食べ物がウマいかマズいか。これを突き詰めても結局は個人的な好みに尽きる。
私の住まいから徒歩20秒のところに「はしご」という人気ラーメン屋さんがある。個人的にはあまり好きな路線ではない。せっかく至近距離にあるのに残念だ。
まあ、こんなヘンテコなカップ麺を喜んで食べている私がラーメンを語っても説得力はない。
「謎肉まつり」と銘打たれたカップヌードルである。あの得体の知れない四角い肉がてんこ盛りだ。ちょっと興奮する。
普通のカップヌードルだったら、スープの底の方に潜んでいる四角い肉をあさましく必死に探し出して残らず食べる。
そんな苦労がウソのように謎肉だらけである。かなりハッピーだ。ハッピーなのだが、ウマいのかと問われれば話は別だ。
やはり味にはバランスが大事だ。謎肉だってちょこっとしか入ってないから有難く感じる。とにかくバランスが味の決め手である。
ということで、何を食べてもウマい店の話。結局、バランスに優れているのだと思う。誰が食べてもウマいと感じるメニューが豊富に揃っている。
先月、ここで「ヤバい味」として紹介した銀座にある「そうな」という店だ。
雑居ビルの地下、歴史のあるスナックかと見紛うような怪しげな扉を開くとカウンターだけのレストラン空間が広がる。
場所柄、クラブの同伴のお客さんが多いが、その分、8時半が近づく頃には一気にガランとする。
あれこれと少しづつウマいものを欲張りたい時に最適な店だ。和洋中ジャンルを問わず水準以上の味が楽しめる。
贅沢トリュフ卵、キノコのソテー温玉トリュフ掛け、手作り金華豚ソーセージである。ネーミングを見ただけでヨダレが出る。
アーダコーダと言わずに味わいを端的に表現するなら、やはり「ヤバい味」としか言いようがない。
ホイコーローに紫蘇餃子、ビーフシチューだ。これまたヤバい。脈略なしにジャンルに関係ない料理をオーダーできるのが有難い。
やたらとメニューが多い居酒屋っぽい店ならそんな路線も珍しくない。でも、この店は食い道楽オジサマのハートをわしづかみするようなニクい食材を上手に組み合わせているので、単なる何でも料理屋とは一線を画す。
土鍋で炊く日替わりご飯も人気だ。秋だったら松茸ご飯や栗ご飯みたいな定番だけでなく、ちょっと前は子持ち鮎の炊き込みご飯が出てきた。
滋味と呼びたくなる優しく深い味わいにぷちぷちした卵の食感が加わって締めの一品としては最高だった。
こちらは別な日に食べた締めのご飯モノ。とろとろ親子丼である。ご飯抜きでツマミとして楽しむ人もいるそうだが、やはりコメと絡まり合った状態は捨てがたい。
この日はご飯を極少にしてもらってフガフガ言いながら味わった。ヤバい味だった。
こういう親子丼にありつける日本という国に生まれて良かったと本気で思った。そのぐらい美味しかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