歳をとっても元気な人は牛肉を好んで食べていると聞く。先日99才で亡くなった瀬戸内寂聴さんも晩年までステーキが大好物だったそうで、昨日最終回だった大河ドラマで描かれた渋沢栄一翁も牛肉を好んで食べていたそうだ。
今ほどの長寿社会じゃなかった時代に92才まで生きた渋沢翁は女遊びも尋常じゃないレベルだったようで、そんなパワーの源も牛肉だったのかも知れない。
というわけで、私も必死に牛肉を食べないといけない。でも最近はすっかり牛肉の重さが苦手になった。栄養素が抜けちゃったような牛丼の肉なら喜んで食べるのだが、ちゃんとした牛肉はつい敬遠したくなる。
ここ数年、豚肉のほうが100倍好きだ。週に4~5回は食べている。豚肉はあまり長寿との絡みで話題にならないようだが、徳川最後の将軍・慶喜公は相当な豚肉マニアだったらしい。
豚肉が好きな一橋の殿様という意味で「豚一」と呼ばれていたそうだからホンモノである。15人の将軍の中で一番長生きした人だから案外豚肉も長寿に貢献するのかも知れない。
さて、12月は会食が多く渋々牛肉の宴に参加する機会が何度もあった。困ったことに大人社会での会食となると、すき焼きやしゃぶしゃぶはその店のメニューの中でも上ランクのものを選ばないとならない不文律?がある。
一同みな赤身肉のほうが嬉しいのに、わざわざ値段の高い霜降り肉を食べてゲンナリするのがニッポンのオジサマ達の哀しい風習である。
先日、銀座の老舗「吉澤」に行く機会があった。すき焼き大会だ。この店はお肉のランクが確か10段階ぐらいに分かれているのだが、運良くこの日は「真ん中」レベルを食べることになった。
本当は下の下ぐらいが脂身が少なくて嬉しいのだが、さすがにそうもいかない。ツラいところである。この日はコースだったのですき焼き以外も牛肉が攻めてきた。
ローストビーフや小さいステーキもやってきた。美味しいのだが、すき焼きの前にこういうのが続くのはキツい。カニの甲羅焼きみたいなグラタン的一品が私をホッコリさせてくれた。
中学生や高校生の頃の自分をタイムマシンで連れてきて今の私の代役として食べさせたいと思った。あの頃は延々と肉を食べてもヘッチャラだった。キロ単位で食べられた。胸焼けや膨満感とも無縁だった。
すき焼きと違って焼肉屋さんの宴のほうがちょっと気が楽だ。焼き担当になって人様のためにせっせと肉を焼き、自分はほとんど食べなくても間が持つ。
先日訪ねた某焼肉屋では一品メニューからセンマイ刺し、チャンジャ、自家製コンビーフを頼んで、それらをツマミに焼酎をグビグビ、肝心の焼肉は一枚も食べずに終わった。
この日も目の前に並んだのは霜降り系の肉だ。この“白っぽさ”に興奮した若かりし頃が遠い昔のように感じる。ちょっと残念だ。頑張ってもエネルギッシュ爺さんにはなれそうにない。
とか何とか、さも食が細い繊細な人みたいなことを書いているが、焼肉屋で肉を食べずに帰った日はたいてい「深夜のカップ焼きそば」にお世話になる。バカ丸出しだ。
ちゃんとした牛肉を食べるか、カップ焼きそばを食べるか、どちらが身体に良いかは考えるまでもない。せめて深夜の牛丼のほうがまだカップ麺よりはマシかもしれない。
何だか愚痴っぽい話に終始してしまった。
もし私が人並みに長生きできたとしたら、カップ焼きそばは身体に悪くないという説を立証できるからそれはそれで面白いかも知れない。
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