2013年11月13日水曜日

ボローニャ紀行

井上ひさし氏の著作に「ボローニャ紀行」がある。イタリア・ボローニャの人々の精神性や街作りとか社会政策の独自性が世界的に評価されている話などがさまざまなエピソードを交えて綴られている。

などと、高尚な書きぶりだが、ボローニャ旅行を計画するまで、そんな本の存在すら知らなかった。

ボローニャとはそんな都市である。俗っぽくイメージされるイタリアの街とは少し趣を異にした中世風のしっとりと落ち着いた街だった。



とはいえ、街の中心の広場にこんなシェキナベイビー!みたいな彫刻が大昔から鎮座しているあたりがイタリアの面目躍如である。

チャラいイメージのイタリアは一般的に南の方の特徴で、北に行くほどチャラ男は少ないらしい。

ここボローニャは北の方に位置しているから、確かにチャラ男が闊歩しているようなイタリアのイメージとは雰囲気が異なる。

1000年も前に創設されたヨーロッパ最古の大学はあるし、道行く人々もどことなくカタブツみたいな顔をした人が多かった。




アカデミックな素養に乏しい私だが、街の空気感が実に心地よかった。観光地的な騒々しさも無く、ポルティコと呼ばれる柱廊で結ばれている街を散策するだけで生ビールならぬ「生イタリア」が身体に染みていく感じがした。

近隣のパルマとともに美食の街としても有名だ。日本の老若男女全員におなじみのスパゲッティミートソースの本場である。すなわち、ボロネーゼソース発祥の地だ。




現地ではタリアテッレと呼ばれるフェットチーネに似た幅広麺にボロネーゼソースを絡めながら食べる。

セブンイレブンの「金のボロネーゼソース」も相当美味しいと思うが、やはり本場はひと味もふた味も違う。

観光ズレした街ではないため、それなりに客が入っている店ではマズいものは出てこない。これって幸せなことだ。

地元の有名店「Trattoria Da Gianni」のボロネーゼパスタは、大げさではなく人生で一番ウマいと思ったほどだった。エリザベス女王も来店したとかで、さぞ気取った店かと思ったが、サービスも実にフレンドリーで気持ちよく食事が出来た。



ボローニャではあれこれ食べまくっていたが、絶品のボロネーゼの下の写真は、ボローニャ名物のトルッテリーニ・イン・ブロードという料理。

水餃子のように肉を詰めたパスタがコンソメ風のスープにごっそり入っている。ダシが命の日本料理にも通じる滋味あふれる逸品だった。


この画像は、やはりボローニャ名物のハムであるモルタデッラのグリル。ハム自体に甘味があってバルサミコ酢をベースにしたソースと抜群の相性でぺろぺろ食べてしまった。

今回の旅では、ホテルの朝食からランチの前菜まで、至るところで生ハムも食べたが、美食の街と言われるのは、何を食べても「しょっぱくないこと」が理由だろう。

生ハムにしてもパスタやメインの肉料理にしても素材の味を最大限引き出すために塩は最低限にとどめている様子だった。見た目以上にあっさりしていて飽きの来ない味が多かったのが印象的だ。

と、偉そうに書いているが、私がボローニャに行ったのは、アカデミックな目的でも美食が目的でもなく、どうしても覗きたい靴屋があったからだ。

ステファノブランキーニというエロ靴?の名店がボローニャにあるので、そこを訪ねるのが目的だった。



エロ靴と書いた通り、革新的なデザインがウリである。分別あるある日本男児としては、あまりイケイケな靴は欲しくないので、ここの靴の中でもややコンサバ路線のものが私の狙いだ。

