2024年9月11日水曜日

豚肉が活躍する場面


牛肉より何となく低い位置づけに甘んじているのが豚肉である。昔ならともかく今では抜群にウマいブランド豚もあるし、高齢化社会のせいで牛肉のクドさをツラく感じる人も増えたから、かつてよりは復権傾向にある。

 

私も肉類の中で豚肉が一番好きだ。若い頃は牛、豚、鶏の順番で好んだが、歳とともに鶏、豚、牛の順番に逆転し、今では豚肉がダントツで1位の座にある。週に4,5回は豚肉をワシワシ食べている。

 



ふるさと納税で取り寄せるのもこだわりの豚肉ばかりだ。いまハマっているのが沖縄の最上級ブランド豚と言えるパイナップルポークだ。旨味、甘味、食感ともにキングオブ豚肉だと個人的には感じている。

 

生肉だけでなく味噌漬けの逸品も定期的に取り寄せている。塩コショウもいらずにただフライパンで焼くだけでウマい豚ステーキが味わえる。解凍済みの場合、あれこれと小袋を破って投入するカップ焼きそばよりも簡単に出来上がる。

 

外食産業における豚肉はビミョーな存在だ。焼肉屋さんでは牛の独壇場で豚肉は肩身が狭い。やきとん屋さんに行けば豚だらけだが、あそこでは内臓など二軍扱いの部位が主役だ。トンカツ屋さんは揚げ物専門だし、豚しゃぶ専門店は数自体が少ない。

 

そう考えると豚肉はどこか居場所を探してさまよっているボヘミアンみたいな位置づけなのが残念だ。豚肉愛好家としてはこの点が以前から悩ましい問題だと感じている。

 

豚肉が大活躍する場面といえばラーメン屋さんを忘れてはいけない。チャーシューと名乗ってブイブイとこの世の春を謳歌している。ラーメンの世界では牛肉よりもエバっているのが豚肉だ。おまけにチャーシュー麺を声高らかに注文すると普通のラーメンを頼んだ人より上級国民みたいに扱ってもらえる。ウソです。

 



先日、期間限定のヤケクソチャーシュー麺を堪能してきた。各地に展開する喜多方ラーメン坂内のキャンペーンだ。メガ盛りと名付けられたこの商品はチャーシューが23枚も投入されている。

 

これを注文するとカタコトの日本語をしゃべる店員さんの目はキラキラと輝き、「アナタは上級国民なんですね!?」と尊敬されているような空気が店中に漂う。ウソです。

 

1年ぐらい前のキャンペーンの際も食べに行った。実に幸せだった覚えがある。山頭火の有名な俳句に「分け入っても分け入っても青い山」があるが、まさにそんな感じだ。どかしてもどかしてもチャーシューだらけ。これを幸せと呼ばずにどうしましょうって感じだ。

 



私はラーメンを食べる際、口の中が麺だけになることを嫌う。ネギでもメンマでもいいから麺以外も加えて一緒に味わいたい。


冷やし中華なら逆に余計な具材ナシで麺だけを味わいたいのだが、不思議とラーメンだと違う。麺と一緒に別な素材が口の中に混ざってほしい。それにはもちろんチャーシューが一番である。

 

でも一般的なラーメンはともかく、チャーシュー麺といえども麺を食べ終わるまでの数十口すべてにチャーシューを含めることは難しい。ましてや普通のラーメンなら1枚か2枚のチャーシューをウサギみたいに小さく刻むように齧りながらセコセコと麺と一緒に食べる。

 

気付いていない人が大半だが、多くの人が食べ進む麺の減り具合に合わせてチャーシューの残りの分量を必死に計算している。ラーメンマニアは別として案外そんな人は多いと思う。


私もそうだ。そんな悲しい思いを大人になった今も続けるのはゴメンだ。子供の頃にチャーシューを大事にし過ぎたトラウマのせいで、気づけばチャーシューだらけのラーメンに憧れる習性が身についてしまった。

 

そんな変態的嗜好を持つ私にとってこのヤケクソチャーシュー麺ほど有難い存在はない。麺を食べる数十口すべてにおいて常にチャーシューがしっかり口の中に参加している。もはや麺を食べに来たのではなく「チャーシューの麺添え」みたいな食べ物に感じる。

 



運ばれてきた時の画像と完食した際に撮った画像データを見比べたら所要時間は9分だった。前に食べた時も9分だった。やはりそれなりにせっせと食べないとキツくなってくるのかもしれない。

 

豚肉愛、チャーシュー愛の強い私ですら正直にいえばチャーシューの最後の34枚は飽きていた。でも「チャーシューに飽きちゃうチャーシュー麺」って考えてみれば物凄く贅沢かつ幸せな一品だ。

 

 

 

 

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