ジャンクフードの定義はよく分からないが、端的に言って、テキトーな素材をそれっぽく、かつ安く食べさせるものだろう。
言ってみればフツーの人がフツーに日常食べているものの多くがジャンク系だと言うことも出来る。
高名な料理評論家とかレストラン批評家などもジャンクフードを食べているのだろうが、やれペヤングがウマいとか、やれフィレオフィッシュのタルタルソースは最高だか、生卵かけご飯は生卵のデロデロ部分を捨てるべきだという話を一向に聞かない。不思議だ。
私もジャンク系は大好きだ。コンビニで売っている得体の知れない肉を使っていそうなフランクフルトとかも喜んで買うし、マックのポテトをバニラシェイクと混ぜて食べたりもする。
あまったソーメンを油で炒めてウスターソースをかけて食べるのも大好きだ。
ジャンクというには少し気の毒だが、ビアガーデンのつまみなんかも安っぽい味がすればするほど不思議とワクワクする。
先日、銀座7丁目の「文化財」であるサッポロライオンにビールを飲みに行った時もついつい余計なモノをたくさん注文した。
場所柄と伝統のせいもあってイマドキの格安居酒屋よりはよほど高いのだが、グルメ評論なんかとは無縁という意味では、ジャンクに近い位置付けだろう。
上から紙カツ、チキンライス、塩焼きそばだ。それ以外にはソーセージとか枝豆とか定番系もワシワシ食べた。ローストビーフも価格を抑える意味もあってか、ちっとも脂っぽくない。かえってオッサンには好都合だった。
ビールを飲みたいオヤジを唸らせる昭和ジャンクの殿堂みたいなメニューがやたら楽しい。
スーパーモデルのヌードよりも隣に住んでるオネエサンのパンチラのほうがワクワクするのと似ている。
気取ったレストランで、平たく言えばカツのくせして得体の知れないソースが勿体ぶってかかっている料理より、ウスター、中濃、トンカツソースを好き放題使える店のほうが有難い。
フツーの偉大さとでも言おうか。スーパーモデルの脚線美より、電車で向かい側に座っているお姉さんの太もものほうがイタズラしたくなる心理とでも言おうか。
そんな感じだ。
さて話は変わる。
ジャンクの世界では見かけない「上質な素材」に出会うためには、それなりの路線の店に行く必要がある。素材そのものをストレートに楽しむような料理なら、それなりの出費も伴う。
先日ふらっと立ち寄った赤坂の肉料理店は、希少な肉の部位をあれこれ揃える面白い店だった。
店の名前は「金舌」。結構な人気店のようだ。偶然入ったのだが、肉をやたらと自慢気に出してくる。
正直、ぶっ飛ぶほど凄い肉を出しているとは思わなかったが、さすがに全部ウマかった。
カイノミ、トモサンカクに続いてはハツだ。
最初の2品は、脇の下だとかモモの中のどこかだとか言われた気がする。
味付けは基本的に塩だけ。韓国系焼肉屋のようにタレ風味を楽しませる路線とは違って肉そのものを堪能させる感じ。
前菜代わりの牛タンの刺身てっさ風もウマかったし、ユッケ三種盛りも良かった。ひとつは生卵の黄身ではなく生ウニがトッピングされており、ユッケと混ぜ合わせると中々官能的な味わいだった
熟成したタンを茹でた一品もホロホロとした食感がよかった。
ハイライトはレバだ。レバ刺しと書いてもいいのだろうが、一応、時節柄、石焼用に熱した石が別途用意される。メニューの上では「レバ焼き」だ。
禁止になるまで大好評だったレバ刺しと同様のものだそうだ。まさに「焼け石にナントカ」みたいな説明を受ける。
要は表面を焼いて食えという趣旨だが、上質なレバーを良く焼くのもバカらしい。軽く炙るか、炙る真似事をして食べればいいだけの話だ。自己責任だ。
で、自分流に食べてみた。久々にウマいレバ刺しを食った気がした。
このお店、なかなかの価格設定だが、結構お客さんは入っていた。確かに焼肉屋とかステーキ屋でどかんと肉を出されるより、ちょこちょこと珍しい部位を少しづつ食べられるから、胃腸の疲れたオトナには使い勝手がいいのだろう。
まあ、そうは言っても、レバとかハツとか、タンとか、そのほかハラミなんかもそうだが、その手の部位はしょせんは高値で取引される高級肉とは違って内臓系である。
いわば肉業界?におけるジャンクだ。あんまり仰々しく食べるものでもないと思う。
と、偉そうに書いてみたが、ジャンク系内臓モノのほうが高価な肉より美味しく感じてしまう私であった。
ジャンク万歳である。
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