2013年1月7日月曜日

泉質主義

今年もよろしくお願いいたします!

今年最初の更新は温泉ネタです。

泉質主義なる言葉をアチコチで見かけるのが草津温泉だ。ただの沸かし湯みたいな温泉とは比較にならない「質」が草津のウリ。


年の瀬は草津でノンビリしてきた。30年、いや35年ぐらい前から草津の湯には縁がある。私が小学生の頃、祖父が突然、草津に別荘用マンションを購入して以来、ことあるごとに訪ねている。

若い頃は、「ナゼに草津なんだ?」と不満もあった。伊豆高原とか箱根、軽井沢あたりだったら「女子連れ込み系リゾートマンション」として悪用したのだろうが、草津は群馬の山奥の渋い温泉地だ。名物なんて饅頭ぐらいだ。若者としては今ひとつ愛しきれなかった。

ところがどっこい、知らぬ間に熟女好きになっていくように、年を重ねるにつれ草津温泉の魅力というか、凄さに目覚めた。

若者ではなくなった証拠とも言えるが、圧倒的な泉質は狂おしいほど素敵だ。タダで泊まれるなら毎週でも通わないとモッタイナイと思う。

大学生の頃、暇にまかせて一人でアチコチの温泉に出かけた。当時は泉質などお構いなしで、露天風呂の広さや風情ばかり気にしていた。つくづく草津通いだけしていれば良かったと思う。

いつでも行ける、何度も行った。こんな感覚だけで草津に背を向けていたわけだが、オッサンになった今、あの泉質の良さを手軽に味わえる環境が心底ありがたい。今度、墓参りに行ったらとことん感謝してこようと思う。

草津には何種類もの源泉があるが、共通しているのが酸性が強いということ。1円玉を浸しておくと1週間もあれば溶けて無くなるほどのパワーだとか。

温泉が目に少し入っただけで痛いし、簡単に湯あたりする。皮膚の弱い部分がかぶれることもある。湯上がり後の保温性も高く、雪見の露天風呂と洒落込んでも、寒さに負けずに楽しめる。

高原の気候のせいで夏場はエアコンも不要なほど涼しいが、やはり寒い季節にこそ強烈な温泉パワーの有り難さは実感できる。日本一の湧出量を誇るだけに道路の凍結抑止や融雪にも温泉の熱が活用されている。冬こそ狙い目かもしれない。

別荘マンションの地下大浴場も昔から源泉かけ流し状態。何年か前に改装したのでヘタな安旅館よりも余程快適だ。窓を開け放てば雪見露天気分も味わえる。なにより年末年始だろうとガラガラなのが有難い。3回に2回は貸切状態で温泉に浸かれる。


風情とか情緒が欲しくなったら、草津には日帰り温泉の名所がいくつかある。町営の西ノ河原露天風呂というアホみたいにでかいアッツアツの露天風呂もあるし、別な場所には大滝の湯という施設もある。

大滝の湯では、サウナもあるし、白濁の露天風呂もあるし、数段階の湯温の浴槽に順番に入る合わせ湯という草津ならではの湯浴み法も体験できる。

若い頃から温泉が好きで全国各地の温泉を訪ねてきたのだが、ついつい子どもの頃から馴染んでいる草津が温泉の評価基準みたいになってしまった。これって結構不幸なことかもしれない。

江戸時代から温泉番付で横綱だったほどの温泉場が草津だ。ここを基準にすると、なかなか感動するような温泉には出会わない。

もちろん、全国すべての温泉を知っているわけではないが、これまで草津以外で泉質に感動したのは北海道の登別温泉と鳥取の皆生温泉ぐらいしか浮かばない。

今は亡き作家・開高健が、経験の積み重ねや知りすぎてしまったことの反作用を「知恵の哀しみ」と語っていたが、私の温泉観はまさにそんな感じなのかもしれない。

普通に有難いはずの温泉なのに草津の湯に比べて物足りなく思う感性は、贅沢ながら不幸なことであり、一種「哀しみ」なのかもしれない。

まあ、そんな気取った分析をしてみたが、実際には、情緒のある佇まいの宿で、ウマい食事を出してくれて、ついでに綺麗な女性なんかが同行してくれれば、泉質なんか気にせずウホウホ喜んでしまうのが私の常である。

「偏屈からの脱出」を心掛けるのが今年の目標だ。そういう意味では、そんな単純なウホウホ野郎でいたほうが幸せかもしれない。

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