2020年12月21日月曜日

ご馳走鶏料理 玉ひで

前回書いた銀座の資生堂パーラーがオムライス業界の重鎮だとしたら、親子丼業界の重鎮は人形町の玉ひでだろう。

 

資生堂パーラーが“ご馳走洋食”なら玉ひでは“ご馳走鶏料理”である。焼鳥屋さんに代表されるように鶏料理は取っつきやすいジャンルだが、玉ひでの「鳥すきコース」は満足感の高い”ご馳走”だ。

 

人形町のランドマークのようなこの店は250年以上の歴史があるらしい。オッタマゲである。先日、個室を取ってじっくりと味わってみた。



 

昨年、中央区民になって人形町も身近になったのだが、ようやく訪ねることが出来た。親子丼が人気で週末はいつも行列が出来ている。

 

親子丼がシメに付いてくる鳥すきコースは文字通り鶏肉のすき焼きが楽しめる。すっかり牛肉が重たく感じるようになったから鳥のすき焼きは有難い。

  

割下が見るからに濃い感じで味も強過ぎるのかと心配したが、まったく問題無し。どちらといえば優しい味わいで際限なく食べられそうなほどだった。

 

東京軍鶏というブランドしゃもは肉質の締まりが良く鶏の風味もしっかり感じられて美味しかった。

 





 

この店のすき焼きは生卵ではなく軽く温玉状態になっているタマゴを少しづつ崩しながら付けるのが特徴。

 

このスタイルは牛肉のすき焼きでもアリだと思う。まったくの生卵よりも使い勝手が良い。





印象的だったのがネギとシラタキの美味しさだ。シラタキはこの店が独自に作らせているオリジナルだとか。

 

細めで繊細な食感が実に良かった。ネギもそこらへんで出てくるネギとは別モノの美味しさだった。

 

すき焼きは仲居さんが取り分けてくれて、少しずつ味わった。つくづく自分が若者ではなくて良かったと思う。

 

若い頃ならもっとドッカンドッカン食べたかったから、品良くちょっとずつ出される食べ方に悶々とすることが多かった。いまでは一応それなりに情緒を味わいながら過ごせる。歳をとるのも悪いことではない。

 

さて、すき焼きを堪能した後は名物の親子丼だ。三つ葉やタマネギなど余計なものは何も入っていない。

 

純粋に鶏肉と卵だけで作られているのが潔い。この店のこだわりのようだ。鶏と卵のレベルが高いわけだから確かに他の材料はいらないだろう。

 



 

付随してきた生卵の卵黄だけを親子丼にまぶして味わってみた。割下の味と鶏肉の味と卵の風味が絶妙に融合して素直に美味しかった。

 

これまでアチコチの焼鳥屋さんや鶏料理の店で「究極」「極上」といった名前の親子丼を食べてきた。それに比べれば玉ひでの親子丼はビックリするほど美味しいというほどではない。

 

とはいえ、正統派というか、安心安定の美味しさというか、老若男女を問わずホッコリと笑顔になる優しい味わいだった。

 

もっと言えば、毎日でも食べたくなる味、朝ご飯に食べたくなる味とでも表現すると分かりやすいかも知れない。

 

この日は昼のコースだったので、今度は夜のフルコースを味わってみたい。希少部位なども出てくるみたいだし、特製プリンなんかも気になっている。

 

こちらのお店、びっくりするほど高くはないが安くもない。ご馳走価格である。でも美味しいから仕方ない。

 

コロナのせいで死んじゃったり、死なずに済んでも味覚がおかしくなる人も多いご時世である。もはや一定以上の年齢になればマズいものを食べている余裕はない。


気をつけながらウマいものを食べ続けようと思う。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。
    変なところに食いつきますが、玉ひでも椅子になったんですねえ。
    どこもかしこも椅子席になってしまい、年寄りにはさみしい限りです。
    画像の皮の部位、おいしそうですね。いい鳥なのでしょう。
    そういえば、今半もオリジナルの白瀧を自慢してました。
    良し悪しはよくわからないですが。

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  2. 佃在住さま

    ありがとうございます!

    鶏の皮は普段は避けているのですが、ここのはウマかったです。しらたき問題、確かに違いはそんなに分かりませんが、食感がとても良かったです!

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