2014年1月24日金曜日

「吉田類」になりたい





「吉田類」大先生である。ネット上に溢れる画像をかっぱらってきたのでスイマセン。

誰もが知っている偉大な人だと思っていたのだが、意外に知らない人が多い。私としては憤懣やるかたない。

「よしだ・るい」。この響きだけで、酒が飲みたくなるのが正しい大人の男の姿である。生き神サマである。

何をしている人かはよく知らない。俳句の人だったか、そういう文化的な方面の人らしい。まあ、端的に言って「吉田類」は「吉田類」である。

BSの番組でシュールな居酒屋ばかり巡っているオジサマである。「モツ煮とハイサワー」みたいな飲み屋ばかり巡礼している。

何が素晴らしいかと言えば、どの店に行っても周りの濃~い常連さんとすぐに乾杯して嬉しそうに飲む姿の崇高さである。

テレビカメラがあっても無くてもきっと同じ様子で飲んでいそうな感じがいい。エラぶった言動や中途半端にウンチクをひけらかすこともなく、ただウマそうに酒をすすっている。酒飲みの鏡である。

わざわざテレビでアップで写すほどでもないような食べ物を一生懸命説明してくれる。そしてすべてを美味しそうに食べる。

物腰はあくまで柔らかで、心底、酒を愛する様子、酒場を愛する気持ちが画面から伝わってくる。

番組の最後、店の暖簾を背に感想を述べる場面では、いつも普通に酔っ払っている。フニャっとした感じになっている。何ともヌルい番組である。たまらんちんだ。

先日も、酒を抜こうとまっすぐ帰宅したのに、録画しておいた吉田類先生の番組を見ていたら、いとも簡単に家にある酒をガンガン飲み始めて酩酊した。

「吉田類になりたい!」。しょっちゅうそう思っている。

過去にこのブログで「ベルルスコーニになりたい」と書いたことがある。イタリア元首相の突き抜けたスットコドッコイぶりに心から憧れてそう思ったことがあったのだが、私にとって「なりたい人」シリーズの2人目が吉田類サマである。

吉田類師匠を知らない人には、「変な飲み屋をめぐって楽しそうにレポートするオジサン」と説明するしかない。

すると、多くの人が「松重豊」を想像するらしい。あっちは「孤独のグルメ」というドラマ仕立ての番組だし、松重豊演じる「ゴローサン」は一切酒が飲めない設定だ。


だから全然違う。吉田類先輩はとことん「素」の状態で飲む。

訪ねる店がまたいい。繁華街にあるイマドキの素敵な店とか、怖そうな店主が気合い入れまくっているよう店は出てこない。個人経営のざっくばらんな小さめの店ばかり。

いわば大衆居酒屋の原点みたいな店。最近放送された店を例にとっても「府中」、「本八幡」、「九品仏」、「亀戸」、「笹塚」「南千住」の店である。

番組のホームページを見てみたら、もう10年以上続いているらしい。これまで登場した店も地域別に一覧表示されている。よくよくチェックしたら、私が行ったことがある店も10軒以上あった。私もなかなか大したものだ。吉田類先生が訪ねるような店にアンテナが反応するわけだからセンス抜群である。

たいていの店が濃すぎる常連サン達が集うような店だ。普通のグルメ番組のように「あれウマそうだなあ。今度行ってみよう」的な目線にはならない。あくまで「酒を飲む」という行為への意欲が高まるだけである。

吉田類先生はシメ鯖が大好きである。嬉しそうに食べ、美味しそうに酒をすする。私もシメ鯖が好きだから、そんなシーンを見たら、たいてい翌日にはどこかでシメ鯖を食べる。

吉田類先生は、つまらない拘りなど無しに酒とツマミを純粋に楽しむ。日本酒に合いそうにない食べ物だって冷や酒をクイクイ飲みながら食べる。

クリームシチューですら日本酒と合わせていた。潔くてカッチョイイと思った。おかげで私もモツ焼きとか焼鳥を日本酒で堪能する機会が増えた。

肉系は焼酎、魚系は日本酒という漠然として線引きが私のパターンだったが、そんな拘りは酒飲みとして小僧っ子だと反省するきっかけになった。

吉田類サマに刺激を受けたこともあり、最近は、よりディープな大衆居酒屋にも時々出かける。あの世界はあの世界で大人の男が肩肘張らずに安らげる尊い場所だと思う。

スーツの胸に常にエラそうに挿しているポケットチーフは尻ポケットにしまい、ネクタイも外して、少しだけヤサグレ?たフリをして暖簾をくぐる。

凄くディープな店の場合、ネクタイ姿の客が珍しいというケースもある。極端な場合、あまりパリッとした格好だと、常連らしき怖そうなオッサン連中にギロっと睨まれたりする。

ヨソ者的な気配を薄めるため、しょうがなく疲れたオジサン風の演技?をしながら突入するわけだ。でも、馴染んでしまったら天国である。モツにモンゼツする。

ちなみに、10年ぐらい前のある時期、ディープな大衆酒場にハマって、アチコチ出かけたことがあった。

ところが、とある寂しげな店で、隣に座っていたオッサンが一人無言で大粒の涙を流していたのを目撃してドン引きした。明日にでも自殺しそうな暗~いオーラをまとっていた。

それを機にその手の店に行くのを辞めてしまった。陰気の気が自分に移っちゃうのはイヤだし、どうせ飲むなら運気が上昇するような場所に身を置こうと思ったわけだ。

もちろん、一般的にはモツ焼き屋には陽気で楽しい店が多い。でも、あの時のドンヨリした店での体験のせいで、足が遠のいてしまった。モツ焼きに七味をアホほどぶっかけて楽しむ機会がなくなってしまった。

実にもったいない話である。あらためてオッサン御用達の大衆居酒屋を攻めてみようと思う。

綺麗どころを同伴して行くわけにはいかないのが問題ではある。

きっと、エロ週刊誌を小脇に抱えて一人で通うことになるのだろう。

2 件のコメント:

  1. 千葉のユウです

    私もこの番組を毎週録画予約して
    毎回見ていました

    いまはちょっとマンネリ化して
    遠のいています

    最近は女酒場放浪記もやっていますね
    なにやらモデルのおねぇーちゃんと
    ちょっと小太りの女の人が交代で
    レポートしています

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  2. ゆう様

    確かにマンネリですが、ある意味、偉大なるマンネリみたいなものですよね。

    先週の週刊文春に「吉田類はお疲れ気味で下戸疑惑が持ち上がるぐらい最近は飲めなくなった」という記事が載っていました。

    頑張って欲しいものです。

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