東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2013年8月28日水曜日
良い靴は・・・
暑すぎたせいで靴磨きをサボっていた。靴磨きってマジメにやると汗だくになる。一度に何足もの靴と格闘するとヘトヘトになるほどだ。
とはいえ、良質な靴の香りを嗅ぎながら、クリームを染みこませた革が光沢を放ち始めるのを見るのは快感である。ウットリする。
ヨーロッパはもちろん、日本でも、然るべき場所に出向くと、まず100%、早い段階でこちらの足下がチェックされている。チラ見とはいえ、瞬時に見抜かれているようで面倒だ。でもそれが現実だ。
実際、然るべきポジションにいる人ならヨレヨレで疲れた靴を履いていることはない。キッチリ手入れされた靴は、その人物を端的に表わすのも確かだ。
●「良い靴は良い場所に連れて行ってくれる」
靴好きな人間なら一度は耳にする言葉だ。キザなフランス人あたりが浸透させた言葉らしい。
高級靴を無理して買う(買わされる?)時に、一種の免罪符としてこんなセリフが頭をよぎる。
でも、不思議なもので、そのフレーズを単純に信じる気持ちもある。靴に凝ってみると、免罪符のような言葉も、さもありなんと思える経験をする。
私の場合、数年前に突然、靴バカの道を歩み始めた。そして、いま自分が置かれている場所、自分が歩いている場所は、靴に凝り出す以前の自分が見ていた景色とはまるで違う。
間違いなく違う場所にいる。違う場所に辿り着いたと言うべきか。その「違う場所」が「良い場所」なのか否かはよく分からない。
そこが「PROMISED LAND」なのか「A PLACE IN THE SUN」なのかは、まだ分からない。。。
なんのこっちゃ?
でも、少なくとも数年前より心穏やかに充実した場所に身を置いている実感はある。「靴信者」としては、今いる場所に運んでくれたのは良い靴のおかげだと思った方がロマンチックである。
●「安い靴を買うほど裕福ではない。流行りの靴を追いかけるほど浪費家でもない」。
これまた言い得て妙である。安い靴は愛着が湧きにくいし、大事にしないからすぐにダメになる。流行りの靴もアっと言う間に色あせる。
気軽に買えないような価格帯のちゃんとした靴であれば、買ったあとも手入れしたくなるし、その執着心のお陰で大事にする。
全体重、すなわち自分のすべてを一身に受け止めてあちこちに運んでくれるのが靴だ。
自分自身を大事にすることと同じだ。文字通り、下支えしてくれる相棒には、それなりの敬意を持った方が「良い場所」に辿り着きやすいはずだ。
靴に凝り始めてからは、その日の気分や状況で、一日をともにする靴を選ぶ習慣を楽しんでいる。
どうせ、靴を脱ぎ捨て美女とベッドに倒れ込む場面なんて無いのだから、紐でぎゅっと足を縛り付けて「良い場所」に向かってさまよう。
かったるい時には、ひも靴が億劫になってダブルモンクの靴を選ぶ。上側のベルトを外したままでツッカケのように履く。こういう時は不思議と仕事の能率も上がらないし、楽しいことも起きない。
EDWARD・GREENとかGAZIANO&GIRLING、CROCKETT&JONESといった英国靴を選ぶと、なんとなくカチっとした気分になる。大事な仕事の時や、自分に気合いを入れたいときには英国靴の質実剛健な雰囲気が手助けしてくれる。
初めのうちは硬さが気になる英国靴だが、履き込んでくると実にしなやかで優しく足を包み込むような感じに育ってくる。
こうなると、毎日同じ靴を履きたくなるが、そこは我慢我慢である。ローテ-ションによって、時々履くようにすれば10年だって付き合える。
STEFANO・BRANCHINIとかSANTONIやTANINO・CRISCIなどのイタリア靴を選ぶと、どことなく自分が伊達男になったような感覚になる。ナンパ心がザワザワしているときや、パアーっと遊びに行きたいときはイタリア靴の色気に頼りたくなる。
JM・WESTONやAUBERCYといったフランス靴
は、英国靴とイタリア靴の中間だ。華やかさだけではない落ち着きもあって、どっちの気分にも転べる時に出番が回ってくる。
CARMINAやMAGNANNIあたりのスペイン靴は、脳天気でカジュアルな気分の時に構えずに履きたくなる。
あくまで個人的な思い込みだから、それぞれの靴の特徴や目指している路線とは関係ない。自分の中の基準だ。ちょっとバカみたいだが、そんな小さな思い込みひとつでも日常のスパイスになる。
先日、新しい靴を2足購入した。小旅行に行けるような値段だった。慢性的に金欠だが、「良い場所」に私を運んでくれるなら安いものだ。
いや、その程度の靴ではまだ甘いかもしれない。銀座のクラブを数件ハシゴするぐらいの値段の靴を思い切って買った方が良かっただろうか。
「良い場所」への近道になるのなら、次回はそのぐらいの覚悟を示さないといけない。
ああ節約しなきゃ。
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