2024年1月24日水曜日

蘭ちゃんとハマショー師匠


年末の紅白で私の心を一番揺さぶったのが伊藤蘭サマである。小学生の頃、キャンディーズの蘭ちゃんが死ぬほど好きだった私からすれば当時の歌を元気ハツラツ披露してくれた姿は神々しく感じた。

 



蘭ちゃんは御年69歳である。ギョギョギョとしか言いようがない。アノ蘭ちゃんがそんな歳になっていたとはビックリである。


69歳って昭和の頃ならオバアチャンである。わが蘭サマの姿はちっともオバアチャン的ではなかったことが往年のファンの胸を更に熱くしたと思う。

 

さて、時代感覚と年齢のズレを象徴するのがサザエさんのパパ・波平の年齢である。どう見てもオジイサン寄りの波平だが、彼の年齢設定は54歳である。54歳といえば福山雅治とタメである。阿部寛や江口洋介の45つ後輩である。

 

「太陽にほえろ」で石原裕次郎がボスを演じたのが30代だったことを思えば昔の人の早熟老成ぶりは想像を絶する。今の時代がおかしいのだろうか。60代、70代はまだまだ現役感バリバリの人が多い。

 

ミュージシャンを例に取ると、松任谷由実が70歳、山下達郎も70歳、矢沢永吉が74歳、小田和正が76歳、宇崎竜童に至っては77歳である。いやはや50代後半ごときの私が疲れた、シンドいなどとヘタれたことは言ってはダメだと痛感する。

 

元気な70代の人達のおかげで下の世代はもっと踏ん張らねばというモチベーションを上げてもらえる。その一方で、いつまでも引退できずに働かないとならないという恐怖さえ覚える。

 

で、今日の本題である。

 

久しぶりにわが師匠・浜田省吾先生のライブに行ってきた。ハマショー師匠も気づけば71歳である。髪の毛こそ総銀髪になったものの、姿かたちは昔のままでパワフルなライブパフォーマンスも昔と同じである。

 



会場の有明アリーナに集まった1万人を超えるファンは幅広い年齢層だったが、もっとも多かったのは50代だ。ウン十年に渡って人生のいろんな場面をハマショー師匠の楽曲によって側面支援してもらった人々である。

 

私もハマショー師匠を聴き始めてからもう45年近くになる。中学生の頃、家庭教師の大学生に聴かせてもらったカセットテープがきっかけだ。その後の人生の節目節目に師匠の歌があった。

 

師匠について熱く語ったアーカイブにそのあたりは詳しく書いた。

 

師匠との40

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2021/02/40.html

 

今回のライブで演奏された20数曲はいわば“ゴールデンスーパーベストアルバム”みたいな構成だった。70年代、80年代の楽曲がテンコ盛りだったから私のような古いファンには感涙モノだった。

 

実際に、最初の2,3曲あたりのノリノリの曲の際に不覚にも軽く泣いた。泣くような曲じゃないのにその曲を聞いていた頃の甘酸っぱい記憶が急に甦ってウルウルした。音楽の力はやはり凄い。

 

ツアーバンドのメンバーも古くから同じ顔ぶれだ。当然、60代が中心で70代もいる。若者はコーラスの女性ぐらいである。

 

円熟したオジサン達の奏でる音の安定感にも引き込まれた。コンピュータが主役の打ち込み全盛の今の音楽シーンにあって、ハマショー師匠に代表される古株大御所系のライブ演奏はもはや古典的な素晴らしさを感じる。

 

昭和の頃に若者専用だったロックの迫力ある音は時を越えて今やオッサン専用の趣のある響きに進化したように感じた。そのぐらい熟練ミュージシャンたちの奏でる音が素晴らしかった。迫力の中にも地に足付いた落ち着きが感じられ、まるで晩年の王選手のホームランのような美しさだった。

 

例えがヘンテコになってしまったが、師匠の歌声だけでなく脇役であるバンドの素晴らしさもベテランミュージシャンのライブを楽しむ大きな要素だと改めて痛感した。

 



ハマショー師匠の楽曲は良い意味で偉大なるワンパターンみたいなところがある。歌の中で描かれるのは少年から青年、中年、壮年と変わってきているが“ハマショー的な世界“は変わらない。

 

そんなハマショー的世界観のおかげで、長くファンを続けている側にとっては自分の年齢や変化していく立場に応じて常に楽曲が寄り添い続けてくれる。これって数多いベテランミュージシャンの中でも師匠が稀有な存在になっている大きな要因だろう。

 

デビュー曲で15歳の少年の揺れる気持ちを歌っていたハマショー師匠は時代とともに青年期の苦悩、大人の矜持みたいな世界を描くようになった。子を持つ親の心情や、はたまた家庭を捨てた男や連れ合いや友に先立たれた男の悲哀なども描き、今や中年から壮年の生きざまにエールを贈るような世界も描いている。

 



私にとってはいわば時系列で人生の応援歌を聴かせてくれた先生みたいな存在である。先日のライブではまだまだ活動していくと宣言していたから、70代に突入した今後は人生終盤戦の闘い方をハマショー的世界観で描いてくれるはずだ。

 

 

 

 

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