2013年10月16日水曜日

銀座「華蓮」  旧友と痛飲


30年前、私の体重は今より20キロ軽かった。20キロ分の知恵と教養と思い出を蓄えてきたわけだ。

先日一緒に飲んだ旧友は30年前に比べて体重が40キロ増加している。偉大である。本人は35キロしか増えていないと言い張っていたが、多分「40キロ増」が正しい。

中学、高校と同じ学校に通い、大学も一緒だった。35年以上の付き合いである。どっちかが先に死ねば、どっちかが葬式に参列するのだろうが「40キロ増VS20キロ増」である。

多分、私が香典を包むハメになると思う。

脱サラして飲食店経営を始めた彼だが、思うところあって、近いうちに「転進」することに決めたらしい。

しばし、充電して次のステップに移行するようだ。で、そんな趣旨もあったので、久しぶりに二人で飲むことになった。

20キロ増と40キロ増である。ターゲットは豚だ。銀座に最近出来た鹿児島のJA経済連が直営する店に行ってみた。


「華蓮」という店がそれ。農協団体直営だと聞いたから、気さくな郷土料理屋さんかと思ったが、結構な高級感。接待とかにも充分使えそうな店だった。半個室風テーブル席に二人で陣取る。

係の仲居さんも丁寧かつ親切。なかなか快適な店だった。

黒豚専門店かと思ったが、黒牛のほうが自慢メニューみたいだ。でも我々の頭の中には豚が居座っている。迷わず豚しゃぶコースにする。

黒豚とんかつとか薩摩揚げも注文してロックの芋焼酎を片手にアレコレと談論風発。

豚と豚が豚を食べる共食いの宴だ。

前菜も美味しかったし、全体に丁寧な印象だった。アンテナショップ的な店は、単なる営利目的だけではない地産商品の広報戦略的な意味合いがあるから、ヘタな仕事はしないのだろう。

豚しゃぶのつけだれがポン酢とごまダレしか無かったことが残念。鹿児島を旅した時に知った「豚しゃぶはソバつゆで食べるべし」という真理を信じて疑わない私としてはその一点がマイナスで、あとはバッチリ。多分、次回はこっそりソバつゆ持参で行くだろう。


肝心の豚しゃぶの画像を撮るのを忘れた。ダイエット中の私は、豚しゃぶもとんかつもチョロっとだけにして、友人にドシドシ食べてもらった。

シメのしゃぶ麺とやらも彼が2人分食べたし、最後の何ちゃらシャーベットも彼が二人分食べた。フフフッ、私の勝ちである。

来年あたりは「15キロ増VS50キロ増」という構図になっているかもしれない。

その後、夜の銀座を徘徊しようとふらふら。最近、あまり食べずに飲むせいで酔いが早いし長い。気持ちよしである。

とあるビルの上層階にある店に向かう。エレベーターを待つ間に、一人ぽつんと立っていたどこかの店の可愛いオネエサンにオッサン二人で見とれる。バカである。

そのオネエサンの店に吸い込まれそうになったが別な店に行く。この日は久々にはしご酒の予定だったが、私が話のついでに自分の誕生日が数日前だったことをバラしてしまい予定が狂う。


だいたい、夜の世界では自分の誕生日をあまり明かさないようにしている。お祝いされるのは有難いが、ガンガンお祝いされて、その後のお礼参りという「倍返し」が待っているから「大和田常務」になりそうでビビってしまうわけだ。

この日も、私が誕生日を明かしてしまった20分後には、突如、ケーキとかフルーツが出てきてしまった。付き合いの長い黒服の関係で最近訪ねたばかりの店である。そのせいもあってか、逆にサービス攻勢を受けてしまった。嬉しいことだが、紳士?としては早々に移動できなくなる。

結局、長っ尻になってダラダラ飲む。まあ、それはそれで旧友とともにバカ話に花を咲かせられたから良しである。

それにしても子供時代から付き合いのある友人と酒を飲むことは、楽しいだけだから貴重な時間だ。

互いの背景も事情も歩みも性格も嗜好も何となく頭に入ってるから気軽である。ためらいなく本音を口にできる相手の存在は実に有難い。

エスカレーター式の学校に通ったせいで、子供の頃から長い付き合いの友人がたくさんいる。思えばこれって貴重なことなんだろう。

恋人、愛人、はたまた嫁さんは、ある程度、急ごしらえできるが、男同士の親しい友人はそうはいかない。歴史の共有があってこそ深い付き合いになる。

この日飲んだ友人は、人生の岐路に結構長い間立たされている感じだ。でも、よくできた嫁さんと可愛い二人の子供との家庭には波風は立っていないらしい。

そこが安定していれば何も問題はないだろう。健闘を祈りたい。


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