今日はちょっと固い話を書く。
意味や必要性がサッパリ分からなかった総選挙も終わり、全員再任という新?内閣も動き出した。
何とも気持ち悪い真冬の政治劇だったわけだが、国民の関心は低く、投票率だって戦後最悪の水準だった。
投票率の低さについては、政治情勢との絡みや季節的要因もあったのだろうが、トンチンカンな選挙制度そのものが元凶だと思う。
「接戦だったら両方当選」。こんなバカげた図式が当たり前になっている以上、有権者が棄権したくなるのも無理はない。
沖縄の4つの選挙区では合わせて9人が立候補したが、結果は全員当選。何じゃそりゃ~!って感じである。普通の人の普通の感覚では意味不明である。
比例代表に重複立候補して復活当選する仕組みは、いわゆる「死に票」を減らす目的で導入されたが、結果的には「ゾンビ議員」を量産することになった。
子どもが学校で級長や学級委員を選ぶ際に、接戦になったから双方当選にするなどというバカげた考えはない。勝ちは勝ち、負けは負けである。
「選ぶ」という当たり前の行為が歪んでいること自体を国の根本的な欠陥として検証すべきだ。
接戦だったのならまだしもボロ負け候補者ですら復活当選が可能だ。今回も小選挙区の当選者の4割にも満たない得票で復活した「ゾンビ議員」もいる。
有権者による当選させたくない権利、すなわち「落とす権利」を無視したお粗末な仕組みだ。
まさに議員による議員のための互助会的救済機能が優先されている。この異常性を異常と感じない空気が世の中に浸透していることが気持ち悪い。
政治の問題ついでにもう一つ。
来年から相続税増税がスタートする。都市部でそこそこの一戸建てを持っているだけでも課税対象になり得る大幅増税だ。
高齢化も加わって「相続」がいろんな角度から日本社会の課題になりそうな雲行きである。
親が残した経済的な価値のあるものはすべて相続税の対象になる。時代遅れだなどと跡取りに敬遠され、借金まみれで倒産寸前の零細事業だろうと経営者が亡くなれば相続税問題に直面せざるを得ない。
本業がメロメロだろうと、資産価値や“ノレン”の価値が金銭換算されれば、税務上は資産家とみなされるケースはいくらでもある。キャッシュの有る無しに関わらず「富の再分配」という名の税負担を求められる。
税金が社会の会費である以上、例外は食糧の安定供給を背景にした農家に対する相続税の納税猶予ぐらいで、業種や業態による不平等はない。
いや、不平等はないと言いたいところだが、一つ抜け道がある。
政治資金団体がそれ。先代、先々代が集めた膨大なカネを税金の心配抜きに受け継げるという意味では、政治家という「商売」は農業より相続の面では優遇されている。
今回の選挙でも当選者の4分の1が世襲だ。自民党議員に絞れば割合はもっと高くなる。
親の代からの政治団体の管理を古参秘書任せにしていた「小渕お姫様元大臣」。先代が急逝したから政治の世界に引っ張り出されたのだが、政治を引き継ぐというより政治団体を引き継ぐことがお家の一大事だったのだろう。
安倍首相も第一次政権当時、政治団体の引き継ぎをめぐる疑惑が報道されたことがある。
結局、総理辞職というドタバタの中で話題自体が沈静化したが、親から政治団体を受け継いだことで相続税を免れたのではと週刊誌が追及した経緯がある。
何だかんだ言って、ヘンテコな互助会的選挙制度に守られて、他の商売より有利な世襲が罷り通っている非常に特殊な環境にいるのが国会議員だろう。
そんな政治家達が決めた相続税の大型増税が年明けからスタートする。なんとも切ない話だ。
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