半世紀以上生きてきたが、あまりケガには縁がなかった。子供の頃や若い頃は結構運動もこなしたがケガするほどドン臭くなかった(笑)のが秘かな自慢だった。
小学生の頃、自宅の庭にあった高い鉄棒から落ちて手首の骨を折ったことがあるぐらいだ。あの時はパニックになった母親が病院ではなく近所にあったシュールな雰囲気が漂う「ほねつぎ」という怪しい看板のボロ家に私を連れて行った。
幼心にナゼ病院じゃない?とアセった覚えがある。謎の老人に折れた手首をぐりぐりされただけだったような気がするが、その後の人生に手首に不具合はないからあれはあれで達人だったのかもしれない。
同じく小学校の頃、当時はまだ見かけたバキュームカーにはねられたことがあった。幸いかすり傷程度だったのだが、念のためということでパトカーで病院に運ばれた。救急車じゃないことが残念だった記憶がある。
たいしたケガなどなかったのだが、事故を起こしたオジサンがお見舞いにバキュームカーのミニカーを持ってきたのには参った。
その後、野球やテニス、少林寺拳法などを部活や学校外の活動でこなしたが、ケガらしいケガはなかった。大人になってから潜水旅行に何百回も出かけたり、シャレでカヌーを買ってみたり、草野球に真剣に励んだりしたがケガとは無縁だった。
十数年前に急な腰痛で歩けないほどになったが、あれもケガというよりストレス性だった。病院ではヘルニアとの診断で手術を勧められたが、謎の整体師に通っていたら痛みはなくなり今ではすっかり普通に暮らしている。
前振りが長くなったが、先日ケガをしてしまった。これも加齢が影響していると思うと実に切ない。きっと身体からのサインだったのだろう。
原因は自転車での大転倒だ。最近は通勤の足だけでなく週末の暇つぶしにもハヤりのレンタル自転車を使いまくっていた。
調子に乗ってブイブイ走り回っていたから、私の身体が「おい、オマエの身体はチャリをブイブイ乗り回すような歳ではないぞ」と信号を送ってきたのだと思う。
運よく自爆事故だったので人や物に危害を加えなかったのは良かった。道路と建物の境目の5センチ程度の段差にチャリのタイヤの側面が変な当たり方をしたみたいでバランスを崩してしまった。
まあまあのスピードが出ていたのでコントロールが出来ずにわりとすぐに転倒を覚悟した。と同時に頭の中で「受け身だ受け身!」という囁きがよぎる。
で、左方向に大きく投げ出される形で飛ばされた。運よく左肩を下にした受け身のような形でくるっと回れたので頭や肩のあたりに衝撃は感じなかった。しかし、左足の膝から下が痺れたような、力が入らないような感覚になった。
どういう形だったか不明だが、とにかく左足を地面に強打したようだ。膝をぶつけた感覚はない。運よくくるっと回り終わった際に左足の外側側面をコンクリに強打したのかもしれない。
周辺に少し歩行者がいたせいで、痛みより恥ずかしさが勝る。バカみたいだが、ああいう場面で性格が出るのだろう。エエ格好しいの私としてはさりげない顔をして落ちた帽子を目深にかぶり直して一息入れたらまたチャリを漕ぎ出した。
左足にあまり力が入らない。ちょっとヤバそうだったがそのまま目的地だったスーパーに行ってお目当ての黒ゴマ饅頭を買って帰宅。さすがに左足がかなり痛い。しばしおとなしく様子を見る。
運悪くこれが土曜の夕方だったので病院に行かないまま日曜になってしまった。やはりかなり痛い。足を伸ばすのは大丈夫なのだが内側に膝を折る動きが全然ダメ。トイレも難儀するし、部屋着のズボンや靴下の脱ぎ着もシンドい。
ウーバーに参加しているドラッグストアからシップなどを取り寄せてひたすら安静。動かない分にはたいして痛みがないからナゼか数年前に人気だった法廷ドラマ「イチケイのカラス」を全話観てしまった。
月曜早々に整形外科に行く。「じん帯損傷」との診断。骨折じゃないのは良かった。「じん帯損傷」などと聞かされると何となく響きが大谷翔平みたいでカッチョいい。
安静にするしかないとのことで帰宅してからは「イチケイのカラス」映画版を観て、その後は最近話題になった豪華キャストのドラマ「VIVANT」を一気に見てしまうことが出来た。
これを書いている今、痛みはだいぶ収まり、すっかりテレビっ子みたいになってしまった生活スタイルの軌道修正を図ろうとしている。
「チャリに乗るなら年相応の乗り方で」。当たり前だが今回の教訓である。
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