東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2013年10月7日月曜日
オトナの規範の脆さ
いつの頃からか、世の中が窮屈になってきた。自分の加齢による苛立ちではない。確実に昔よりも表層的な建前ばかりが絶対視される空気が広まっている。
飲食店アルバイトのイタズラ、いわゆる「悪ふざけ画像」にしても、正直言って騒ぎすぎだと思う。いつの時代もバカはいた。私自身、何度も経験したが、バカは結局バカな目に遭っておのれのバカさに気付くしかない。
バカを擁護する気はないが、SNSで流布するようになったから目につくだけの話。あんなもの世間が騒げば騒ぐほどマネするバカが増殖する。
さてさて、世の中の窮屈さの話だった。真面目一筋に規範に安直に乗っかっていれば確かに平穏である。ちょっと脱線したり、少しだけ抜きんでている人を、すぐに排除したがるのが日本的村社会の特徴だ。
そうした平穏絶対主義、ことなかれ主義みたいな空気は、いつの間にか規範をどんどん狭い範囲に絞り続けて、より多くの排除を生み出すことに嬉々とするから気持ち悪い。
一歩を踏み出す勇気の無い人間が、一歩踏み出した他人をねたんで足を引っ張ったり、悪し様にののしる。目立ったらダメ、人より突出したらアウトでは暗黒社会みたいだ。実に醜い。
規範自体が、しょせん誰が決めたか分からない根拠に乏しいものだったりする。秩序とか常識は大事だが、それ自体の定義を見誤ると、単に無意味な呪縛でしかない。
私自身、男としてそこそこ長く生きてきたが、何度も腑に落ちない気分になった。
「男のくせに・・・」、「大人なんだから・・・」「男だったら・・・」、「人の子の親だったら・・・」等々、もっともらしい言い回しで男の牙を抜くための方便を聞かされてきた。
社会秩序のためにはある程度仕方ないが、こうした無思想な曖昧模糊とした呪縛によって世の中の活力が削がれているのだろう。もったいない。
実際、世間が定めた規律やルールから少し外れただけで、非道な人間と言えるだろうか。不思議なもので、ちょっと脱線するような人間のほうが自分なりの指針を厳然と守っている。
無思想ではない分、自分専用の規律やルールを持って、その中で行動の是非を常に意識しているわけだ。美意識とか矜持なんかもここに含まれる感覚だろう。
そもそも「大人」って何か。端的に言って、自分の責任と自分の裁量で物事を判断したり行動する生き物のことだ。それだけの話。
小さくまとまるとか、冷静沈着なふりが得意だとか、あきらめ上手とか、そういう要素だけが、さも大人の証だと勘違いしている人が多すぎると思う。
しょせんオトナという仮面など大したものではない。社会全体が波風立たずに流れていくように仕向けられたレトリックみたいなもので、一皮めくれば、誰もがただの感情的な生き物である。
そんなことをグダグダ書いていること自体が「子供っぽい」と叱られそうだが、逆に言えば、世間様からそんな叱られかたをする人間のほうが人生を楽しめるような気がする。シェキナベイビー?である。
昔読んだ小説に凄くそそられた話があった。
絵に描いたようなカタブツの老人が、実はオカマとしての一面を持っていて、妻や子供、職場には気付かれることもなく、そっちの世界では大勢のオカマ達から尊敬を集めるほどの存在だったという話。
亡くなった後も表向きの世界では、数十年のオカマ人生はいっさい気付かれずに葬式は済み、自宅と別に借りてあったオカマとしての住まいも葬儀の直後には綺麗さっぱり整理されていたというストーリーだった。
こういうのを大人の嗜みと言うのだろうか。人生を自分なりにしっかり管理してきちんと始末する姿は素直に格好いいと思う。
家庭を持つ人が家庭を大事にすることは当然だが、かといって、「もう一人の自分」の世界を持っていられたら幸せだ。
別に愛人を作れとか、浮気をしろとか、そういうことではなく、メインの自分の世界からは干渉されない「個」の時間は必要だ。
男が思う「もう一人の自分」の世界など、たいていの女性には理解してもらえないから、家庭持ちの場合、それを維持するのは大変だ。大変だから面白くもある。
知り合いに「隠れ部屋」を持つ男がいる。浮気相手との逢瀬に使うような色っぽいものではない。4畳半一間のボロい部屋だとか。
そこで大の字になって好きなだけタバコを吸ったり、ジャンクフードをかっこんだり、エロ本を一生懸命読んだりするのが命の洗濯になっているそうだ。
悪いことをしているわけではないのに、その部屋のことは家族には内緒にしている。そこがミソなんだと思う。男としてはとてもよく分かる感覚だ。
子供の時の「秘密基地」と同じ。男だったらワクワクする。私もその話を聞いて、職場か家の近くに「秘密基地」として安い小部屋を借りようかと真剣に考えたほどだ。
私の場合、一人暮らしだから、秘密の部屋など持つ必要は無いのだが、それでも日常生活とはまったく乖離した空間に身を置きたくなる。そんな場所を持つ人が羨ましい。男の変な習性かもしれない。
言いたいことは単純だ。分別、年甲斐、クソ食らえである。
やるべきことはこなしながら、あとは刹那の川の深いところで泳いでいたいと思う。
年齢がまた一つ更新された日に、こんな戯れ言を書いている自分の平和な感じが結構嬉しい。
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