前回このブログでさも死んじゃいそうな陰気な話を書いたから今日は爽やかな画像から始めてみる。こういう画像を嬉々として撮っているぐらいだから普通に元気である。
元気である証拠に相変わらず揚げ物もブリブリ食べている。逆流性食道炎を持病としながらそれを無視してしっかり茶色い誘惑に乗っかっているわけだから我ながらたいしたもんだと納得している。
先日、お気に入りの東銀座「はせ川」でトンカツを二つ注文した。その際の店員さんの様子にちょっとイラっときた。「オイ、そんなに食うのか?」みたいな反応をされた。なぜ一人一個だと思い込んでいるのだろう。
その日私は空腹だった。モロきゅう的な「肉そぼろキュウリ」と漬け物をツマミに飲み始めたのだが、第二弾のツマミとして「しそチーズロース」というトンカツを単品注文した。
定食ではない。たかだか揚げ物の単品である。名前の通りシソとチーズが入ったロースカツである。最初のツマミとこれを食べたところで別に凄い量を食べたとは思わない。
居酒屋に例えるなら枝豆に塩辛、ナンコツ唐揚げを食べたような段階だと言えよう。その後にまだまだ串焼きや重たい料理なんかを頼むのは極めて普通の行為だと思う。
にもかかわらず、この店の大人気商品「シャとんブリアン」も頼んだら店員さんは一瞬唖然とした表情を浮かべた。私をまるで変な人とかのような視線で見た。そんな反応をされるほどの話では断じてないと思うのだが…。
この店の最上級ヒレ肉であるシャとんブリアンは見ての通りの分量である。たいしたことはない。その気になれば30秒で食べ切れちゃう程度の量である。空腹ならこれだけでは絶対に足りない。「トンカツ2つ」といっても私にとっては揚げ物2品を頼んだだけの感覚である。
いわば「もりそばとカツ丼」もしくは「ラーメンと半チャーハン」と似たような状況だ。クドクドと書き続けるが、鰻屋さんで、うざくやう巻きに白焼きと鰻重を食べるほうがよほど量としては多い。
大柄の男がたかだかメインを2品ぐらい頼んだぐらいで店員さんには驚かないでもらいたい。日本全国の飲食店に対して声を大にしてお願いしたい。
というわけで揚げ物である。上に書いた2品も相変わらず官能的なほどの美味しさで私を幸せにしてくれる。心の底からトンカツを発明した人に感謝したい。
イマドキは塩で食べてなどと言われるがトンカツには断固ソースだ。あの組み合わせを上回るものはない。衣の油とソースの融合した味はこの世の奇跡かと思えるほどだ。
別な日、八丁堀にある「甲州天山」という肉料理屋さんに出かけた。焼肉もトンカツも味わえる便利な店なのだが揚げ物メニューも細かく用意されているのが嬉しい。エビフライも一本から注文できる。
この日もメインのトンカツを食べる前にビールの友としてハムカツ、メンチカツとともにエビフライも頼んだ。エビフライ一本でもタルタルソースがしっかり用意されていた。
タルタルソースととんかつソースのミックスである。私にとってはエロ本よりもエロさを感じる。身体に良いか悪いかは考えても仕方ない。ウマいものがヘルシーであるはずがないのは当然だ。でも間違いなく心の健康は増進される。
個人的には「カツ」は豚に限ると思っている。牛カツもチキンカツもまず食べることがない。半ば狂信的に豚肉派である。豚からすれば私は天敵みたいな存在だろう。
この日もメインには特上ヒレカツを選んだ。ピンク色ぐらいの火加減が肉の旨味を引き出してくれる。一般的なトンカツよりも値は張るが満足感に浸れた。
年齢とともにすっかり贅沢になってしまい、安い店の手軽なトンカツを食べなくなってしまった。幸せなことだがある意味不幸なことでもある。
トンカツが食べたくなると、いちいち高級店を目指していちいち気合いを入れて食べる。いつのまにか私にとっての「特別な食べ物」になってしまった。
いまやトンカツといえば「抜群にウマい」のが標準になってしまい「普通に美味しい」ぐらいだと物凄く不満に感じてその店を選んだことを後悔するほど。なんだか窮屈になってしまったような感じだ。
どんな店のどんなトンカツだろうと純粋に感激して幸せだった若い頃の感性はいま思えば貴重だった。贅沢な食べ方が出来るようになったくせにそんな言い方をすると叱られそうだが、あの純粋さが今更ながら懐かしい。
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