビレそうになる。金欠の時だって、なりふり構わず注文したくなる。

高価なピラフであれば、具材もまともだし、その店の名物だったり、伝統を背負っていたり、たいていバッチグーな存在だ。

「ソースとともに供される値段の高いピラフ」といえば、必然的にホテルのレストランが多くなる。

冒頭の画像は、このブログでも何度か書いたグランドパレスのピラフだ。私にとって憩いの逸品。ついつい「大盛りで」と注文することが多い。

その他に記憶に残っているピラフは帝国ホテルのチキンがゴロゴロ入ったピラフだとか、リーガロイヤルホテルのシーフードピラフ、パレスホテルのピラフもクセになる味のソースが付いていた。


先日、丸の内の東京會舘でもウマウマなピラフを食べた。ここは宿泊施設は無く宴会場のイメージが強いが、レストランの味には定評がある。

その日味わったのは、エビミソ風味たっぷりのソースをかけて味わう小海老のピラフ。さすが、日本古来?の日本人向けフレンチの老舗だけのことはある。丁寧に作られた料理人の矜持を感じる逸品だった。ペロペロ食べた。

発祥が中東といっても、昭和のニッポンに花開いた「ニッポンの西洋料理」の究極の到達点がピラフなのかもしれない。

ちょっと大袈裟だが、コメ文化を誇るわが国が脱亜入欧に突っ走った結果がスペシャルなピラフという形で結実したのだと思う。

でも、そんなピラフ様にも困った問題がある。「ヨソの国から伝来した料理を、日本人による日本人のためのコメ料理に昇華させたもの」といえば、カレーライスの方が国民的人気を誇る。

「ニッポンの洋食(コメ料理編)の到達点」?という崇高な地位は「カレーライス」に独占されている。ピラフにとっては実に差別的な現象ではないだろうか。

資生堂パーラーだったか、1万円もするカレーライスがあったり、ホテルレストランでも名物的な人気を誇るコメ料理はカレーライスだったりする。

ピラフ派の私としては、カレーライスの陰に隠れているかのようなピラフの立場に同情を禁じ得ない。復権というか、あいつの地位確認のために必死に応援したくなる。

定期的に高級ピラフを食べ歩くサークルでも結成しようか。賛同する人はいるのだろうか。

大真面目に「チーム・ピラフ」を検討したい。

3 件のコメント:

  1. 尤もなご説明、感服致しました。私も幼い日に祖父母に連れられてホテルのダイニングルームで味わうんピラフが大好きでした。殊に東京の帝国ホテル、大阪のロイヤルホテルなどのクラシックホテルのダイニングルームはピラフはピラフの皿とは別に供されるソースボートに入ったソースが絶品でしたね。中でも宝塚ホテルのピラフは皿だけがまず運ばれ、ピラフは目の前でサーブされるという高級感あるサービスでした。帝国ホテルは10年ほど前一階のティールームで喰べた記憶が有りますが、他のホテルはどうなんでしょうかね?
    お書きになられてる東京會舘のピラフは三島由紀夫も愛した舌平目のピラフ、シャトーソース添ではなきかとおもいますが、現存するピラフとしては飯倉、西麻布のキャンティのビーフピラフもなかなかですよ\(^o^)/。

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  2. コメントありがとうございます!

    宝塚ホテルのピラフ、なんだかウットリする話ですね!

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  3. コメントありがとうございます!

    宝塚ホテルのピラフ、なんだかウットリする話ですね!

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