2012年9月3日月曜日

知床観光

旅行する際は、たいてい滞在型でブラブラするだけのことが多いのだが、先日出かけてきた北海道では、真面目に観光してみた。

さすがに朝早くから見たくもないところを回るのはイヤなので、そこそこヌルいペースで道東方面を周遊してみた。

羽田から紋別に飛び、サロマ湖経由で知床に入り、知床半島を縦断して羅臼側に抜け、南下して標津方面の酪農地帯をぶらついて中標津空港から帰ってきた。

道東は、3年ぐらい前に網走に流氷見学に行ったぐらいで私には未踏の地。いつも道南でイカとかウニとかカニばっかり頬ばっていることが多いから、いろいろと新鮮だった。

世界遺産・知床は、冬にオオワシ見学に行きたい場所なのだが、以前に「寅さん」を見てから爽やかな時期にも行ってみたいと考えていた。

寅さんでは、三船敏郎扮するガンコな獣医とその娘の竹下景子をめぐって、寅さんがドタバタするのが知床・ウトロだった。今回も旅行前に見返して、現地で撮影地らしき「現場」を生で見て一人興奮していた。


4時間近くのクルーズも楽しんだ。知床半島の突端、まさに最果ての場所まで運んでくれる観光船は、真冬になると網走で流氷クルーズに使われている船。地ビールを飲みながらホゲホゲと遊覧してきた。

お決まりの「知床旅情」は出航後しばらくして加藤登紀子バージョンが船内に流れる。森繁バージョンに期待していた私としては腑に落ちなかったのだが、そこは、さすがの森繁だ。知床岬の突端に着いたら、船の内外に大きな音で本家本元・森繁版の知床旅情が流れた。グッときた。


小さく灯台が写っている先が知床の先っぽ。日本地図で出てくる北海道の右上の先端だ。現地に行ったせいで、天気予報なんかで表示される地図のそこばかり見てしまう変なクセがついてしまった。

このクルーズは半島沿いにただただ進んで、突端で折り返すため、大型船なら揺れの心配もない。海側からしか見ることのできない大自然の優美な姿を堪能していたら、思ったほど退屈せずに過ごせた。

海上から見上げる空の姿も空気が澄んでいるせいか、ただただ広く青い。日頃、くだらない雑事で脳みそが疲れている人には最適な息抜きになる感じだ。


初日に紋別空港で借りた1500㏄のマツダなんとかは、まあそこそこ快調に山道を走ってくれた。野生のエゾ鹿とかキタキツネなんかにも何度か遭遇して、都会っ子の私は妙に興奮した。

函館あたりで魚貝系珍味攻めばかり楽しんでいるようでは味わえない体験だろう。大学生の頃、自慢の四駆で北海道を一周した時には、林道ばかり走ったのに鹿もキツネも出てこなかったが、今回は拍子抜けするぐらい簡単に出てきてくれた。



知床半島を縦断して羅臼側にでれば、海岸通りから至近距離に北方領土が見えた。国後島だ。わずかに2~30キロの距離だという。

領土問題で何かと騒々しい昨今、あれほど近い場所に占領されたままになっている領土があることを改めて実感した。

ついでに思ったのだが、あの島が日本の領土で、インチキに占領された事実、さっさと返しやがれという趣旨の看板や標識が、景観を壊さない程度にもっともっと設置されて然るべきだと感じた。



写真で見ても凄く近くに感じる。そして凄く大きな島だ。実際に、先祖の墓参りすら出来ずに眺めているだけの人もいるわけだし、悲惨な歴史や固有の領土である経緯など、もっともっと教育現場などで教えるべき題材だと痛感した。

さて、羅臼を南下するとサケの遡上で知られる標津川に出る。妙に立派なサーモン博物館みたいな施設があったので、期待もせずに立ち寄った。

サケといえば、国民魚といってもいい存在だから、そんなサケのアレコレが分かって意外に面白かった。私もイクラ太郎として生きているわけだから真面目に見学した。

すぐそばには標津川が流れており、施設の一部である橋からは川を遡上してくるサケを見ることができた。おまけに川の横に設置してあるサケ管理用の生け簀での作業も間近で見られた。


