2014年7月30日水曜日

パスタ野郎


旅行ネタ、4回目です。クドくてすいません。今日は食べ物の話。

3年前、パリに行ったときは、10個以上持参したカップ麺を完食したほど彼の地での食と相性が合わない。

単なる先入観だと思うが、テリーヌみたいなのも好きじゃないし、ゴタゴタした料理自体が苦手だし、何よりパンが嫌いである。

日本のお惣菜パンは好きなのだが、西洋でメイン料理のお供としてやってくるパンがあまり好きではない。「そこで何してんの?」と言いたくなる。

まあ、それも一つのこだわりみたいなものだったのだろう。年齢とともにどうでもよくなってきた。

すなわち、目の前にあるものは黙って食べるようになってきた。ということで、今回はカップ麺を食べずにそれなりに食事を堪能してきた。

いや、堪能したのはイタリアのパスタぐらいで、やはりパリの食事はさほど印象に残っていない。


カレーライスである。モンパルナスの老舗カフェレストラン「ル・クポール」の名物料理が羊のカレーであることを知り、いそいそ出かけた。

この店、古くから芸術家のたまり場だったそうだ。そんな店の名物料理なら立派なフランス料理である。という屁理屈三段論法でワシワシ食べてみた。

いやはや単なるカレーライスだった。大学の学食程度のカレーって感じだ。印象に残る要素はなく、強いて言えばコメが食べられたことが私を笑顔にさせた。


名物だけあって、この料理専用の給仕が専用の衣装を着てワゴンサービスをしている。この大げさな感じが期待を高まらせちゃうから、いざ食べてみた時の平々凡々ぶりが際立つ。


このサラダに乗っかっているのは上等なフォアグラのテリーヌである。パリのアチコチでサラダを注文したのだが、サラダと言っても充分一品料理と言えるほどドッサリ盛りである。

パリに一人旅をする女性は食事する場所に困るという話を聞くが、食べ物メニューが多いカフェに陣取ってサラダを注文すれば充分満腹になると思う。

農業大国でもあるフランスだから、野菜は美味しい。そこに肉や魚、はたまたフォアグラなんかもトッピングされているから、冷えた白ワイン片手にチマチマ食べていれば、充分に「おフランス気分」を味わえるはずだ。




テリーヌ、鴨料理、フレンチオニオンスープ。それぞれレストランではなく、カフェで注文したものだ。食事が目的でパリに出かけるなら星付きのレストランに挑むのも良いが、こっちは靴の買付けオヤジである。

一応、それっぽい料理はカフェメシで充分である。その他は凄くマズいインド料理屋や物凄くマズいイタリア料理屋に行ってゲンナリしていた。

画像には残っていないが、昼時にテキトーに入ったファストフード屋で食べたケバブとハンバーガーが融合したような得体の知れない肉サンドには感激した。

それこそ得体の知れないタレと得体の知れない肉の塊が私の欲求不満を解決してくれた。それにひきかえ、フランスパンで作られたツナサンドやチキンサンドなんかはダメだった。


パンは当然固い、具に関してもマヨが根本的に足りない。猛省を促したいところだ。

味音痴というか、ヘタれた味覚の持ち主だと思う人もいるかもしれないが、それが私の現実だった。

何だ結局、ちっともウマいもんなんか食ってないじゃないかと指摘されそうだが、まあ、その通りである。

そういえば、ウホウホワシワシニッコニコで食べたのがムール貝だった。私としては日本で食べても何とも思わない貝なのだが、今回、フランスでもイタリアでも非常に美味しかった。


詳しいことは知らないが、ヨーロッパでは7月8月がムール貝の旬なのだそうだ。どうりで妙に後を引くウマさだった。

食感が悩ましい感じにぷっくらと柔らかく、磯の味も濃い目だ。ガーリック風味が味付けの基本だが、ガーリックはあくまで脇役で充分。

貝そのもののウマ味が凝縮されており、キンキンに冷えた白ワインがあれば、生ビールに合わせる上等な枝豆のようにエンドレスで頬張りたくなる感じ。

その他にウマかったものを思い出してみる。




アチコチの八百屋さんや小型スーパーが朝になるとその場で絞って売っていたオレンジジュースやクリームブリュレ、あとは日本よりスッキリした味の本場のオランジーナが私を喜ばせた。そんな程度である。


それ以外には、部屋でチビチビ飲んでいたときのツマミが悪くなかった。注文時に必要な分だけ切り分けてくれるハムとか、冷めてもウマかったキッシュとか、「イクラ」らしき一品をスーパーで買って部屋飲みをした。

イクラは塩気が強すぎるのだが、ミニトースト、クラッカーみたいなのに乗っけて頬張ると白ワインの相棒として悪くなかった。唯一、ホッとする味だったような気がする。

さて、もう少しマトモな話題に移ろうと思う。

イタリア・ジェノバでのジェノベーゼパスタ問題?は先週のこのブログで書いたが、とあるレストランで食べた絶品ジェノベーゼは目ん玉ひっくり返り状態だった。



老舗レストラン「EUROPA」なる店にふらふら入って、前菜盛り合わせをもらって白ワインをグビグビ飲んでいた。それまでビックリするほどウマいジェノベーゼにありついていなかったため、バカの一つ覚えで注文しようとした。

例のマカロニが腸捻転を起こしたようなトロフィエというショートパスタでのジェネベーゼだけでなく、メニューにはフェットチーネ版のジェノベーゼも登載されている。



店員もオススメだと主張するし、期待を込めて注文した。そして、予想に反してソースとパスタが混ざっていない状態で運ばれてきた。

その普通じゃない感じが妙に期待感を高める。適当に混ぜて食べてみる。ソースの味のコクや深みが物凄く丁寧に作られたことを感じさせる。

パスタ麺もまっとうなアルデンテ。ソースなしでも風味に溢れている。チーズを少々振り掛けてもまたウマい。的確な表現が見つからないが絶品だった。

結果論だが、店の雰囲気、働いている人間の様子、そんな要素でウマい店かマズい店かははっきり分かれる。

行き当たりばったりの旅でも、アンテナをフルに稼働させて店の前を行ったり来たりして中をチラっと覗くぐらいの努力?をすれば目ん玉ひんむく喜びに浸れる可能性は高まる。

まともなリストランテであれば、パスタはあくまで前菜である。絶品ジェノベーゼで完結したような気分になったが、さすがにそれで終わっては日本男児として恥ずかしい。

ボーイさんと何を食べるかを協議するが、結局はオキテ破りの「パスタもう一品」
というトンチンカンな田舎者的結論に達した。



小ぶりのロブスターがオススメだという話から、リングイネで丸まる味あわせてもらおうという流れになった。

具材はロブスターの身だけである。味付けも最低限で、海老系のダシとガーリックを良い加減にまとったパスタが出てきた。相変わらず麺のゆで加減は達人の技レベルである。

それこそ一気に貪るように食べてしまった。冷えた白ワインと絶妙に合う味だったが、ワインにかまけている暇もないほどズッズッズツルツル食べきってしまった。

単純バカ野郎みたいだが、やはりイタリアバンザイである。

今回の旅は、パリとイタリアが6対4ぐらいの割合だったが、3対7、いや2対8ぐらいでもよかったなあと思った。

さてさて、これで旅の記録はおしまいです。

ちなみに、いくつも購入した靴のうち、一番気に入った英国靴はわけもなく履かないことに決定した。いつの日か最高に嬉しい時か、最高にワクワクする時が来たら履くことにした。

なんかそういう縛りを設定しないと面白くない。

とか言いながら、すぐに嬉しい場面を無理やり作って履いちゃいそうだが。

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