2023年11月10日金曜日

銀座が呼んでいる



最近、ちょこまかと銀座通いに励んでいる。鼻の下を伸ばしに行くのが主な理由だが、今月行われる我がオヤジバンドのライブに向けた集客活動にもなっている。例年、いくつかのお店の女性陣や黒服がライブ会場の前の方の席に陣取りワイのワイの盛り上げてくれる。

 

素人バンドのライブはヘタするとお客さんも固いままでドンヨリ進行しちゃうことが珍しくない。その点、わがバンドライブは一味違う。「チーム銀座」が盛り上げ役として活躍してくれるから前半から結構楽しい空気が広がる。次第にすべてのお客さんにワイのワイの楽しむ空気が広がっていく。

 

一種のサクラ!?である。いや、それは違う。ちゃんと正規のチケット料金を負担してくれているから厳然たるお客様である。といっても、ライブ後にお礼参りに出向くと個々のお店でやれニューボトルだ、シャンパンだなどと言われるからコストパフォーマンス的には最悪である。

 

ライブのチケットは一人3500円である。それに比べてそれぞれのお店では顔を出して座るだけで10倍ぐらい収奪されてしまう。経済原則として意味不明な構造だ。


そんな細かいことを気にしても仕方ないので綺麗どころの前でニンマリと過ごすようにしている。鼻の下が伸びた私の顔は見せられないので頑張って加工した画像だ。

 


 

バンド活動は123年前に始めた。毎年地道にライブを行っていたが、コロナの中断があったせいで今年でついに10回目になる。銀座勢の中にはヨチヨチバンドだった1回目から欠かさず見に来てくれているオネエサンもいる。


当時は大箱のホステスさんだったが今や小さい店のオーナーママさんになった人もいる。そろそろオネエサンという呼称も厳しくなってきた。いとをかしである。

 

他にも2回目から皆勤というオネエサンや黒服さんもいる。有難いことだ。もちろん、銀座方面に限らず、毎年のように来てくれる友人、知人は結構多い。気づけばみんな順調に歳を重ねてきた。一緒に歳を重ねているようで楽しい。

 

昨年、3年ぶりのライブの際、一年に一度同じような時期に集まってワイワイ騒げることは決して当たり前のことではなく得難い機会だと気付いたという理由で涙を流した銀座のオネエサンがいた。

 

私もその話を聞いてちょっと感動した。こっちはこっちで本番当日でバタバタしていたから感慨にふける余裕がなかったのだが、確かにコロナ禍で先の見えなかった日々を思い返すと、当たり前のようにライブが出来てみんなで騒げるのは物凄く貴重で得難い時間である。

 

というわけで、たとえ義理で来てくれる銀座チームとはいえ、貴重な盛り上げ役である以上、今年のライブでもしっかり応援してくれるように頼みに行かねばならないわけだ。


だから私が大嫌いなハロウィンイベントの日に当たっちゃった時には真面目にヘンテコな格好で飲んできた。昭和感満載のサングラスではしゃぐ私だ。

 



 夜の銀座に足を踏み入れるようになって30年近くになる。初めの頃は年齢的に間違いなく小僧だったからアウェー感に浸るのが結構楽しかった。ちょっと力みながら背伸びして過ごした。IT長者もいなかったその頃の銀座は中年よりも老紳士が目立った気がする。

 

あの世界では“マセガキ”みたいなものだったから居住まいの良いお客さんの姿を随分と観察した。ヘンテコな酔客は反面教師にしてカッチョいいオジサマ達を手本にしようと努めた。

 

それが今ではすっかりダメな酔客である。下の画像の私は隣に座るオネエサンの胸元に今にも突撃しそうな勢いである。力みも背伸びもしなくなると素の自分がさらけ出されてしまうみたいだ。

 


 

飲み方もだいぶ変わった気がする。昔は女性陣の話を適度に受けながら関連する雑学やウンチクを披露して悦に入っていたが、いまやすっかり“ワイ談マスター”みたいな話ばかりしている。

 

相手の話を聞くというより自分がしゃべりたいテーマを面白おかしく披露してウケを狙うような会話ばかりになった。昔ほど面白い話をしてくれるホステスさんがいなくなったせいかもしれない。

 

歳のせいか、伝道師みたいな心境になることがある。知っておけば楽しくなる話、得する話、ためになる話をワイ談という手法を駆使しながら必死に語っている。私より寿命がはるかに長い若者達に自分が見聞きしてきたことを伝えておかねばという使命感に駆られているのかもしれない。

 

種子島に鉄砲を伝えたポルトガル人はきっとこういう気分だったのだろう。

 

というわけで、ライブ集客に向けて音楽的な話をしなければいけないのに相も変わらずワイ談を伝道師的立場から必至に語ってしまう日々だ。

 

 

 

 

 

 

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