東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2008年6月26日木曜日
経営者が考えること
富裕層向けのメディアは数多いが、いつも不思議に思うのが、企画の大半が脈略なくお金を使わせる発想ばかりだということ。
富裕層をターゲットにしたものだけでなく、最近やたらと増えてきたリタイア後の団塊世代向けの情報も同様だ。
豪華客船でのクルーズとか、別荘ライフとか、リタイアして時間ができたからという理由だけで、やたらと消費を煽るような企画が多い。
実際には、富裕層も団塊世代ももっと堅実なことを考えている。老後不安、年金不安などで、よほどのお金持ち以外はもっとシビアな発想で行動している。
富裕層というくくりも、思えば乱暴だ。年収5千万円と年収10億円では、20倍の開きがあるわけで、当然ひとくくりにはできない。
一般にイメージされる富裕層は「社長さん」だろう。それもオーナー企業の経営者だ。この人々を富裕層と捉えるなら、彼らの頭の中では、豪華クルーズや別荘ライフの優先順位は低い。
あくまで会社経営と周辺状況のことが頭の中を支配する。もちろん、謳歌すべき余暇のことも考えるが、そこでも経営する会社との絡みが重視されがち。
新しい高級車のCMを見れば、「会社名義で買えば1年あたり結構な減価償却費を計上できるな」とか、別荘ライフについては、「社有資産としての利回りはどうだろう」と考える。
旅行に関しても「今度の出張と上手く組み合わせる日程にならないか」といった発想をする。
個人の財布、会社の財布という二つの財布を持つオーナー経営者にとって、二つの財布の使い分けは大きいテーマだ。会社が好調であれば、経費の効率的な使い方を必死で考えるわけで、いわば節税の観点でモノなりレジャーを捉えていることが多い。
単に、エーゲ海クルーズだ!軽井沢にリゾートマンションだ!などと舞い上がっている感覚とは随分違う。
節税的観点でのモノの見方は、当然、「対税務署」にも向けられる。「社用車で買うにはあのクルマは派手すぎるかな」とか「社有不動産を福利厚生施設として処理する際の注意点は?」とか、税務調査の際などに調査官から突っつかれないかを必然的に考える。
結果的に、そこそこ好調な企業の経営者であれば「税金的観点」はついてまわる。この観点が欠落していたら、コスト感覚の点で経営者失格と言ってもいいだろう。
さてさて「経営者の税金」。こうやって分析すると非常に重要なテーマであるにもかかわらず、一般的にはこのキモの部分が認識されていない。
経営者向けの雑誌は数多く存在するが、上記した「二つの財布」の勘どころを取り上げているものはない。制作サイドが、経営者のキモの部分に迫っているとはいえない。
かたや税金の専門メディアはこれまた極端。専門家向けの解説に終始し、経営者に必要な“ヒダ”の部分にはさほど触れない。あくまで税理士や経理専門職の人の実務指南書的な要素が強く、ターゲットも当然、専門家だけ。
税務関係業界では「納税通信」は異色な媒体だと評されることが多い。「納税通信」は企業経営者目線で、上記したような「経営者の税金」をあれこれ取り上げていることが理由だ。
専門媒体なのに専門家を主なターゲットにしていないことが異色に映るのだろう。こちらサイドにいると、税金の情報を税金の専門家だけに発信する方が異色に思える。
確かに経営者の間からは「税金は難しいので顧問税理士にまかせている」という声をよく聞く。税金の細かいことを経営者が把握しきれないのは確かだ。でも、そんな経営者だって会社の経費の使い方、自分と会社の“二つの財布”には神経を使う。
「税金的観点」、「節税的感覚」と言い換えれば、世の経営者が日々考えていることの多くが実は税金に絡んでいることがよく分かる。
経営者が欠かせない「税金的観点」のエッセンスが盛り込まれた唯一の媒体が「納税通信」。多くの経営者から“座右の1紙”と評価していただいている。
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