東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2019年6月5日水曜日
スタミナとウナギ
スタミナという言葉を使い続けてウン十年。ラテン語やギリシャ神話に語源があると最近知った。
詳しいことは分からないが「生命が持つ根源的な力」という意味らしい。そこから「元気の源」みたいな使い方をされるようになったとか。
フムフムである。
一般的にスタミナとは、活力や持久力のことを指しているわけで、スタミナ食といえば「元気が出る食べ物」を意味する。
ここ10年ぐらい、やたらとスタミナ系に意識が向くようになった。居酒屋で馬刺しを見つければ注文し、とろろをドリンク剤のように一気に飲み干し、ほうれん草のお浸しなんかも頬張る。
家の冷蔵庫にもすぐに食べられる味付きとろろが常備されているし、冷凍ウナギも切らしたことがない。
私にとって一番の好物といえばウナギだが、最近は好きだから食べているというより、スタミナをつけるために食べている感覚がある。
牛丼屋で期間限定みたいに用意されるウナギにも手を出すようになった。以前は敬遠していたが、最近は疲れを感じると本格的な専門店以外でも食べる。
個人的には吉野家のウナギより、なか卯のウナギのほうがしっくりくる。キンシ卵が邪魔な点を除けば悪くない。
ファストフードのウナギまで食べちゃうようになったのは、ここ1,2年だ。それだけスタミナ補充に躍起になっているのだろう。
好きなものはもう少しこだわって味わいたいところだが、年々スタミナ低下が進んでいるから、小さなことにこだわっている余裕はない。
歳が歳だから疲れやすいのは仕方がない。放置しておくと、身体も心もクタ~っとしちゃう。こうなると頭の回転も止まる。何かと不便だ。
そういう状況になると身体の奥の方、芯の方に元気の源をせっせと運びたくなる。まっ先に頭に浮かぶのがウナギである。
で、自分好みのウマい鰻屋をいくつも知っているくせに、通りすがりの見知らぬ店に入って失敗することもある。
まあ、失敗かどうかはあくまで自分一人の基準だ。一度行っただけで気に入らなかった店をネット上で酷評するのは極めて失礼でヤボなことだ。
だからこのブログでは基本的に悪口は書かないのだが、ほぼ毎日外食をしている私は、普通の人よりもマズい店に遭遇することも多い。
先日、港区某所でウナギのせいろ蒸しを食べた。いつものウナギとは毛色が変わっていたから大いに期待してウナギ様を待つ。
あらかじめタレで味付けされたご飯とともにウナギがせいろ蒸しにされていた。ウナギはともかく、ご飯がダメだった。
鰻重のご飯は硬めで粒立っていて欲しい。これは私にとって非常に重要なポイントである。
鰻重に限らず硬く炊いた白米が大好きだから、タレが染みることになるウナギならなおさら重視したい点だ。
このせいろ蒸しは、ご飯がグニャリって感じで、載っているウナギだけ食べてご飯はほぼ残してしまった。軟らかいご飯が好きな人向けの店だろう。
別な日、京橋界隈で行こうと思った寿司屋にふられ、天ぷら屋にもふられ、初訪問の焼鳥屋も満席で途方にくれる。
歩き回って疲れてしまい、頭の中でスタミナの四文字が点灯し始めた。一気に気分がウナギモードに変わる。
で、もう一息歩いて銀座一丁目の「ひら井」に向かう。何年かぶりの訪問だ。本格的なウナギを出す店だが、一品料理のメニューの方が多い割烹料理屋的な店だ。
クジラベーコンや辛味大根のジャコ和えをつまみにアルコール補給開始。白焼きと肝焼きが出てきたあたりで冷酒に切り替える。
白焼きも肝焼きも普通よりデカい。嬉しいけど昔ほど食べられなくなった身にはちょっとキツい。
でもスタミナという言葉が私の胃袋を後押ししてペロペロ食べる。鰻重も頼んでいる以上、ここでひるんではいけない。
「ご飯は極小でね」と若い頃の自分からぶん殴られそうなチキン野郎みたいな頼み方をした鰻重がやってきた。
満腹気味でも、あの香りに包まれ、この照りを目の当たりにすると余裕でガツガツ食べてしまう。結局完食。
帰路につき、胃袋と肝臓が疲れていることを感じる。スタミナ補給に行ったつもりがバテちゃっているわけだ。
ちなみに割と頻繁にウナギを食べるのだが、ウナギのおかげで元気モリモリになったとか、夜の活力がアップしたとか、そんなことを感じたことはない。鈍感になったのだろうか。
何だかシャバダバでトンチンカンな話だ。
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