なんだか涙腺が弱くなってしまった。しょっちゅうウルウルする。これもきっと加齢だろう。さすがに人様の前ではシレっとした顔で通しているが、こそこそとウルウルしてしまう。
別に大した話ではない。泣ける映画、泣けるドラマを一人で見た日には大泣きする程度の話だ。
いま放送中のドラマ「とんび」。昨年NHKでドラマ化されていたから、二番煎じだろうとタカをくくっていたのだが、毎週のように泣いてしまう。
主人公「ヤス」が通う小料理屋のおかみ(麻生祐未)が別れた娘と会うシーンなんて、アホほど号泣してしまった。
麻生祐未扮する女性は、若い頃嫁いだ家でひどくイジメられて幼い一人娘を置いて離婚。その後、絶縁状態だったのだが、娘のほうから自分が結婚する前に一度会いたいと人づてに告げられる。
断固断り続けたが、主人公の「ヤス」が自分の知り合いだというウソバレバレの設定で小料理屋に連れて行く。
実の娘だとすぐに分かるのだが、お互いそれは口に出さずに過ごす。実の母親は、カウンターに座る客の誰に話すともなく、独り言のように家庭を持つことへの気構えや親の心構えを切々と話す。
そして縁起モノであるハマグリのお吸い物を出す。母親の味にほろりと涙をこぼす娘、物陰でこっそり涙を流す母。
なんとも切なく哀しい。涙を流さずにあのシーンを見られるヤツは悪魔なんじゃないかと言えるほど感動的なシーンだった。
その昔の低俗深夜番組・オールナイトフジの司会をしていた麻生祐未が、あんなに渋い女優さんになったことに驚いた。実に素晴らしい演技だった。
でも深夜の顔だった「オシャレなオネエチャン」が、中年というか初老の役を違和感なくこなしていることで私自身の加齢を再認識させられた。それもそれで悲しい。違う意味で泣きたくなったりした。
別な日、BS放送を録画してあった高倉健主演の「居酒屋兆治」でも泣いてしまった。男女の切ない別れを描いているのだが、妙にジンときてしまった。男と女のもどかしい関係は、いつの時代も切なさを象徴するモチーフになる。うまくいかない、思うように進まない等々、我が身に置き換えてみたりして、まさに身を切るような気分になる。
それにしても映画の中の大原麗子は実に美しかった。薄幸な雰囲気が濃厚で見ているだけで胸が苦しくなる感じだった。ああいう女性に男心は惹かれるのだろう。
でも、あの映画は決して泣くような話ではないと知り合いに言われたので、私の心理状態が変だったのだろう。
それよりヤバかったのが、娘に付き合わされて渋々見に行った映画だ。なんとAKB48のドキュメント映画を見た。
寝る気満々だったのだが、タカミナのリーダーシップに感心したりしながら、ついつい見入ってしまった。結構感動してウルウルしそうになった。ちょっと変だ。
泣きたくて仕方がないのだろうか。
男が人前で涙を見せるのは最低だ。そう信じて生きてきたし、実際、そういう気構えは必要だと思う。最近のスポーツ選手などは男のクセにすぐに人様の前で泣くから困りものである。
簡単に泣いてはいけない。でも、涙を流すことには不思議なリラックス効果もあるから、泣きたければコッソリ一人で泣けばいいのだろう。
録画しただけでまだ見ていない映画がいっぱい残っている。「泣ける方面」の作品ばかりなので、危なくってしょうがない。ノホホンと見続けたら泣きっぱなしになってしまう。気をつけねばなるまい。
恥さらしついでにもうひとつ。先日、運転しながら「ハマショー」で泣いてしまった。二人の子どもを置いて家を出てしまったオヤジをモチーフにした「花火」という曲だ。
ロックの歌詞といえば、好きだの、嫌いだの、戦うぜ、負けないぜみたいな威勢の良い素材ばかりだが、昭和のミュージシャンが年を取るに連れ、確実に世界観も変化しているのだろう。
世の中にオッサンばかり溢れる時代になったから、こんな素材でも名曲に仕上がる。
実に切なくて深い曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=7yVXXPT01pQ
富豪記者様
返信削除花火のオヤジの心境。
昔、遠藤周作さんが「人生」と「生活」と
いう言葉で男の逃亡癖?をエッセイに書いていたのを
思い出しました。
いずれにしても、
歌の最後でオヤジと花火を一緒に見ている人。
心に残ります。
いつもブログ楽しみにしています。
一愛読者より
コメントありがとうございます!
返信削除男の放浪癖って確かに不思議な感覚ですね。
狩猟民族でもなかったくせにどんなDNAが影響してるんでしょうね。
花火、聞いていただいてありがとうございます!