マクドナルドが日本に登場したのは昭和46年、銀座に1号店がオープンした。もう50年以上前の話だ。銀座店はお弁当屋さんみたいに店頭で販売するだけで椅子席はなかったそうだ。椅子席が用意された最初の店舗は同じ年にオープンした代々木店だとか。
私がマックと出会ったのは開業間もない代々木店である。当時私はボンボン!だったから荻窪の家から飯田橋の幼稚園までクルマで送り迎えされていた。帰り道に母親が立ち寄ってくれるマック代々木店は憩いの地だった。
いま思えばよくもあんな距離を毎日毎日送り迎えしてもらえたものだと思う。当時は交通量がまだまだ少なめだったのだろうか。交通戦争なる言葉が生まれどこも渋滞だらけになる少し前ののどかな時代だったのかもしれない。
マック代々木店での思い出といえばフィレオフィッシュのタルタルソースとマックシェイクに尽きる。タルタルソースという悪魔的にウマいものはまだ世の中に出回っていなかった。少なくとも私の世代に関してはタルタルソースはマックで覚えた。
さて、シェイクである。当時の子供でもミルクセーキという飲みものは知っていた。名前の響きもどこか魅惑的だったのだが、マックが「シェイク」と言い出してから「セーキ」への愛は一気に吹き飛び「シェイク」の大ファンになってしまった。
ミルクセーキとは違うあのアイスクリーム的な冷たさも衝撃だった。まだまだ後進国だった日本の子供全員がシェイクに骨抜きにされたのは歴史的事実だろう。
聞くところによるとマックシェイクにはちょっとした秘密があるらしい。秘密というかこだわりだ。マクドナルドはシェイクを美味しく感じる吸引速度を研究して「母乳を飲む速度」を目指してシェイクの粘度などを決めたという。ストローもそれを計算した太さに統一されているそうだ。
子供たちはイチコロだろう。あのちょっと野暮ったい吸い心地は母乳を吸う感覚を無意識に思い起こさせるわけだ。夢中になるのも当然である。ちなみに今も私はマックシェイクが好きだ。母乳かどうかはさておき、きっと私も「乳の吸い心地」に魅せられているのだろう。ちょっと恥ずかしい。
デリバリーがすっかり日本人の食生活を支えている昨今だが、マックのデリバリーメニューにマックシェイクが無いことは大いに残念である。きっとマックが誇る「母乳吸引感」がデリバリーだと台無しになってしまうことを避けているのだろう。
マック以外のデリバリーの世界にはシェイク的なものはそれなりに存在する。ドミノピザがカフェ的なメニューとして用意しているシェイクも美味しい。最近わりとハマっている。素直にウマい。ホイップクリーム抜きを選ばないあたりが私の悪いクセだ。
以前から甘いものは好きだが、昨年あたりからスイーツ愛がやたらと高まっている私としては今の季節、シェイクを見かければすぐに欲しくなってしまう。
最近はコーヒーのチェーン店・タリーズが出しているエスプレッソシェイクもやたらと飲んでいる。名前の通りちょこっとほろ苦さもあるので大人向きだろう。変な話だが、タバコとの相性が抜群だ。タバコ休憩の相棒として活躍してくれている。
数あるシェイク類の中でもちょっとした希少性を味わえるのが「ずんだシェイク」だ。シェイクといえば、バニラ、ストロベリー、チョコ、そのほかのフルーツ系が主流だが、ずんだシェイクは翻訳?すれば枝豆シェイクである。そう聞くと気持ち悪いが、甘みを足したずんだ餅に使うあのペーストがベースに使われている。
職場や家の近所でずんだシェイクを味わえる店を知らないので、羽田空港に出かけた時の私の密やかな楽しみである。羽田に行く機会があれば必ず飲む。時間が無くても駆け足で買いに行くほどウマいと思う。空港にあるなら東京駅を探せばありそうだから今度探してみようと思う。
今の地元・日本橋にある「GODIVA CAFE」の近くを通るとシェイク的なチョコレートドリンクを買いたくなる。昔、銀座7丁目あたりにあった「GODIVA CAFE」には同伴メシを食べた後のクラブのオネエサン達とよく行ったことを思い出す。懐かしの味である。
この店では「シェイク」と呼ばずに「ショコリキサー」という謎のネーミングだ。よく分からないがシェイクの仲間として認識して間違いないだろう。
この画像はわがオヤジバンドのメンバーと八重洲の居酒屋でいっぱいやった後に立ち寄った際の一コマ。酒の後でこういう口直しも悪くない。
綺麗なオネエサンか、禿げたオッサンか、一緒にいる相手は違ってもシェイクの味は同じだ。でもお互いのシェイクの違いを味見することはなかった。オッサン同士である。ストローで間接キッスする姿は一種の地獄絵図である…。
ヘンテコなまとめかたになってしまった。
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