川から生け簀に入り込む仕組みが出来ており、一定数以上貯まるとオスメスや大きさで選別して川に戻したり、受精・生育用に分類している。なかなか見られない光景だったから、イクラ・ラバーとしては、作業員に話を聞いたりしてちゃんと勉強してみた。イクラへの愛情はこれまで以上に強くなった。

標津から内陸側に入っていくと、北海道でも有数の酪農地帯が広がる。実に快適。海江田万里、いや、海原千里、いや、一望千里の眺めに心が洗われた。


愛車のマツダなんとかを何度も止めては景色に見入りたくなる。何気なくヒマワリ畑が広がっていたり、どこを見ても絵になる光景だった。東京周辺ならこのあたりのごく一部の景色を移管するだけで、週末は大混雑の名所になるはずだ。

美瑛や富良野ばかりに人気が集まっているが、このあたりの雄大な景色は非常に魅力的だと思う。数え切れないほど北海道に旅行した私が言うのだから間違いない。



海側ばかりだったので、最後の宿泊地は養老牛温泉を選んだ。「ようろううし」と読む。ヘンテコリンな名前だが、他の道内の地名と同じでアイヌ語を無理やりアレンジしてそれっぽくネーミングしたらしい。

ヒグマが出てきそうな川沿いに露天風呂があって、秋の風に吹かれながら命の洗濯が出来た。道内で数十羽しかいない天然記念物のシマフクロウが遊びに来る宿として有名な湯宿に泊まったのだが、この日は現われず。前日、前々日は餌付け場にやってきたらしい。

まあ、そんなところで運を使わないほうが良いと解釈してガーガー寝た。

最終日は、中標津空港に行くまで時間があったので、マツダなんとかをかっ飛ばして摩周湖に向かった。布施明が熱唱する「霧の摩周湖」だが、好天だったので「マシューブルー」を堪能できた。


あくまでも静かな湖面は鏡そのもので、雲を映し出して例えようのない程美しかった。行方不明になって隠遁生活をおくるなら、こんな場所が良いなどと不謹慎な想像が脳裏をよぎるほど神秘的だった。

高校の修学旅行でもバスから降りずに寝てばかりで、観光名所を見て歩くことが苦手な私なのだが、今回の旅は、そんなフラチな考えを改めるきっかけになったかもしれない。

だらだら書いてしまったので、北海道で食べたウマイものの話は次回にします。

6 件のコメント:

  1. 北海道走り隊2012年9月3日 20:13

    素晴らしい写真の数々、見事な腕前ですね!!
    僕もマイ四駆で北海道を横断したいと常々思っているのですが、読ませていただいて思いがより募りました。
    富豪記者さんはどのくらいの距離を走られたのですか??

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  2. 北海道走り隊さま


    コメントありがとうございます!

    今回は紋別から中標津までだったので500キロぐらいでした。

    若い時の北海道周遊では、1週間ちょっとで5千キロも走って、地元のスタンドでオイル交換が早すぎると驚かれましたが、そんなパワーはなくなってしまいました!

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  3. runaです♪
    真面目に観光とかwww

    マツダなんとか、とかwww
    気を許して読んでいると、この言葉が出てきて
    つい笑ってしまいましたよ☆

    知床観光、あなた様と本当にご一緒した気分になり、読んでいて楽しくなりました♡
    次回、お食事編も待ち遠しいです♪( ´▽`)

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  4. runaさま

    お誉めいただいたみたいで恐縮です。

    「食事編」も覗いてやって下さい!

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    1. 最高に、ごきげんな記事ですよ\(//∇//)\

      観光名所だけじゃなく、
      お空やお花、キツネさんまでも
      紹介してくださるなんて
      凄く得をした感じです♪( ´▽`)

      一人旅って、やっぱりイイですか?

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  5. runaさま

    気の置けない人と一緒に旅を楽しむのも魅力ですが、一人旅にはまた別の良さがたっぷりです。

    好きな時に好きなペースで動き、好きな物を勝手に食べて、自由気ままに過ごせます。

    誰かに依存しない、何かに属さないことって、日常生活では意外に少ないから、一人でホゲホゲ旅をすると妙に新鮮です。

    自分の意外な部分を知ることも出来て飽きませんよ。

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