2007年12月5日水曜日

おぐ羅のおでん

師走の声を聞けば「おでん」だ。すっかりコンビニ食となってしまった感があるおでんだが、上質な専門店なら、極上の晩餐になる。

銀座、数寄屋通りにある「おぐ羅」。出汁のうまみたっぷりのおでんが揃っている。「やす幸」の路線を踏襲したクリアなつゆは、あっさり、かつしっかりした味付けで、おでんと呼ぶより上等なお吸い物といいたくなる。

醤油を使わず、塩で味付けしているそうで汁の色は琥珀色。早い時間なら茶飯におでん汁をかける出汁茶漬けが楽しめる。これが死ぬほど美味しい。

アルコールの種類は少ないが、お燗酒は錫のやかんで温め、板前さんが自分の口に運んで頃合いを確かめる。やはり丁寧につけたお燗はしみじみと旨い。

おでんを食べる前の一品料理も、居酒屋料理とは一線を画す。しめ鯖などは、下手な寿司屋よりも上等。カツオの時期なら、特製ポン酢と薬味がどっさり入った名物のタタキが最高。カツオをたいらげたら、残った薬味たっぷりのポン酢におでんの豆腐を投入。ひたすら旨い。

つまみを2,3品、おでんをあれこれ食べて、しっかり酔って、お勘定は1万円前後。
おでん屋さんというカテゴリーとしては、富豪級だが、それはそれ。店の雰囲気も“正当な銀座感”にあふれているし、おでんを懐石の煮物とでも言い換えれば仕方ないかもしれない。

「おぐ羅」でおでんを食べると、滋味のせいか、何となく“充電”した感覚に陥る。“放電”のためにはしご酒をしてしまうのが困りものだ。

1 件のコメント:

  1. おでんというと、やっぱり大根と茶メシっすよねぇ。我が家では、かわり種としてトマトを丸ごと煮込みます。これ、気持ち悪そうでしょ? でも結構イケますよ(笑)
    「六根」という霞町…いやいや西麻布の店の煮大根、なかなかでした。プライスは富豪クラスよりかなり安いですので、普通カメラマンでも楽しめます。

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