一人暮らしの時はトイレに入るときも扉は開けっ放しにすることが多かった。いつだったか家具が倒れてきてトイレの扉が開かなくなり何日も閉じ込められた人の話を聞いてからそんな習慣になってしまった。
狭い場所に閉じ込められるのは大の苦手だ。エレベーターに乗っている時も満員になると降りちゃうことがある。
エレベーターって考えてみたら妙に恐い。無条件に信用する気になれない。止まっちゃったら間違いなく私はパニックになって瞬時に総白髪になってしまう気がする。
閉塞感バリバリのカプセルに閉じ込められるMRI検査が苦手な話はここでも何度か書いてきた。先月受けた際は技師さんのアドバイスのおかげで何とか乗り切れた。
アドバイスの内容は単純なもの。機械に入る前から目をつぶったままでいると良いというだけ。これが効き目バッチリだった。やはり狭いカプセルに閉じ込められている感覚は目を開けているから強くストレスを感じる。目を開けないだけで随分とラクになった。
先日、脳外科の世界でスーパードクターとして活躍する中学高校の同級生の厚意で脳のMRI検査を受けることになった。以前から勧めてくれていたのだが恐くて逃げ回っていた。ようやく決意を固めて検査してもらったのだが前日ぐらいから憂鬱マックス状態だった。
10年以上前に脳ドックを受けた際、ほとんどパニック状態に陥ったことがある。そのトラウマはやすやすと記憶から消えてくれない。
http://fugoh-kisya.blogspot.com/2010/10/blog-post_11.html
しかし、先月の腹部MRI検査を無事に乗り切った成功体験に勇気づけられてまな板の鯉になってみたわけだ。
普通のMRIのカプセルみたいな機械に入れられるだけでなく脳の検査の場合、それに加えて頭と顔を専用の器具で覆われる。閉所恐怖症気味の私にとっては拷問以外の何物でもない。
横たわって技師さんの説明を聞いている段階からギュッと目をつぶってみた。顔を覆う作業をされている間も目は開けない。そして機械が動き出しカプセルの中に吸い込まれてから20分ほどジッと我慢の子である。
今回も一瞬たりとも目を開けずに頑張ってみた。イントロからエンディングまで忠実に歌うと5分きっかりのハマショー師匠の「アメリカ」という曲を頭の中で熱唱する。時間の経過が分かりやすい。
飽きてくると我が人生におけるエロい体験も必死に思い返す。そして壊れたラジオのように3回ほど「アメリカ」を歌い終わったら無事に検査終了のアナウンス。
今回も無事に突破できた。バンザイである。機械がカプセルから出てくる際に始めて目を開けてみた。目の前が器具で覆われている。一瞬でパニックになりそうになった。目を閉じたままでいた作戦の効果はやはり抜群だった。
で、しばらく待った後に結果を説明してもらった。説明がちっとも頭に入らないほどブキミな画像に見入ってしまった。私の頭の中には目玉オヤジが住んでいた。おったまげた。
これが自分の頭の中なのかと思うと妙に不思議だ。目玉の感じがリアルで気持ち悪いのだが、それと同時に何だか愛おしくも感じた。変態みたいである。
結果はすこぶる良好とのこと。加齢による萎縮も無ければ梗塞っぽい箇所もまったく無かったらしい。実に綺麗な状態だとお褒めにあずかった。
もっと嬉しかったのは撮影時にまったく動いてしまった形跡がなく画像診断がとてもしやすいと褒められた点である。
ビビリながらもキチンとジッとしていられたわけだ。ハマショー師匠と我がエロ体験に心から感謝である。数え切れないほどの?エロ体験もこの日のために無駄ではなかったわけだ。
半世紀以上生きてきて脳が綺麗な状態だと言われることは実に嬉しいことである。その一方で、そこまで綺麗だと言われると、はたしてちゃんと使ってきたのかと不安になってしまう。
ひょっとすると「頭をロクに使って生きてこなかったバカな人」だと宣告されたのではないだろうか。だとしたら大問題である。
頭を使いすぎてボロボロになるよりはそっちのほうがマシだと自分に言い聞かせている。
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