20代も終わりの頃、ひょんなことから銀座で部活を始めた。夜のクラブ活動である。かれこれ四半世紀も前の話だ。
そう書くと夜の銀座の大ベテランみたいだが、周期的に行ったり行かなかったりを繰り返してきた。
コロナのせいですっかり行かないことが普通になってしまった。私の財布にとっては良いことだが、やはり時々はあの世界に身を置いてキリっとしたい?ものである。
とはいえ、行かないことに慣れてしまうとつい億劫になる。きっかけが無いとなかなか足が向かない。
そんななか、斬新な「きっかけ」で久しぶりにクラブ活動に精を出してきた。
そのきっかけとは我が娘である。娘は中学生ぐらいの頃から銀座のクラブという世界に興味津々だった。
大学生になったら連れて行ってやる。そんなテキトーな私の発言を覚えていて、最近もちょくちょく催促されていた。
とある日、銀座の近くで夕飯を食べた流れでいよいよ“社会科見学”に連れて行くハメになった。
何だかビミョーな気分だった。娘を連れて銀座のクラブに出かける・・・。自分がどんだけ歳をとったのかを突きつけられたような気がした。
若かった頃、銀座といえばアウェー感しかなかった。クラブに集うお客さんも今より年齢層が高かったと思う。
若造が混ぜてもらって端っこで小さくなって飲んでいる感じで、それが逆に面白かった。背伸びしているようなワクワク感があった。
令和の世になった今、子供を連れてドッカリ腰を下ろし、好々爺みたいな顔をしてちびちび飲んだわけだから何とも言えない変わりようである。
イマドキは銀座のママさんやキャラの立ったホステスさんがSNSでいろいろ発信している。そういう情報はお客さんや同業関係だけでなく一般の女性も熱心に見ているらしい。
わが娘もその種のSNSをいくつもフォローしているんだとか。背伸びしたい年頃だから、キラキラオネエサンの生態に強い関心があるのだろう。
連れて行ったのは2軒。ミニクラブ風の店と大箱系の店。それぞれ“それっぽい”雰囲気が味わえる店だ。
娘はかなり楽しんだようだ。ミニクラブではバイト感覚のオネエサン達とアーダコーダと楽しそうに語り合い、大箱の店では、ゴージャス?な雰囲気とプロっぽいオネエサン達にちょっと圧倒されながらハシャいでいた。
こっちは大変である。娘の手前、隣に座ったオネエサンのオッパイを話題にするわけにもいかず、得意中の得意であるワイ談も展開できず悶々とした。
私からワイ談を取ったら単なる疲れたオジサンでしかない。それが現実である。まったく使い方は違うが「ヘビに睨まれたカエル」の気持ちがちょっと分かった。
当然、こんな写真をニタニタしながら撮影することもなく、それ以前にこんな写真をしょっちゅう撮っていることなどミジンも感じさせないような態度で過ごしていた。
2軒のハシゴを終えた娘はゴキゲンだった。「またすぐにでも行きたい」、「パパももっと銀座に出なきゃダメよ」等々、好き勝手なことを言っていた。
娘があの世界にハマってしまっては困るが、大人の階段をのぼっている最中だから、見聞を広めるためには見ておいて損はないだろう。
銀座で飲むようになって四半世紀。私にも書きたいような書けないような思い出や物語がいくつもある。
あの街を歩いていると、そんな過去のアレコレがふと頭をよぎるのだが、この日ばかりはそんな余裕はまるで無し。ただただ保護者としての緊張感が続いた。
まったくヘンテコな例えかただが、総理大臣のSPの気持ちがちょっと分かったような気がした。
ブログありがとうございます。
返信削除とても興味深く拝見させていただきました!
そして、娘さんと仲睦まじさが伝わってきてとてもほっこりした気持ちに
なりました。
今日もありがとうございました。
いっしー様
削除コメントありがとうございます!いただいたコメントが今頃反映されたようで大変失礼しました。
これからもよろしくお願いいたします!