秋の味といえばサンマだ。あのウマさは独特だ。何かで代用できるものではない。若い頃は好きではなかったが、今では大好物である。
30代ぐらいの頃、小料理屋のカウンターでしっぽり飲む大人を演じたくて頑張っていた。渋い大人のフリをしているから、店の人に勧められるものを我慢して食べていた。サンマもその一つ。
食べ慣れていなかったから小骨に難儀したが、カッコつけているから無理して綺麗に食べた。口の中に骨が刺さりまくったが必死に食べた。おかげで食べ方もそこそこ上手になった。
今の時代、サンマは刺身で出されることが多い。個人的にはあれはあまり好きではない。青魚は焼いてこそ美味しいと思う。
サンマをどこでも生で出すようになったのは、せいぜいこの20年ぐらいじゃなかろうか。昭和人の先入観かも知れないが、生サンマはどうもピンとこない。
青魚は足が速いから、鮮度の良さをアピールするには生食も意味はある。でもそれだけだと思う。「サンマは炭火で塩焼きが一番」。時代遅れと言われようと断言しちゃう。
この画像は炙ったサンマをポン酢で食べた一品だ。ポン酢との相性の良さは火が通っていればこそである。刺身よりウマいと思う。
今では、サンマだけでなく、イワシやニシンまで生で出てくることが珍しくない。サバだって寄生虫の心配のない上等な養殖モノがまったくの生で出てくる。
それはそれで美味しいのも分かるが、適度な塩梅に酢締めされたシメサバのほうが好きだ。ちょっと硬直した考えなのだろうか。
厳密にいうと青魚じゃないかも知れないが、ソッチ系の中で私が大好きなのがカツオだ。ウマいカツオはもっと世間的に評価されていいと思う。
何が何でもマグロが王様みたいな認識は誤りである。ウマいカツオはサカナ業界の雄だと思う。香りも旨みも抜きんでていると感じる。
やはりタタキが一番だろう。軽く皮目を炙ってニンニクスライスを薬味にする土佐風が私の好みだ。
最近は塩タタキなんかも人気らしいが、個人的にはオーソドックスなタタキのほうが好きだ。醬油とポン酢を半々ぐらいでミックスするのが私のこだわりである。
これならどこの店でも出してもらえる。自分でも勝手に作れる。ポン酢だけで食べるよりもニンニクスライスの風味が増すような気がする。
この画像は目白にある「鮨おざき」でカツオを炙ってもらっているところ。炭火に加えてワラ焼きである。逆立ちしたってウマくなる。
この店を訪ねる時はたいていその後は真っ直ぐ帰宅する。すなわち飲み歩かない日である。だからニンニクスライスも躊躇せずに頼める。
生のニンニクが抜群に合う魚なんてカツオのタタキぐらいしか思い浮かばない。それだけでもカツオの偉大さ?が分かる。
大学生の頃、ひとり旅でふらっと出かけた高知で「カツオはニンニク」という教えを刷り込まれた。
当時は今のように全国各地の食べ物や食べ方が知られているわけではなかったから、「生魚に生のニンニク」という組み合わせに衝撃を受けた。
あれから30年以上が過ぎ、その教えを一度たりとも疑うことなく守っている。死ぬまで守り続けるはずだ。頑固一徹こそ男である。
でも、生姜醤油で刺身のまま食べるのも好きだ・・・。
なんじゃそれ。
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