おとなしめのデザインでありながら、イケイケエッセンスが微妙に醸し出されているような靴をせっせと探す。

2足買うなら少しまけてやるぜ」という店員に「じゃあ3足買ったら相当まけるんだな」と強気に出てしまうのがアホな私である。

で、結局3足買ってしまった。

日本で売られている価格よりは少し安かったが痛い出費だ。せっかくの靴を長持ちさせるために、もっともっと靴を買い込んでローテーションを開けるようにしようと決意する。




前列の3足がここで購入したもの。ボルドーカラーも買いたかったのだが、その後のスペインでもう少し手軽なやつを買おうと泣く泣くあきらめる。

フィレンツエとかローマに行くと、名だたるイタリア靴の名店がゴロゴロあるから、私のような無計画男が出かけていくと、自己破産を招きかねない。そんなわけで今回のイタリア行きはボローニャだけにしたのだが、この判断は正しかったと思う。

とかいいながら、翌日、テストーニのアウトレットショップを発見して余計なものを物色してしまったからダメダメである。

スウェードのローファーが1万円ぐらいで売ってたからさすがに買ってしまった。今思えば、もっといっぱい買い込んで、ヤフオクあたりに出品すれば小遣い稼ぎになったと思う。

テストーニでは3泊ぐらいの旅行にちょうど良いボストンバックとか、ショルダーバックも買ってしまった。7割引とかの値札を見て物欲魂に火がついてしまったわけだ。

つくづくクレジットカードという悪魔みたいな存在が憎い。

さてさて、話題を変える。

泊まったホテルはGrand Hotel Majestic già Baglioni。ボローニャを代表するホテルだが、ダイナースカードの特典でLHWのナントカ会員に無料で登録してあったので、部屋のアップグレードと朝食とレイトチェックアウトがついてきた。この後のスペインへの移動が夜便だったのでレイトチェックアウトは大助かりだった。




少しでも元を取ろうと毎日死ぬほど朝飯を食べたことは言うまでもない。クロワッサンの横っ腹に穴を開け、生ハムやチーズをぶち込んでワシワシ食べた。

中世ヨーロッパに迷い込んだようなコテコテのホテルだったが、ソフト面は充分に機能的ですこぶる快適だった。

でも、街を散策していたら小洒落たプチホテルがいっぱい目についたから、予算的には失敗だったと思う。ステファノブランキーニをもっと買うためには、安宿で瞑想するぐらいの覚悟が必要だ。

結論としては、ボローニャは非常にオススメの街だと思う。私自身、ステファノブランキーニが無かったとしても再訪したい街だ。

なにより見所が徒歩圏に集中しているし、街自体が綺麗だし、人も親切。中心エリアにいる限り治安の不安も感じないで済んだ。食事も美味しいし、すべてが観光ズレしていない点も魅力だ。

今回の私の場合、フランクフルトからわずか1時間20分で到着した。ヨーロッパの主要都市からダイレクト便が結構あるみたいだし、新幹線みたいな特急を使えばフィレンツエまで30分、ミラノまで1時間だとか。良いことづくめだと思う。

今度行くときはボローニャに長逗留しながら周辺の都市に足を伸ばすような旅がしたいと思った。

次回はスペインのグラナダ旅行記です。

2 件のコメント:

  1. 事故もなく帰られてよかったです

    千葉のゆうです

    海外に行ったこともない私にはこのようなところの
    今の生の写真を見られるのが非常にうれしいです

    ボローニャの町は俯瞰でみると茶色いまちなのですね、日本のかわらの黒しか知らない私には
    新鮮です

    靴屋の写真ではなにやら靴とかんけいない
    シャツのマネキンもありますね、靴屋なのに
    ふくも売っているのでしょうか?パソコンもあり
    ネット販売もしているのか。。

    ホテルはビジネスホテルが多い私としてはびっくりするような部屋ですね、ちょっと気になったのですがベッド、写真ではいやに長さが短いように見えますが寝そべって足が出てしまうのでは??

    次の旅行記も楽しみにしています

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  2. 千葉のゆう様

    コメント有り難うございます。
    ヨーロッパのホテルのベッドは全般的に小さいです。アメリカのような巨大なベッドだと嬉しいのですが、ギリギリナントカ足が出ない程度でしょうか。。。

    靴屋の件ですが、イタリアのダテ男がやってる店みたいで、きっと靴との組み合わせの参考のために洋服も置いてあるのだと思います。

    今後ともよろしくお願いします!

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