2022年7月13日水曜日

ゾワゾワした気分 追悼演説

 

子供の頃、かつて社会党の浅沼委員長が演説中に殺されたという話を聞いて過去の事件ながら衝撃を覚えた記憶がある。リアルタイムで接した今回の安倍元首相の事件への驚きはそれとは比較にならないほど大きかった。唖然とした。

 

元首相の殺害などという事件は歴史の教科書に載るような次元の話だと思っていた。現代社会で起きることではないと勝手に思っていた。

 

ネット上には白昼の惨劇を撮影した数々の動画が溢れている。繰り返し視聴してしまい精神的に参ってしまう人は多かったようだ。私自身も動画の見過ぎでゾワゾワした気分がなかなか消えなかった。

 

それにしてもあの警備のユルさはお粗末の一語に尽きる。批難されて然るべきだ。前首相ではなく前前首相だから手薄になったのだろうか。警察にとって間違いなく歴史的な汚点だ。責任は曖昧にすべきではない。

 

今回の事件については、民主主義への挑戦だの言論への挑戦だのメディアはことさら政治的背景をストーリー化したがったようだが、蓋を開けてみれば、煮詰まった人物の個人的動機による凶行だった。

 

そう分かったら分かったで、そういう煮詰まる人間を生んだのが安倍政治の傲慢さだとか、安倍元首相が民主主義の盾になっただとか、強引というかズレた言説も随分と見聞きした。

 

なんでもかんでも大上段に構えて理論付け、というかこじつけるような風潮は感心しない。今回の件でも先週末には「だから投票に行こう」といった論理のすり替えみたいな話が飛び交っていたことには違和感があった。

 

投票率の上昇と事件との因果関係は分からないが、投票率アップが結果として意味不明?な新顔議員をたくさん誕生させたという側面もある。

 

いずれにせよ今回の事件をどう捉えていいのか、まだちょっとモヤモヤしている。政治的な目的のいわゆる暗殺ではないにしても、あのような事件を起こす異質な人物が増加していることは今のこの国の問題だと解釈することも出来る。

 

テレビで誰かが言っていたが「自殺したい人が一発やり返してから死のう」といった刹那的な思い込みによる事件が増えているという。確かにそんな傾向は昔より強まっているのではないか。

 

思えば近年世間を騒がせる無差別殺人などは、社会から阻害されたような状態で変な思い込みに固執した犯人が起こしているケースが多い。現代社会の病巣みたいな話なのだろうか。


ちなみに「引きこもり」は現在100万人を超えるというデータもある。若者だけでなく30代、40代も相当数にのぼる。昭和の頃に比べれば明らかに異質だ。

 

社会との接点のない人が増えることで普通の人が普通に思う常識の外で生きる人も増える。こうした人々の感覚をそうでない人が理解することは難しい。

 

結果、社会の分断は進む一方だ。昔だったら「言わずもがな」で済んだ話も、すれ違いにつながり対立や恨みを生む悪循環に陥る。まさに現代社会の闇の部分が事件の根っこにあるのだろう。

 

いかんいかん、なんだか結局は私自身が今回の事件を「大上段に理論付け」したくなっているようだ。どうにも話がまとまらない。

 

それはさておき、「かつて安倍さんを批難した奴らは詫びろ」みたいなピントのズレた声がネットなどに溢れているのはどうなんだろう。

 

確かに常軌を逸した過激な安倍批判は問題だったが、民主主義って突き詰めれば言論でのケンカみたいなものである。為政者が批判を受けるのはごく普通のことだ。


安倍政権への批判がすべて事件を誘発したかのように短絡的に捉えられるのは正しくない。そんな空気が濃くなるとしたら逆に恐いことだと思う。

 

個人的に左翼は苦手だが、ネトウヨと呼ばれるような行き過ぎた右側の人々の声にもブキミなものは多い。行き過ぎれば「お上は正しい。逆らってはいけない」みたいな危なっかしい理屈につながる。

 

なんだか綺麗事ばかり書いてしまったが、結局なにが書きたかったのかよく分からなくなってしまった。

 

戦後政治最大級の事件だけに何かしら触れておこうと思って書き始めたのだが、どうにもまとまらない。

 

ちなみに国会では在職中の議員が亡くなると追悼演説が行われる。これまで数えきれないほどの追悼演説が行われてきたが、冒頭で書いた浅沼社会党委員長への追悼演説は時の総理大臣・池田勇人氏による名演説として語り継がれている。

 

安倍元首相への追悼演説は誰が担うのだろう。野党勢力がヘロヘロだから自民党の同僚が行う可能性もありそうだ。


麻生さんなら聞き応えのある演説になりそうだが告別式で弔辞を読んだから再度の演説は無さそうだ。野党に大物党首はいないし、菅前総理あたりに白羽の矢が立つのだろうか。

 




 

 

 

 

 

 

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