マクドナルドといえば、100円マック。100円で買えるハンバーガーはすっかり浸透した。頭の悪い私としては、あんなものは、その他の商品で利益を上げるための呼び水だろうと思っていた。
雑誌「プレジデント」によると、私の考えは大間違い。変動費の大幅削減と、話題性による販売個数の大幅増で、ハンバーガーの粗利益は以前よりアップしたとか。それはそれで凄いことだ。まさに企業努力。
全国どこでも変わらぬ商品ラインナップと均一化された味がマックを初めとするファーストフードの基本だ。この管理体制がビジネスの源。
このスタイルを徹底して管理することで、躍進を続けるマクドナルドと対照的な手法で増収増益を続けることで話題になったのが「餃子の王将」チェーンだ。
好調な業績を支えるのは、チェーン店とはいえ、店ごとに個性を発揮している点にあるらしい。一部のメニューや店舗レイアウトは店によって異なり、決して均一絶対主義ではないことが特徴だという。
外食産業に厳しい淘汰の嵐が吹く中、マックと王将の伸びは素直に凄いことだと思う。
さて、今日は何が書きたかったのかというと、成功している2社の例を見るまでもなく、成功するビジネスに決まりきったパターンなどないということ。
マック商法とか○×商法とか、とかく成功したビジネスモデルは、あっと言う間に教科書のように広まり、コンサルタントと称する人々もナントカのひとつ覚えのように世の中に転がっている成功事例を得意になって紹介、引用する。
ビジネス書もその手の新刊本が常に話題になり、そうした知識を吸収していなければビジネスマン失格みたいな風潮さえある。
成功モデルは確かに魅力的だ。誰だって参考にしたい。でも、参考に出来るところがあれば参考にするぐらいが現実的。せっせとコピーしようたって無駄な話。
イチローのように練習すればイチローになれるわけではないし、ホイットニュー・ヒューストンの人生をなぞってみても、あんな上手に歌えるようにはならない。
驚嘆して憧れて見習ってみるのは必要な行為だが、そのままそれを目指そうという単純な思考だとちょっとマヌケ。
成功するビジネスに誰でも解ける方程式なんて存在しない。にもかかわらず中途半端な知識と限定的な事例を金科玉条のようにしているコンサルタント連中はうさんくさい。
だいたい、勝てば官軍ではないが、勝ち組の事例やエピソードは、極端に美化され、脚色されることも多い。長々と続いた徳川時代には豊臣秀吉は今ほど有名人ではなかったそうだし、石田三成や今川義元あたりも後世の伝わり方は、敵方の見方でしかない。
どんなに優秀かつ斬新でも、負けてしまえば、負けという事実だけが残る。本当のことは突き詰めれば誰にも分からない。
私のつたない経験でも、わけのわからないデータと中途半端な知識で、四の五のアドバイスらしきことを言ってくるコンサルタントに遭遇したことがある。あまりに薄っぺらで驚いたことがある。
規模、職種はもちろん、挙げ始めたらきりがないほど、ひとつの会社には特徴が詰っている。表層的な分析だけで一筋縄にコトが運ぶものではない。
コンサルタントと称する人々の意見に素直に耳を傾ける懐の広さは必要だが、咀嚼能力がないとトンチンカンなことになる。どうしても補えない知識や経験が必要な特殊分野とか技能に関することなら的確なコンサルティングは有難いが、なかなか難しいのが現実だろう。
実は、そんなことは百も承知なのが世の中の経営者だ。こんな当たり前の話は誰もが肝に銘じている。にもかかわらず、お決まりのビジネス成功事例がもてはやされたり、怪しげなコンサルタントが暗躍する。
その理由はただ一つ。
経営者が孤独だから。後ろに控えている人がいない経営者の心理は、大げさではなく恐怖と孤独感が中心。だから変な宗教にはまったり、迷信をやたらと気にする人も多い。
野球の例え話でこういう話がある。いわく、外野手は内野手と違って、後ろがいないので大胆なプレーは避ける、という内容。この例えに合わせると、経営者は外野手という位置付けになりそうだが、そんなに単純ではない。
あえて例えるなら、外野フェンスも観客席もない球場でプレーする外野手みたいなもの。後ろは何もない。そんな感じだと思う。
不安と孤独が強ければ何かに頼りたいし、すがるものがあればすがりたい。経営者心理の原点って意外にこのあたりなんだと思う。
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