セブ旅行のネタでブログの更新を何度も引っ張ってしまってスイマセン。
今回は水中で抱卵状態の魚を随分見たが、抱卵以前の交尾をめぐる珍事件にも遭遇した。
ニシキテグリは、私がもっとも好きな魚。コイツが撮影できるポイントがあれば、他の用事をさておいても潜ることにしている。英語名はマンダリンフィッシュ。青とオレンジの微妙なトーンが美しい魚だ。
全長は6~7センチほど。一体何をしたいのかと思うほどカラフルだ。顔が変なところも良い。「カラフルなのに変な顔」。実に愛らしい。動きもチョロチョロと跳ねるような感じで可愛いったらありゃあしない。
水深の浅いサンゴのガレ場に生息していることが多く、顔を見せてくれるのは基本的に夕方から日没ぐらいまで。表に出てきて泳ぎ回ってくれないから撮影はなかなか厳しい。
ある日の夕方、日没間際にガイドさんと二人でニシキテグリ撮影に出かけた。ほとんどナイトダイビングに近い感覚になる。
しばしガイドさんとともにコロニーが生息する場所で被写体を探す。この日は、いい感じにオスがチョロチョロ動き回ってメスを探していた。
ひょっとしたら交尾シーンに遭遇するかもと期待に股間、いや胸を膨らませてバシャバシャ撮影していた。
そのうちメスとペアになって、チョロチョロし始めた。
ところが、肝心な時に私のカメラに無情な表示が点灯。「バッテリーがありません」だと。初めて使うカメラだけに、どの程度使えばバッテリーが消耗するかを把握していなかった。大失態だ。その日の朝にフル充電していたのだが、この日3本目の潜水で力尽きたようだ。
そして、無情な表示が灯ってから、わずか1~2分で、ペアになったニシキテグリはガレ場の上に上がってきて、そこから寄り添いながら50センチほど急浮上。しっかりメイクラブをしやがった。
私の目の前わずか1メートルにも満たないような距離で、それも真っ正面でやりやがった。バッテリーさえあれば、どんな初心者でも決定的瞬間を撮影できそうなぐらい整った環境での出来事。
AVの撮影現場に特等席を用意されたのに居眠りしちゃったような感じだ。
カメラ1台につきバッテリーを3個も持参して来ていたのに、つくづく自分の不甲斐なさを痛感する。しばし呆然。
その悔しさを晴らそうと、24時間後の日暮れどき、懲りずにニシキテグリ様の住まいを再訪した。もちろんバッテリーはフル充電済だ。
この日も、そこそこ姿を見せてくれていたが、連日のメイクラブを目撃できるかは時の運。這いつくばって1時間近く、一歩も動かずニシキテグリを観察。
考えてみれば出歯亀ダイバーだ。ニシキテグリにしてみれば実に迷惑な話である。
この日もペアになったニシキテグリがチョロチョロし始めた。よしよし、今日もやりそうだ。スケベテグリめ!などと思いながらも何とか撮影しようと意気込む。
それこそ、刺激的な光を発してしまうストロボを控えるために、しばし撮影をやめて見守るぐらいの余裕を持って「その時」を待った。
ところが、ペアで動き回っていたメスのほうが見当たらなくなった。どうやらその気が失せたようだ。慌てるオス。落着きなくチョロチョロ動き回っている。
ふられてしまったニシキテグリ。私も男だ。ちょっと気の毒に思った。その瞬間、あろうことかヤツは自分だけでガレ場の上に上がってきて、本来なら必ずペアでするはずの交尾のための急浮上を寂しく一人で始めた。
お口あんぐりである。まさにやけっぱちである。パニック状態みたいだ。暴発クンだ。おまけに私のほうに向かって突進して来るではないか。
暗闇の中、本来いるはずのガレ場の中ではなく、広大な水中をライトに照らされながらヒラヒラ泳ぐニシキテグリ。なんとも幻想的だが、なんとも異様な光景だ。
まさに「ニシキテグリが飛んだ日」とでも言おうか、実に珍しい光景だろう。
あたりはすでに暗闇。水中ライトが照らす範囲しか見えない。ほどなく、突進してきたニシキテグリを見失う。
すると、ガイドさんがぎゃーぎゃー騒いでいる。何事かと思ったら私の太もものあたりにヤツがへばりついている。なんてこった!
たぶんヤツは、連日メイクラブの邪魔をする私に「何で邪魔するんだバカヤロー、お前も男ならオレの気持ちがわかるだろ、チクショー!」って感じで猛烈な抗議に及んだのだろう。
ガイドさんが、私にへばりついたニシキテグリをそっと手に取った。パニックになって疲労困憊したのだろう。何とヤツはガイドさんの手のなかでマッタリしている。あれほど臆病な魚、なかなか全身さえ見せてくれない魚が「手乗りニシキテグリ状態」である。
いま思えば、私のほうこそパニックだったのだろう。せっかくの珍事だったのに肝心の画像がたいして撮れていない。手乗りの画像だって、ストロボ光が回っていないし、どうして太ももにへばりついていたヤツを撮影しなかったのか、大いに後悔している。
ヤツの怨念にビビっていたのかもしれない。
やはりヨソさまのセックスを覗くような悪趣味なことはしてはいけないと痛感した。
今回の潜水旅行では、クルマで3時間移動すれば、100%の確率でジンベイザメと至近距離でダイビングできるポイントにも誘われたのだが、面倒だったので断った。実は少し後悔していたのだが、このニシキテグリ事件のおかげで後悔の念も吹き飛んだ。
ジンベイザメの何千分の一程度の大きさしかないニシキテグリだが、私にとってはヤツとの超絶的体験のほうがジンベイよりも魅力に感じる。
まあ、実際にジンベイを見たら、全然違うことを感じるとは思いますが・・・。
今日はついでに、先日アップしなかった画像を何点か載せておきます。クリックすると大きな画像で見られます。
ワイド画像はキャノンのEOS-KISS・X3をSEA&SEA社の防水ハウジングに入れて使用。レンズはトキナーのフィッシュアイズームレンズ(AT-X 107 DX Fisheye)。
全体を見返してみると、一応それっぽく撮影は出来たが、やはり1年半もブランクが開いていたので、自分としては不満が残る内容だ。一昨年秋に石垣島で潜った時のほうがよほどシャープでキリッとした写真が沢山撮れた。
うーん、もっと画期的な画像が撮りたい。今年は時間を作ってもっともっと潜りに行こうと思う。
マンダリンフィッシュ可愛いですね!(^^)!
返信削除手に載せるなんてすばらしい体験(^^♪
一度やってみたいです。
水槽の中なんて生きたイサザアミや微生物のような甲殻類を大事に与えてもなかなかなつかないのに・・・(T_T)
ワタシもダイビングやりたくなりました。
素敵な写真を有難うございます~。
みん様
返信削除ニシキテグリ飼われてるのですか?
うらやましいです。
あのチョコマカした動きが堪らないですよね!
「手乗り」は非常にレアな体験でした。