2012年7月25日水曜日

浜松 ウナギ

ウナギばかり食べている。何事もホドホドじゃないといけないのだが、ついついウナギの香りが頭の中を支配する。

食べ過ぎると胆石になるという噂を耳にしたが、正確には胆石を患った人が食べるには適さないという話のようだ。

気になるので、ウナギの食べ過ぎはどのような弊害があるのか調べてみた。見つかった答えは「カロリーオーバー」だ。

ヤバいことである。せめてご飯は少なめにしないといけない。

稚魚の不漁によってうなぎの値段は高騰中だ。メニューを見て、アッと驚くタメゴローみたいな価格に慌てることも増えてきた。都内某店では、鰻重の一番高いやつが7千円を超えていた。危機的状況である。

ウナギ屋さんが悪いわけではない。今こそ、伝統文化と職人技を保持してもらうために苦況のウナギ屋さんを助けに足繁く通わないとなるまい。

で、浜松まで行ってきた。ちょっと飛躍しすぎだ。

東京にいくらでもウマい店はあるのだが、ときどき無性に「浜松でウナギを食べる」ことに燃える。

10代の頃、親に連れられていった浜松で、それまで自宅で食べていたレトルトウナギとは異質の超絶的美味ウナギを食べたことがきっかけで、いまだに「浜松」という文字を見ると「ウナギ」というフリガナを充てたくなる。

白焼きを初めて体験したのも浜松だったし、ご飯の間に蒲焼きが挟まっていた2段重を体験したのも浜松だった。

浜松に行く時は、舘山寺温泉に泊まる習性?があるので、1泊で出かける場合には、初日の昼と翌日の昼がウナギ攻めの時間になる。

舘山寺温泉での夜飯にもウナギを注文することもあるのだが、今回はカロリーオーバーを恐れてそれはパスしておいた。


初日の昼、浜松駅北口にある「中ノ庄」という比較的新しい店を訪ねた。モダンで綺麗な内装で、風情だとか渋さとは無縁だ。

蒸さない関西風ウナギはあまり好きではないのだが、モノは試しとトライしてみた。浜松は関東風、関西風の店が混在する街だから、東京の名店とは違う味を楽しむのも旅の面白さだ。

まずは白焼きから。初めての感覚だった。サクサクしている。サクサクした後にジュワーとウナギの味が口に拡がる。これはこれで悪くない。

わさび醤油で食べる白焼きと冷酒の組み合わせが無敵だと信じて疑わない私だが、こちらの白焼きはビールにもバッチリ合う感じ。関東風ウナギのエロさ?とは異なる健康的で爽やかな青年みたいな雰囲気だった(意味不明でスイマセン)。


この店の名物は「固焼き鰻重」だ。じっくり時間をかけて焼くらしい。外側のカリカリ感が独特。中はそこそこふっくらしている。でも、どことなくクドい。タレのせいか、調理法のせいかは分らないが、軽やかさとは違うドッシリ感が強い。一種独特だった。

膨満感ブリブリのまま、レンタカーをかっ飛ばして舘山寺温泉へ。ホテル九重に到着。舘山寺といえばこの宿だろう。今回は展望風呂付きの部屋にしてみた。

にごり湯の温泉を部屋にいながら味わえるのは有難い。浜名湖を眺めながらぬるめの湯に浸かってホゲホゲしながら消化促進。


この宿は大浴場も趣向を凝らしてあって楽しい。タオルも脱衣所にふんだんに用意されているし、浴場内にも冷たい水が常備されサウナラバーにも優しい。湖畔の眺めに癒される。

夕飯はヒラメの活け作りとかアジのタタキとか、鮑の踊り焼きとかサッパリ系が多かったので、食い過ぎ男としては助かった感じ。

翌日、のろのろとチェックアウトして、クルマで少し移動して鍾乳洞見学。相当なモノらしいが、私はあの手の閉そく感を感じる場所では、圧迫感のせいで気分が悪くなるので、速攻で出口に向かいボケッとソフトクリームを舐めて過ごす。

鍾乳洞のことより頭の中はすっかりウナギだ。

旅館の朝飯を軽く済ませていたため、浜松駅のほうに戻ってきたら、全身ウナギ欲求モードになっていた。


駅南口に近い「うな炭亭」に行ってみた。有名人のサイン色紙を自慢気に置いてあるセンスにたじろぐ。でも、天下の小澤征爾のサイン色紙を見て、ある意味安心する。期待が持てそうだ。

石ちゃんとか彦麻呂あたりの色紙だったら、微妙だが、「年老いた文化人枠」お墨付き?とあれば大丈夫だろう。

白焼き丼と鰻重を注文。この店も関西風と聞いていたが、少しは蒸しているのだろうか。いい感じにふっくらだ。ただの直焼きとは違うように感じた。

あちらこちらでウナギを食べているが、この店は相当おいしかったです。前日の膨満感のせいで普通サイズを注文したことを、その後3日間ぐらい後悔したほどウマかった。

香り、食感、タレの味、すべてのバランスが抜群。悶絶したくなる味だった。職場や家の近所にあったら毎日通ってしまうかもしれない。

白焼き丼も格別の味がした。ご飯には普通の鰻重用のたれがすこしまぶしてある。乗っかっている白焼きにはわさび醤油を垂らしながら味わう。相容れないような組み合わせだが、これが中々ウマい。ネギと海苔もトッピングして実に画期的な味わいを楽しめた。

今日、こんな話を書いているだけで、またもやウナギが食べたくなってしまった。中毒性があるのだろうか。

実は、この拙文を書いている途中に無性にウナギが食べたくなって、急きょ職場からタクシーを飛ばして江戸川橋の「はし本」で鰻重をかっ込んできた。

昼だから満腹にならないように普通の鰻重をおとなしく一人前だけささっと食べてきた。総所要時間1時間弱で職場に戻って来られた。バッチグーだ。

どうもこのところのウナギへの偏愛ぶりは病的だ。何かが乗り移ったのだろうか。ちょっと心配だ。

そろそろウナギ供養をウリにしている寺にお参りに行こうかと思っている。

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