2008年7月17日木曜日

「割烹とんぼ」

過去のブログを読み返してみたら、いかにも和食ばかり食べている気がする。寿司と焼鳥とおでんぐらいしか書いていない。実に狭い視野だ。反省。もっとジャンルを広げないといけない。

といいながら、また和食の話を書く。銀座8丁目にある「割烹とんぼ」に顔を出した。もともとは近くでクラブを経営するママさんが経営していた。しっぽり京風の佇まいで食事とお酒が楽しめる。和服姿の女性が、べったりではないが一応の接客をする珍しいスタイル。クラブが密集するビルの3階にあって、まさに隠れ家。ここのカウンターでノンビリするのが好きだ。

昨年だったか、経営が変わったようで、料理の質が格段にアップ。真面目で美味しく正しい和食が食べられる。多少いま風にアレンジしてある料理もあるが、あくまで脱線はせず、万人が喜ぶ水準の味を提供している。

この日、最初に出てきたのは、確かコチだったろうか。淡泊な白身の刺身でミョウガを巻いてある。ここまでは普通だが、醤油ではなく、梅肉だれで食べさせる。

梅肉だれはハモの専用といったイメージだったが、こういう使い方は新鮮。夏の暑い晩に生ビールを片手につまむには最高だ。

冷製の和風コーンポタージュも良かった。芽葱とあられが薬味になっていて、実に涼しい味わい。

続いて出てきた八寸がまた涼味あふれる逸品ぞろい。ここの板さんは相当研究熱心だと思う。献立を作ったり料理をすることはプロにとって大変な作業だろうが、その苦労の中でも、面白がって仕事をしている様子が伝わってくる。だから食べていても楽しい。

写真手前の卵豆腐のような一品は、カリフラワーのムース。野菜嫌いの私が、さほど空腹ではないときに物凄く美味しく感じたのだからかなりの水準だろう。舌触り、味の濃さ、文句なし。

ひとくちサイズの穴子の棒鮨も、穴子のふっくら感が維持され、味付けも濃すぎずタレも素材の味を邪魔していない。

印象的だったのは、手前右の竹筒に入った和え物。イクラ、じゅん菜、それにタピオカ。タピオカは、ココナッツミルクに浸されたデザートしか知らないので、食べる前は、期待どころか、気色悪いなあと感じていた。ところがどっこい、じゅん菜の食感とタピオカの食感が互いに相乗効果を発揮して悪くない。悪くないどころか、イクラの塩味が、それらのプルプニュ系にまとわりついてエロティックな味がする。気に入った。

美味しいモノをいつも「エロティックな味」、「官能的な味」としか表現できないボキャブラリーを反省。

その後、餡がかかった茄子まんじゅうとかサラダ仕立ての薄切り牛肉などを食べて、締めは、昆布を練りこんだ冷たいそばをゴマだれで食べた。

涼しげに彩られた夏の食材、実に良かった。

正直に言うと、この「とんぼ」を訪れるのは、いつも何を食べようか決められない時ばかり。私の場合、寿司が食いたい、肉が食いたい、中華が食いたいといった感じで始めからその日の食べたいものが決まっていることが多い。

おいしいと分かっていても、何が出てくるか分からない割烹でのコースは、つい選択肢から外してしまう。でも、この店に来ると、成り行き上、結構な量の野菜も摂取するし、身体に良くて美味いのだから、もっとマメに顔を出そうと思う。

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